走れダイエットランナー!

ポンコツ夫とポンコツ嫁はん。ランニングで健康維持しつつ映画やテレビ見ながら言いあらそうブログです。

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「陸王」第8話 前半のツッコミすぎが原因で、後半失速するのはレースメイク失敗だぞ!!残り2話に期待!!

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タイトルにも書きましたが、この第8話は、物語の流れが大失速している感が否めませんでした!!

 

先週、「陸王」の生産の再チャレンジを決意したはずの宮沢社長が、またまた酒に溺れて「チーム陸王は解散だ〜」とぼやいて見せたり。先週のデジャブ感が強かったなあ〜。

 

話のメインとなった、1万メートルのタイムトライアルも、駅伝大会も、原作には全く出てこない話、ドラマのオリジナルエピソードです。

 

レビューを書く筆も遅くなってしまいました!!

 

すぐ前言を翻す宮沢…

 

今回の話は、前回の直後から始まります。

 

坂本の、「会社を売りませんか」という提案に対しては、宮沢は烈火のごとく怒り、取り付く島もないほど。

 

会社を売るなんて考えは罪悪であると信じているようで、坂本の提案を一顧だにしません。

 

椋鳩通運の江幡が持ってきた、「行田市民駅伝競争大会」の提案も、「今はそれどころじゃない」、と一瞬で却下。

 

まあ、結果的には、この買収に関する提案も、駅伝への出場も、宮沢は前言をひるがえすことになります。

 

社長としては、もう少し、冷静に考えて発言しないといけないようですね!!

 

存在感あるのに『誰?』的な江幡…

 

ちなみに、駅伝の話を持ってきた江幡という男。第1話からいますが、いったい何者…。

 

と思っている人も多いのではないでしょうか。彼に対する説明って、ほとんどなかったと思うんですが(^_^;)

 

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彼は椋鳩(むくはと)通運という運送会社のセールスドライバーで、こはぜ屋さん担当です。

 

かつ、学生時代は、有名大学から声がかかったほどの実力ある長距離選手だったので、「チーム陸王」の一員としてこはぜ屋さんに協力している立場なのでした。

 

その彼がせっかく持ってきてくれた話、もっとよく揉んでから答え出せよな!!社長!!

 

立ちはだかる1億円

 

村野は断腸の思いで、茂木にシルクレイ製造機が壊れたこと、再び作るには1億円が必要で、こはぜ屋にはそんな資金はないことを説明し、陸王がもう提供できないことを説明。

 

大地は未だにアッパー素材を提供してくれるメーカーを探しながら、さらに1億円の資金提供までオファーする始末。

 

乗ってくる企業などあるわけない…。

 

疑心暗鬼

 

飯山が電話の中で「御園」の名前を出したことを立ち聞きしてしまう宮沢は、飯山が御園の会社と密かに契約を結ぼうとしているのではないか、と疑ってしまいます。

 

テレビドラマなので、仕方ないんですが、飯山も飯山で、

 

「俺が誰とどんな電話しようとあんたにゃ関係ねえ!!」

 

とか言わずに、

 

「いえね、御園さんの会社から、6千万でシルクレイの特許を使わせてくれって言われたけど、断ったんやで。あんたのために」

 

って正直に言えば、何の誤解も生じることはなかったんですが。

 

疑う社長も、ちゃんと説明しない飯山もダメですね!!

 

1万メートルと、市民駅伝と

 

茂木は、第1話で走った「豊橋国際マラソン」への再出場を監督に直訴します。因縁の試合で毛塚に勝ち、止まった時計を進めたいのです。

 

一方、宮沢も、一言の元に却下した「行田市民駅伝」への出場を決意。皆で陸王を履いて走り、少しでもPRするのが目的です。

 

同時に、離れつつあった皆の心を再度、一つにしたかったのでしょう。

 

1万メートルの茂木と駅伝大会のチーム陸王が交互に描かれます。

 

茂木

 

5,000メートルで仕掛け、どんどん順位を上げて行く茂木。

 

7,000メートル付近まで描かれ、あわや、優勝でもしちゃうんじゃないか、というほどの勢いで走って行くのですが…。

 

終わってみれば、8,000から失速したとのこと。後半への課題は、やはりシューズ。

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そう言えば、先日、日本中を沸かせた福岡国際マラソン。大迫選手、2時間7分19秒という驚異の走りでしたが、それでも前半の勢いに比べると後半はやや失速気味でした。

 

ナイキの噂のシューズ、魔法のように語られていますが、やはり184グラムという重さが後半への課題ではないか、と分析している方もいらっしゃいました。

 

世界で戦うマラソン選手にもなれば、シューズの選択が勝敗を大きく左右するんだな、と思ったエピソードであります。

 

駅伝大会

 

江幡→美咲ちゃん→あけみさん→坂本→宮沢→大地、の順で一周4kmのコースを6周、計24kmのコースです。

 

一周4kmと簡単に言いますが、ランニング練習をしたことのない人にとっては、ずっと走り続けることなどできない距離です。

 

美咲ちゃんとあけみさん、かなり練習したんでしょうか…(^_^;)

 

しかも足元は裸足感覚の陸王…。(^_^;)

 

ヤスの奴が、出場直前になって、なんか足首が腫れて出場できなくなり、ちょっとギクシャクしてた坂本が代走することになって、「絆・回復!!」って流れになりますが…。

 

