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「ゴッドファーザーPARTⅢ」 すべてを背負ったアル・パチーノの熱演。否定的な意見が多い本作を、僕が愛する理由。

 

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本作の評価は相対的に低いが、それでも僕は本作を愛する。

 



本作の最大の失敗は、トム・ヘイゲンが出演していないことだ。トム役のロバート・デュバルはもちろん存命している。ギャラの問題でもめた、ということらしい。セリフの中で、トムは死んだことになっているが、トムはそんな対応をして許されるキャラクターではない。

 

ヴィトの養子であり、実の息子と同じだ。これは本作の最大の問題点であり、本作が前2作のDNAを汲んでいないように見えてしまう最大の要因だ。
 
そしてもう1つの問題点が、メアリー・コルレオーネ役のソフィア・コッポラだ。

 

監督本人の娘なのだが、どう見ても、本作のメイン・キャラクターをはれる器ではない。コニー役のタリア・シャイアはコッポラ監督の妹だが、タリア・シャイアはコニー役を立派に演じ切ったと思う。ならば娘も可能、と思ったのか…

 

ソフィア・コッポラがスクリーンに映し出されるたびに、がっかりした気持ちになる。とてもじゃないが、メアリー役を演じられる俳優ではない。
 
その後、ソフィア・コッポラは監督としてその手腕を発揮している。彼女の俳優としての起用はフランシス・フォード・コッポラ監督の最大の過ちだ。
 
さらに物語の複雑さが追い打ちをかける。バチカン銀行の不正と新法王の暗殺、さらにそれに伴う悪徳銀行家の不審死は実際に発生した事件をもとにしているため、内容が極めて複雑だ。

 

また、ヴィンセントが3代目のドンに襲名するくだりも、説得力に欠ける。コルレオーネ・ファミリーのドンになるには、ヴィンセントは明らかに実績が不足している。

 

と、ネガティブな要素が多いが、それでも本作を愛する理由は、アル・パチーノの熱演だ。

 

本作のマイケルには、かつてのような悪魔のような人格は影を潜めている。ファミリーのため、という大義名分を振りかざしながら、自分に歯向かうすべての人間を殺したあげく、絶対的な権力は得たが、人間的な信頼関係は誰からも構築できず、気づけば裸の王様に成り下がっていた。

 

ファミリーは、ヴィトの時代のように、ヴィトという人間の周りに集まった信頼関係ではなく、マイケルの恐怖政治によって統括される、き弱なファミリーになってしまった。

 

本作でのマイケルは、自らの過去に対する贖罪に奔走する。フレド殺しの罪を贖うかのように、必死に教会に献金し、ヴィンセントに殺し屋を差し向けたのがザザだとわかっていても、ザザを殺す許可さえ与えられない。もう誰かを殺す許可などマイケルには出せなくなっている。

 

過去の罪に怯え、父のようになれなかった自分を責め、最愛の女性さえ幸せにできなかった自分を責め、最後は愛娘さえ失う。

 

全2作でマイケルが犯したすべての罪を本作で償わせているかのように、本作のマイケルは弱々しく、はかない。

 

かつてのマイケルの決断は、コニーとヴィンセントが代わりに行う。マイケルにできることは、そんな2人を弱々しく叱責することだけだ。

 

僕は本作のアル・パチーノが好きだ。やっと、人間らしい弱さを見せ、フレドの亡霊に怯え、良心の呵責に耐えきれず号泣し、メアリーを失った時は狂ったように泣き叫ぶ、全2作ではあり得なかったマイケルの痛々しい様子を、見事に表現している。

 

ラストの、おなじみの大虐殺の場面も、全2作では常にコルレオーネ・ファミリーによる一斉攻撃であったが、本作では違う。マイケルが守りたかったヨハネ・パウロ1世は毒殺されてしまい、愛するメアリーは流れ弾を受けて死んでしまう。これも、マイケルの悪魔的なパワーが弱まったせいであり、マイケルへの罰でもある。

 

そして、すべての罪を償うかのように、全てを失った象徴として、たった1人で、誰からも看取られずに、この世を去る。

 

パチーノは、トム役のロバート・デュバルが不在で、さらに、どう見ても美人と言えず、俳優としてのカリスマも見えない監督の娘がヒロインに選ばれてしまった本作の罪さえ一身に背負ったかのよう熱演を見せる。本当に素晴らしい。

 

 






STORY



 

ニューヨークに移ったマイケル・コルレオーネは、長年にわたる教会への貢献が認められ、個人としては最高の勲章をバチカンから授与されることになった。



 

授与式と、そのパーティに、長年マイケルの元を離れていた息子のアンソニー、娘のメアリーも駆けつけた。さらには、離婚した妻・ケイもやってきた。

 

久しぶりに楽しい時間を過ごすマイケル。



 

マイケルに勲章を授与したギルディ大司教は、バチカン銀行の経理が合わないことに苦悩していた。近い監査でそれが明るみになると世界的なスキャンダルだ。彼はマイケルに援助を依頼する。



 

マイケルは5億ドルの預金をする代わりに、バチカン銀行の管理下にある投資会社「インモビリアーレ」の理事の椅子を要求する。その立場になれば、資金の洗浄が容易になる。マイケルはファミリーを、完全に合法的な会社にしたかった。



 

それは30年以上前にケイに約束したことだ。あの時、マイケルは3年でそれができると豪語した。でも未だに達成できていない、マイケルの悲願だ。



 

ギルディ大司教は、6億ドルの預金と引き換えに、それを容認する。



 

幼い頃、優しく接してくれたフレド叔父さんに何があったかを理解しているアンソニーはマイケルの意に反し、オペラ歌手になることを宣言する。



 

妹のコニー。かつてマイケルを激しく