「そりゃ、走ったことない人がいきなりあんなシューズ履くと、どっか痛めるで!!」

 

と画面に突っ込んでいました。

 

10位以内に入賞したら、なんか、インタビュー的なものが受けられて、陸王も宣伝できる、ということで一生懸命になるものの…。

 

転倒した選手を宮沢社長が助けて、順位を大きく落とす中、アンカーの大地が奮闘して、10位入賞まであと一歩!!というところまで追い上げるも…。

 

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タッチの差で11位、入賞ならず。

 

で、このレースの間に…。

 

坂本の口から、実は飯山社長はフェリックスから引き抜きの話があったのに、宮沢社長へ義理立てをしてその話を断った経緯を聞き、

 

例によって、自らの考えを軌道修正する、という流れになります。

 

やっと出た松岡修造

 

日本発の世界的アウトドアメーカー・「フェリックス」社長の御園丈治役の松岡修造、2週前の予告に登場して以来、ついにセリフを発するシーンで登場しました。

 

こはぜ屋への彼からの提案は、いいことずくめ。

 

傘下に入ってくれるなら、会社はそのまま存続していい、宮沢にも社長を続けて欲しい、3億円出す、足らないならもっと…。

 

と、夢のような申し出。

 

今のこはぜ屋に、いったい、断る理由がどこにある?!的なオファーです。

 

前向きに検討します!!

 

と返事を残す宮沢に、なんか、不敵に笑う御園の顔…。

 

で終わります。

 

正直な感想

 

「ブレイキング・バッド」というアメリカのテレビドラマ、ちょっと前に大流行しました。しがない高校の化学教師が、不治の病に冒され、家族にお金を残すため合成麻薬を作って売り出し、やがて暗黒街の大ボスにまで上り詰めてしまう、というドラマ。

 

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世界中で大ヒットした、名作ドラマですが…。

 

そんなドラマでも、数話、「え?この回、いる?」って回がありました。

 

一日中、工場に入り込んだハエを追い回すだけの回もありました。

 

いろんな都合で、そんな回が出てきてしまうんでしょうが…。

 

第1話から全力疾走気味だった陸王、今回は、ブレイキングバッドで言えば「ハエを追い回す回」だったかなぁ〜。

 

というのが正直な感想でした。

 

さて、どことなく御園に悪役感の雰囲気を漂わせながら終わった今回ですが、残り2話、どう展開するのでしょうか!!

 

 

奈良マラソン2017、15kmと35kmで応援していたガチャピンとムックが見た光景!!

朝一番、鴻池陸上競技場へと続く道は大渋滞(¯―¯٥)来年は、左側の道を使うことを忘れないようにしよう!!

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朝一はさすがに寒かったです!!

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さあ!!始まりだー!!

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実は神戸より応援参加のアンディ。始発でJR奈良駅に到着後、駅にて待機してくれていました。

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↑上の写真を撮ってくれた美人女子高生。頭の帽子は、スタッフだけに支給されるレアもの!!

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先頭車にはせんと君が乗っていました!!

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沿道で知り合った女の子。友達の応援に来ていたので、われわれと行動を共にすることに(^_^;)

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第1応援ポイント・15km地点!!

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晴天ながら、この先・寒風吹きすさぶポイントあり、ポンチョを脱ぐべきか迷うランナー多し!!

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なんて爽やかなランナーだ!!

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3時間半の大集団!!

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ラン友発見!!

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ガチャピン同士の友情!!

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2週間前の大阪も走ったこのお方!!自分でもトレラン大会をプロデュースする、大物フィクサーとの噂だ!!

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来ました!!トラスーツのアンちゃん!!

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振り向きざまのコマネチも決まった!!

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奈良マラソン初応援のアンディですが、知り合いがめっちゃ多い!!

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福知山、大阪、そして奈良!!いつもランナーのゴミを拾いながら!!本当に頭が下がります!!

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みんなの人気者・爺ぃ!!ですがトラブル発生、右足に痛み!!久野先生による応急処置!!

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爺ぃ、復活!!

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「4時間半!!4時間半!!」の大合唱に、ノリノリの4時間半のペーサーの皆さん!!

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このかた、某有名ランナーさんの奥方様だそうです!!

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わざわざ神奈川より!!もちろん完走していただきますよ!!

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第1応援ポイントは10時50分に離脱。徒歩約10分の、第2応援ポイント・35km地点へ移動!!

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なんと!!オープンカーに乗ったせんと君、全コースを回っているようでした!!35kmにも先頭で現れてビックリ!!

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「飲めばカラダがあたたかくなる」という謎の液体を注ぐ久野先生…。

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隣で応援していた、もう1人のガチャピンと!!

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謎のフィクサーが早くも通過!!

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トラスーツのアンちゃんとアンディが並走して応援!!

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そろそろ投入!!グレープフルーツ!!

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グレープフルーツは大人気!!

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またまた来ました!!ノリのいい4時間半のペーサー軍団!!

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村岡、福知山、大阪、そして奈良。僕らの行くところすべてに現れるかみやん!!

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爺ぃも35kmに!!痛めてる足をだましだまし!!

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なんか5メートル手前で、おっさん連中が色めき立っていると思ったら…。

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この方でした!!美人ランナー!!2年以上治らない肉離れは、6時間制限の劇坂・奈良マラソンでは関門アウトかと思いきや、意外にスムースにゴールされててビックリ!!

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頭につけたカエルがお気に入り!!

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岡山から、5年連続!!わざわざありがとう!!

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「神奈川の、ヤツが来ない!!」と噂をしてたら現れました!!DNFなどさせないよう、手厚くもてなし、送り出しました!!なんとかゴールにたどり着いたようです!!

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「奈良マラソン、ナメてたけど、なんとかゴールしたいヒト〜〜!!」の掛け声に、集まる、集まる!!コールドスプレー待ちの大行列!!

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みんな、あと7km、なんとか踏ん張れ!!

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13時54分、500メートル先の関門が閉鎖。最後のランナーが走り去って…。

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われわれのミッションは終了しました。

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昨日は太陽が照りつけ、あたたかくなりました。やや暑すぎたかもしれませんが、いちばん風が強い場所はやはり寒かった、とランナーから聞きました。

 

累積標高差300メートル、低山を一つ超えるのと同じ奈良マラソンの劇坂。

 

PBを狙うには適した大会ではありません。

 

見たこともない絶景が見れるような大会でもありません。

 

でもなぜか、リピーターも多く、大人気の大会。

 

走られたランナーの皆さん、お疲れ様でした。

 

応援、ボランティアの皆さんも、お疲れ様でした!!

 

来年こそは、クリック合戦に勝って走りたいと思っています!!

 

 

 

奈良マラソン2017を走られた皆さん、お疲れ様でした!!

とても天気が良く、走りやすい1日だったのではないでしょうか!!

 

朝がやや寒買ったけど、昼前からちょっと暑すぎたかもしれませんね!!

 

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15kmと35kmで応援していたわれわれ応援部隊も、波乱万丈の応援活動の1日でした!!

 

詳細は、また明日にでも!!

 

みなさん、また、来年会いましょう!!

ランニングログ 12/9 ウォーキング練習最終日、いよいよ明後日からラン再開

篠山ABCマラソンまであと:

 

85日

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ランニング

今月目標距離:150km

 

本日の走行距離:9.31km

 

今月の累計走行距離:42.62km

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本日のスクワット回数

 

80回

  

心拍数

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今日の体重

今月月初の体重:80.4kg

今月末までの目標:78.4kg

本日の体重:80.6kg

月初からの増減:+0.2kg

目標まであと:2.2kg

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昨日の摂取カロリー 

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総評

 

明日は奈良マラソンの応援に行く。明後日より少しずつランを再開しようと思う。

 

明日、奈良マラソンを走るランナーへ!!ちょっと、知っトクポイント!!

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いよいよ明日は奈良マラソン!!

 

天気もかなり良さそうです!!

 

僕とお方さまは、15kmと35km地点で、ガチャピンとムックで応援してますね〜〜!!

 

さて、ゼッケンをもらいに言った皆さんは、もう気づかれていると思いますが…。

 

スタート地点の鴻池陸上競技場は、近鉄奈良駅からけっこう歩きます。

 

しかも、ダラダラ続く上り坂。

 

もしも明日、4名程度で集まっているのなら…。

 

近鉄奈良駅からタクシーで会場まで移動、という手も考えて見たらいかがでしょうか!!

 

スタート前の足の温存という意味では、あながち間違った選択ではないと思いますよ!!

 

金額もおそらく、1,000円弱、4人なら1人250円もしません!!

 

実はこのアイデアは、フルマラソンを3時間17分で走破する剛脚の持ち主・てっちゃん発のアイデアです!!

 

ぜひ、頭の片隅に置いていてください!!

 

ちなみに、その方法をとったてっちゃんたちが、伝説の「マラソンわらし」と遭遇したのは、また別の話。

 

www.rundietrunner.com

 

それではみなさん、明日、頑張ってね〜〜!!

「オリエント急行殺人事件」新時代のポアロ、スタイリッシュに見参!!21世紀のポアロを描いた新解釈の古典ミステリ!!

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*注意!!

 

当ブログは「オリエント急行殺人事件」の犯人について触れています。

 

物語をご存じない方は、先に映画をご覧になられることをお勧めします!!

 

 

 

 

 

オリエント急行殺人事件、見てきました。

 

結論から申しますと、とても素晴らしい作品です!!

 

さっそくレビューさせてください!!

 

二段構えの、すごい口ヒゲ!!

 

まずはポアロの代名詞の口ヒゲですが、なんじゃこりゃああ!!

 

見たことない、二段構えの口ヒゲです!!

 

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まずは鼻の下から生えたヒゲがハの字に伸びているのですが、さらにその下、こめかみのあたりまで、そのハの字の続きを描くように皮膚にヒゲをたくわえる、二段構えの口ヒゲ!!

 

すごい、あんなヒゲは見たことない!!

 

もうこのヒゲを考えただけでも、ケネス・ブラナーのポアロはキャラが出来上がったと言っていいと思います!!

 

異質なポアロ

 

クリスティのポアロ像を最も正確に描写しているポアロ像は、たぶん、デヴィッド・スーシェが演じているポアロだと思います。

 

小男で、異常なまでに潔癖症で、後頭部が禿げ上がり、自信に溢れ、どこかユーモラスでもあり。

 

1974年の「オリエント急行殺人事件」のアルバート・フィニーのポアロも原作に忠実に描かれていますが、淀川長治さんの言葉通り、

 

「ちょっとやりすぎ」

 

な感は否めません。

 

それに対し、ケネス・ブラナーが演じた今回のポアロは、先に述べたように見たこともない立派な口ひげをたくわえ、肥満体とは言えない体躯に現代風なスーツを着こなす、極めて現代風ないでたち。

 

しかも他のポアロでは考えられない、アクションシーンすらこなします。

 

まさに現代版ポアロ。

 

この辺りが、原作に忠実にしてほしいというファンの方には受け入れられないかもしれませんが…。

 

古典を現代風に解釈し蘇らせる、という点では成功していると思います。

 

ジョニー・デップ=ラチェットの驚愕!!

 

俳優陣のランクでも頭ひとつ飛び出ているジョニー・デップが、殺されるラチェットを演じると知った時は驚きました!!

 

過去に邪悪な犯罪を犯し、その妖気が身体中から漂っているので、警護を依頼したポアロから、「あなたの顔が気に入らない」と信じられない発言をされて断られる人物です。

 

この、「あなたの顔が気に入らない」というセリフは原作にもありますが、1974年の映画にも、スーシェ版「オリエント急行の殺人」にも登場しないセリフですが、本作は忠実に使ってくれていました。

 

確かにジョニー・デップ、邪悪な殺人者をうまく演じていました。

 

1974年版「オリエント急行殺人事件」に足りなかったもの

 

社会派監督シドニー・ルメットがメガホンを取り、キラ星のごとき名優たちが出演した1974年度版「オリエント急行殺人事件」も、ある意味で素晴らしい作品です。

 

しかし、2010年にテレビ番スーシェの「オリエント急行の殺人」と比較すると、テレビ版の方が押す声が多いのも事実です。

 

シドニー・ルメットの「オリエント急行殺人事件」は豪華すぎる俳優たちの出演により、お祭りムードの作品に仕上がりました。

 

ある意味、見ていて楽しい作品です。

 

オリエント急行が出発する場面はワルツが流れ、ラストシーンは全員が笑顔で乾杯する場面で終わります。

 

しかし、凄惨な殺人事件を描き、「あの」結末のあと、乾杯するとは何事か、と感想を持つ人がいることも確かです。

 

テレビ版ポアロは違います。ずっと沈鬱なムードで話は進み、ポアロが謎解きをした時も、ポアロは殺人者を許しません。

 

激怒し、犯人を激しく非難します。

 

その後、苦悩し、葛藤し…。

 

ロザリオを握りしめながら、原作と同じ結論を導きます。

 

法を重んじ、人間の尊厳を大事にするポアロは、どんな場合でも殺人を許しません。

 

しかしこの場合はどう考えれば良いのだ、とポアロは自らの信念と戦わなければならない。

 

ケネス・ブラナーのポアロはこれを恐怖と言います。

 

「怖い」

 

と、正直につぶやきます。

 

そして犯人に銃を渡し、

 

「私を殺せ!!私は嘘をつけない!!」

 

と犯人に迫ります。それほど追いつめられるポアロ。

 

大胆な変更

 

俳優たち

 

かつてはショーン・コネリーが演じた、軍人であるアーバスノット大佐は、なんと黒人俳優レスリー・オドム・ジュニアという人が演じ、しかも医者という設定です。

 

大佐は家庭教師のデベナムと恋仲であることを秘密にしなければなりません。妻が不貞を働き、離婚訴訟中なのですから。

 

それを、黒人と白人の恋、という解釈に変え、しかもアーバスノットを医師としました。原作のコンスタンティン医師の代用としたのです。

 

イングリッド・バーグマンが演じた宣教師のオルセンはペネロペ・クルスが。バーグマンと同じく、きらびやかな美しさを封印し、泥臭い女を演じました。ただ、名前はエストラバドスと変わっています。彼女がスペイン系だからでしょうか。

 

アンドレニイ伯爵を、ものすごく短気な人間としている点も注目です。また、その妻のエレナも、かつてはジャクリーン・ビセットが演じた、健康的な美人でしたが、今回は極めて病弱な女性として描かれていました。

 

ただ1人、ポアロの味方である、鉄道会社重役のブークが、ものすごく若返った点も特筆に値します。かつてはマーティン・バルサムが演じ、ポアロと同い年くらいに描かれていました。ブークが若返ったので、物語に弾力が生じました。

 

有名シーンの削除

 

殺人現場に残されていた、焼け焦げた紙切れ。

 

それこそ、最も重要な証拠に違いない、と踏んだポアロは、その紙に何が書いてあったのかを知るために、「焦げた紙を再度、燃やす」という方法をとります。

 

そうすることで、一瞬だけ、書かれていた文字が浮き出てくる(らしい)からです。

 

さて、このシーンでポアロが使うのが、「帽子入れ」なる道具。

 

ポアロは公爵夫人のメイドから、公爵夫人の「帽子入れ」を拝借します。

 

一体そんなものを何に使うのだ…。

 

という、ミステリ独特の不思議な空気に包まれるシーン。

 

帽子入れに入っている、帽子の型を守るための山形の、ざるのような形をした金具を二つ、合わせて、その頂点に焦げた紙を置き、下から炎で炙り、浮き出る文字を読む、という有名なシーン。

 

しかし今のご時世、「帽子入れ」などという道具を見たこともありませんし、さらにその中にあるざるのような金具など、お目にかかったことなどありません。

 

ですので、本作では有名なあのシーンを取りやめ、ポアロは作業員が使っているランプの炎で焦げた紙を焼きます。

 

このあたりの演出も、現代に即したものとなっています。

 

風景

 

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雪の嵐を進むオリエント急行のシーンは、CGを駆使して悪夢のような風景の中を進む様子がよく描けていたと思います。これは現代しか描けない情景でした。

 

また、ともすれば汽車の中だけのシーンになってしまう設定に対し、例えばデベナム尋問シーンは外で行なったり、マックィーンが外で帳簿を燃やすシーンを追加し、ポアロと大捕物を演じるシーンなどは、アクションシーンと言っていい場面で、他のポアロものではあり得ません。

 

そしてラストを汽車の外で撮影したあのアイデアは見事だと思います。横に並んだ容疑者たちは、ダヴィンチの最後の晩餐のように見えました。あんな絵は想像もしなかった。

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オリジナルに忠実なオリエント急行殺人事件が見たい、という人には少し違うかもしれませんが、現代風の新しいオリエント急行殺人事件としては、素晴らしい出来だと思います!!

 

STORY

 

エルサレムで宗教に絡んだ事件を解決したポアロは、休暇を取るべくイスタンブールのホテルに投宿、そこで旧友で鉄道会社重役のブークと再会する。

 

ホテルで本国への帰国命令を受け取ったポアロは休暇を取りやめ、オリエント急行に乗ることとする。

 

シーズンオフなのに客車は満室。ブークが別の車両に移動することでなんとか席が確保できた。

 

一晩だけ、二段ベッドで過ごしたポアロは次の朝から個室が用意された。

 

ラチェット=ジョニー・デップ

 

朝食の席で、ポアロはラチェットという名のアメリカ人の富豪より、身辺警護を依頼される。かなりの高額を提示されるが、ポアロはこの人物に邪悪な影を見、依頼を固辞する。

 

「何が気に入らない?金額か?」

 

「いいえ。私はあなたの顔が気に入らないのです」

 

脱線

 

その夜、天候は荒れ、激しい雪崩が発生、機関車部を直撃し、脱線する。

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幸い、客車は無事であったが、汽車は動くことができなくなる。

 

事件発生

 

翌朝。

 

ラチェットの執事が部屋をノックしても応答がない。そこに通りがかったポアロは不審に思い、鍵をこじ開け、ラチェットの死体を発見する。

 

黒人医師のアーバスノットが死体を調べる。死体にはたくさんの刺し傷があった。内臓に達する傷、浅い傷。まるで目をつぶって突き刺し続けたかのようだ。

 

鉄道会社重役のブークは旧友のポアロに事件の解決を依頼する。

 

食堂車に集結していた乗客たちに、ラチェットが死んだことを伝えるポアロ。

 

車両間のドアは鍵がかかっていたので、捜査対象はカレー行きの車両にいた12名に絞られた。

 

唯一、容疑者から外れたのは、ポアロに自分の客車を譲り他の車両へ移動した鉄道会社重役のブークだけ。

 

マックィーン

 

ラチェットの秘書兼通訳であったマックィーン。弁護士資格を有していたが、仕事が好きになれずにその資格を放棄していた彼は、明らかにラチェットを嫌っていた。

 

「彼がお好きでしたか?」

 

「好きだったのはあの人のカネだ。人柄は最悪だった」

 

彼は事件当夜、アーバスノットという黒人医師と一緒に酒を飲んでいた、と証言した。

 

死体検証

 

腹から胸にかけて12箇所もの傷があった。床に落ちていたコーヒーカップから、「バルビタール」という睡眠薬の匂いを嗅ぎとるポアロ。

 

床にはまた、女性用の高級ハンカチが落ちていた。イニシャルは「H」。

 

さらにパイプクリーナーも落ちている。

 

ポアロはこれらの証拠があまりにも都合が良すぎると判断。最も重要な証拠は、灰皿の中で焦げていた紙切れだと睨む。何か証拠を燃やそうとしていたのだ。

 

ポアロは、すでに到着している鉄道会社の作業員たちが使うランプを用いて、その焦げた紙切れを再度、燃やし、燃え切る一瞬に浮き出る文字を読み取る。

 

「ストロング、血、手」

 

といった文字が一瞬、浮き出て消える。

 

そして彼は、被害者の名前が「ラチェット」ではなく「カセッティ」であることに気づく。

 

2年前に発生したアームストロング事件。一人娘・デイジーを誘拐され殺されたアームストロング家。そのショックで妊娠していた妻ソニアは胎児を流産し、ソニア本人も死亡。あまりのショックに大佐本人も拳銃自殺を遂げた、痛ましい事件。

 

その犯人こそ、カセッティであった。

 

しかし彼はギャングの力で逮捕されなかったのだった。

 

ハバート夫人=ミシェルファイファー

 

目が覚めたとき、男が部屋にいたと証言する彼女。男はラチェットの部屋につながるドアを開け、そちらに逃げた。

 

その証拠として、彼女はベッドの下に落ちていたというボタンを差し出す。それはオリエント急行の車掌の制服のボタンであったが、車掌のピエール・ミッシェルの制服のボタンは外れていない。

 

マスターマン(執事)=デレク・ジャコビ

 

最後にラチェットを見たのは夜9時、コーヒーを持っていった時。ポアロは執事の言葉から、彼が不治の病に冒されていることを知る。

 

コーヒーには睡眠薬が入っていた、あなたが入れたのか?の問いに彼は答える。

 

「コーヒーは厨房で用意してもらった。誰でも入れる機会はあった」

 

エストラバドス(宣教師)=ペネロペ・クルス

 

かつては乳母をしていた際、つらい出来事にあい宣教師の道を選ぶ。ハバード夫人の部屋に行こうとして、間違って隣のラチェットの部屋を開けてしまう。夜の11時20分。生きているラチェットを見た最後の証人ということになる。デブナムと同室。

 

ハードマン教授=ウイレム・デフォー

 

オーストリア人、学会に急いでいるという。人種偏見が強い人物だ。

 

マルケス=マヌエル・ガルシオ・ルルフォ

 

外国で脱獄し、アメリカに渡り、それからは正直者として商売を成功させたというクルマのセールスマン。執事のマスターマンと同室のため、アリバイがある。

 

列車が雪崩の直撃を受け、ポアロが部屋から飛び出た時、彼の荷物から飛び出た写真で、ポアロは彼が運転手をしていたことを見抜く。

 

デベナム(家庭教師)=デイジー・リドリー

 

列車の外でテーブルを用意し、ポアロはデベナムを聴取する。かなり聡明で勝気な人物だ。

 

ポアロは汽車が出る直前の、彼女と黒人のアーバスノット医師との会話から、2人が恋愛関係にあると踏んでいた。

 

ポアロは彼女がアーバスノット医師との会話を耳にしていた。「すべてが終わったら、私たちは自由」と彼女は言っていた。あの会話の意味は?と聞くポアロに、

 

「沈黙を禁じる法はない」

 

と答えを拒否するデベナム。

 

ドラゴミノフ公爵夫人=ジュディ・デンチ

 

腰痛のためにすぐに寝た、と証言する公爵夫人。アームストロングという名前に心当たりはないか、というポアロの問いに、夫人は驚くべき答えをする。

 

「私は大佐の妻のソニアの母で、偉大な舞台女優でもあった・リンダ・アーデンのファンでした。そして私は、殺されたデイジーの名付け親でもあります」

 

ラチェットがカセッティであることを告げると、彼女は唾を吐いてラチェットを呪った。

 

シュミット(公爵夫人のメイド)=オリヴィア・コールマン

 

公爵夫人の説明に嘘がないかと問うポアロに、すべてが正しいと答える。料理に博識なところがあることがわかる。

 

そして彼女は、いつもと違う車掌を見た、と証言。

 

ポアロがあの夜に見た赤いガウンは、ポアロ自身のトランクから発見された。

 

そして、ボタンがない車掌の制服はシュミットの荷物の中から。

 

マックィーンの異常行動

 

車外に出たマックィーンはラチェットの帳簿を燃やしていた。彼がラチェットの金を盗んでいたのを隠すためだ。

 

「お前は横領を隠すためにラチェットを殺したんだ!!」

 

と激しく詰め寄るポアロ。しかし…

 

アーバスノット医師

 

事件当夜、彼は確かにマックィーンと酒を飲んでいたと証言。マックィーンはアリバイがある。

 

黒人である彼は、兵役で手柄を立て、上官に恵まれて教育を受けることができた。

 

彼もデベナムとの恋愛関係を認めない。彼の証言の信ぴょう性に疑問を持つポアロ。

 

マックィーンの秘密

 

ポアロはアームストロング事件の検事の名前がマックィーンだったことを思い出す。弁護士の資格を取ったのは父親を喜ばせるためなのだ。そして、アームストロング事件をうまく処理できなかった父は法曹界を追われることとなった。

 

マックィーンが尋問したスザンヌというメイドは無実だったが、彼女は自殺してしまった。

 

「あなたはラチェットがカセッティだと知っていた。そして彼の金を盗み父親の返済に充て、ついには彼を殺して復讐を遂げたんだ、違うか?!」

 

「違う!!違う!!」

 

その時、ハバート夫人の悲鳴が聞こえた。

 

ハバート夫人の負傷

 

彼女の背中に短剣が突き刺さっていた。誰かが彼女の部屋を蹴破り、襲ってきたという。

 

幸い、急所は外れていた。

 

アンドレニイ伯爵夫妻

 

外交特権を盾に非協力的な夫妻だったが、ことここに及び、ポアロは夫妻を尋問。

 

伯爵はとても短気でポアロの訪問にも激昂する。

 

夫人は病弱でほぼ寝たきりのような状態だ。「バルビタール」を常用している。

 

パスポートで、夫人の旧姓がエレナ・ゴールデンバーグであると知るポアロは、彼女の秘密を見抜く。

 

「あなたの名前はエレナではない。ヘレナだ。そしてアームストロング夫人の旧姓はゴールデンバーグ。あなたはソニア・アームストロングの妹ですね」

 

激昂した伯爵に殴り飛ばされるポアロを救ったのはハードマン教授だった。が…。

 

教授の秘密

 

ポアロはすでに、教授の発音から彼がオーストリア人でないことを見抜いていた。彼は、ピンカートン探偵社の探偵であった。ラチェットの警護を担当していたのだ。

 

ポアロ、恐怖する

 

ポアロは1人になった時、初めて恐怖を感じる。わからない、という恐怖。

 

怖い…。

 

と彼は呟く。

 

デベナムとの対決

 

デベナムがアームストロング家の家庭教師であったことを、アンドレニイ伯爵夫人との会話から気づいたポアロ。

 

「あなたがカセッティを殺した。あなたは教え子だったデイジーを心から愛していたんだ!!」

 

「カセッティは死んで当然のクズよ!!」

 

さらにポアロが詰め寄ったその時、銃弾がポアロの腕をかすめる!!

 

アーバスノットだ!!

 

アーバスノットはデベナムを逃し、銃を構えたままポアロに詰め寄る。

 

「僕の医学部進学を助けてくれたのは上官だったアームストロング大佐だった。カセッティが彼から全てを奪ったんだ。だから彼を殺したんだ!!」

 

兵士だったアーバスノットはポアロを殺すつもりだったが、すんでのところでブークに助けられる。

 

乗客たちは全員、脱線した客車を動かすために車外のトンネルに避難していた。ポアロはそこへ向かい、2つの仮説を述べる。

 

1つ目の仮説

 

あの夜、アーバスノットとマックィーンが列車の外で酒を飲んでいる隙に何者かが侵入し、車掌に扮して鍵を開け、ラチェットを殺し、そのまま外に逃亡した。

 

しかしこの説にブークが怒りを示す。

 

「ではなぜ制服を隠した?ハバート夫人を刺したのは誰?全く筋が通らない!!」

 

2つ目の仮説

 

「アーバスノットにとってアームストロング大佐は恩人で親友。

 

殺されたデイジーの家庭教師だったデブナムは、デイジーを心から愛していた。そして、その母・ソニアの妹であるヘレナとも仲が良かった。

 

ヘレナの夫の伯爵は、激昂しやすい性格だが、妻を心から愛している。

 

「H」のハンカチの持ち主は、デイジーの名付け親、ドラゴミホフ公爵夫人。ナタリアのNはロシア語ではHと書きます。

 

彼女の従順なメイドはアームストロング家でシェフをしていた。

 

デイジーの乳母はラチェットを止められなかった自分を責め、宣教師となった。

 

執事のマスターマンはかつてアームストロング大佐とともに戦場で戦い、戦争後も交流があった。

 

アームストロング家の運転手はもちろんマルケス。大佐が保証人となり、自動車販売で成功したのだ。

 

探偵のハードマンはかつては警官で、自殺したメイドのスザンヌと恋仲だった。

 

スザンヌの姓はミッシェル。車掌のピエール・ミッシェルの妹だ。

 

そしてソニアの母であり、デイジーの祖母であるリンダ・アーデン。最高の舞台人だった彼女こそ、ハバート夫人です。

 

誰も、1人では殺人を犯せなかった。犯人は、全員だ。12人の乗客、12の刺し傷」

 

ハバート夫人は自分が計画したので、自分が罪を背負う、という。

 

ポアロは葛藤する。

 

「私は嘘はつけない。自由の身になりたいなら、私を殺しなさい。ブークは嘘をつけるが、私には無理だ」

 

ハバート夫人がポアロが置いた銃を手にする。

 

全員が必死に止める中、夫人はポアロではなく、自分に銃を向け、引き金を引く…。

 

カチリ。

 

弾丸は、入っていなかった。

 

どんな理由であれ、殺人を許さないとの信念を持っていたポアロは苦悩する。

 

しかし今回に限り、このアンバランスを受け入れよう、と決心する。

 

そして警察には第1の仮説を説明し、ただ1人、"BROD"という駅で降車する。

 

その彼を、探している人物がいた。

 

「ポアロさんを探しています。彼をエジプトにお連れするようにと。ナイル川まで」 

  

オリエント急行殺人事件 実際に起こった史上最悪の殺人事件を、せめて虚構の中で解決したいと願う魂の叫び

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*注意!!当ブログは、「オリエント急行殺人事件」のストーリーの一部について触れています。

 

犯人名など詳細には触れていませんが、最初から真っ白な状態で映画を見たい方は、映画の後にお読みになることをお勧めいたします。 

 

 

 

 

ケネス・プラナー監督作品「オリエント急行殺人事件」、新作映画が明日、封切られます。

 

アガサ・クリスティの代表作と言っていい本作、犯人が誰か、などはかなり知られていますが、豪華絢爛なオリエント急行の一等車両で起こった不可解な殺人事件、まさに映像化するにはもってこいの内容です。

 

新しい映画がどんな解釈で本作を描いているのかがとても楽しみです!!

 

実話部分

 

ご存知の方も多いかと思われますが、本作の極めて重要なパーツの一つに「アームストロング事件」というものがあります。

 

裕福なアームストロング大佐の屋敷から幼い一人娘が誘拐され、身代金を支払ったものの遺体となって見つかる、という痛ましい事件。

 

オリエント急行で行われた殺人は、このアームストロング事件に関係がある、とポアロが気づくあたりから、物語は急展開していきます。

 

この「アームストロング事件」は、実際に起こった「リンドバーグ事件」がベースとなっています。

 

リンドバーグ事件とは

 

輝かしい栄光

 

チャールズ・リンドバーグは若干25際で、世界で初めて、ニューヨーク=パリ間を単独無着陸での飛行に成功し、一躍世界的有名人となりました。1927年のことです。

 

この時の模様はビリー・ワイルダー監督、ジェームズ・スチュアート主演「翼よ!あれが巴里の灯だ」に丁寧に描かれています。

 

世界的な名声と巨万の富を得て、美しい妻、可愛い子供に恵まれて、幸福の絶頂にいた彼を襲ったのが…。

 

リンドバーグ事件

 

当時わずか1歳だった長男が、自宅から何者かに誘拐される、という事件が発生しました。

 

この誘拐事件は、まさに犯罪史上最も有名な事件の一つとなってしまいます。

 

当時のマスコミとは新聞が主流で、しかもその新聞はやりたい放題。屋敷の覗きや盗聴なども平気で行なっていたそうです。

 

そのため、この事件については連日、詳しすぎるほどの報道が流出。

 

もはや犯人さえ、迂闊にリンドバーグに接触できなくなってしまい、事件は混沌としてしまいます。

 

第三者の仲介

 

事態を見かねた、まったくの第三者であるコンドン博士という人物が、新聞に「私が仲介者となる」と広告をうち、犯人は博士に連絡を取るようになります。

 

こうして博士とリンドバーグ本人が犯人と接触、身代金の受け渡しに成功するも…。

 

長男は、戻ってはきませんでした。

 

最悪の結末

 

その数ヶ月後、幼児の腐乱死体が山中で発見されます。腐乱はしていたものの、着ていた衣類などから誘拐された長男だと夫妻は認めます。

 

犯人逮捕

 

2年の月日が流れ…。

 

1人のドイツ人男性が逮捕されます。

 

実は、身代金は全て番号が控えられており、この男性が使用した紙幣がその番号に相当する、いわゆる「リンドバーグ紙幣」なるものでした。

 

ハウプトマンという名の彼が犯人であるという証拠は多数。

 

・脅迫状に書かれた文字は、スペルミスも多々、見られ、そのどれもがドイツ語に近いタイプミス。犯人は教養の低いドイツ移民の可能性。

 

・唯一、犯人と接触したコンドン博士とリンドバーグ本人が、「犯人にはドイツ訛りがあった」という証言…。

 

・誘拐時に使われた木製のハシゴは手作り。

 

・逮捕されたドイツ人の職業は大工。

 

すべて、この人物が犯人であることを示していました。

 

ハウプトマンの反論

 

ハウプトマンは無実を主張します。

 

・紙幣は自分が金を貸していた人間から手に入れたものである→この人物は事件の数年後、ドイツへ帰国し、ドイツで死去。

 

・木製のハシゴは極めて稚拙(チャチ)な作り。自分は大工で、あんなハシゴは作らない。

 

・自分には当日のアリバイがある。

 

など、今になれば彼の反論は傾聴すべき点もたくさんあります。

 

いけにえ

 

当時の人々は血に飢えていました。

 

なんの罪もない子供を情け容赦なく殺害した、鬼畜のごとき犯人。

 

何としても犯人を探し出し、八つ裂きにしないと気が済まない、という空気が社会を満たしていました。

 

それは、扇情的に書き立てられる当時の新聞により、煽られていたと思われます。

 

証言を覆すリンドバーグ

 

リンドバーグ本人も、早くこの事件を終わらせたい、と思っていたようです。

 

当初、彼は

 

「身代金の受け渡し時において、自分は犯人の声を聞いていない」

 

と証言していたにもかかわらず、のちに証言を翻し、

 

「犯人はドイツ訛りがあった」

 

と証言しています。

 

その他の証言者たちも…

 

また、そのほかの証言者たちも、当初は被告に有利な証言をしていたものたちが、被告に不利な証言に訂正する、ということが多々ありました。

 

当時、裏でメディアを操作していた人物が、大衆が最も期待する結末へと導くべく、証言者たちを買収していたとの説があります。

 

全てがハウプトマンに不利に

 

当日の彼のアリバイを証明するはずの出勤簿も、なぜか紛失してしまいました。

 

彼の弁護士はそもそもがリンドバーグの信奉者で、ハウプトマンに接見する際はいつも酔っ払い、彼の言い分には耳を貸さなかったと、のちに発見されたハウプトマンの手紙に書かれていました。

 

70歳を越えていたコンドン博士。わずかにしか聞いていない犯人の声が、2年を経過してから聞いたハウプトマンの声と同一だ、と断言するには、少し慎重にならなければいけなかったのでは…。

 

まるでいけにえの処刑

 

そして裁判が始まってわずか1ヶ月で彼の有罪が確定、控訴はすべて棄却され、たった1年後に彼は電気椅子で処刑されてしまいます。

 

現在では、これは史上最悪の冤罪事件なのではないか、という考え方が濃厚です。

 

奇説も

 

長男は生きている?

 

発見された幼児の死体は腐乱が進み、まったくわからない状態でした。夫妻が息子だと判断したのは、着ていた衣服からのみ。

 

実は、彼は生きている、という説もあります。

 

リンドバーグ犯人説

 

誤って長男を死なせてしまったリンドバーグ本人が、誘拐事件をでっち上げた、という説もあります。

 

これらの奇説も飛び交う本件ですが、もはや真相は永久にわかりません。

 

リンドバーグの晩年

 

こののち、リンドバーグはアメリカを離れ、ヨーロッパで過ごすことが多くなります。

 

やがて、ともすればナチス寄りの発言が多くなり…。

 

第二次大戦では、時の大統領ルーズベルトにより、空軍への復帰を拒否されています。

 

現実には、永遠の謎

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リンドバーグ事件、すべての人間を不幸のどん底に突き落としたこの事件は、ハウプトマンの死刑という形で幕を閉じているため、その真相は永遠に謎のままです。

 

ですので、せめて虚構の中で…。

 

名探偵・ポアロの手で暴かれるその真相と、それに伴って起こる、「オリエント急行殺人事件」は…。

 

せめてもの正義を願う、人々の魂の叫びだと言えるかもしれません。

 

 

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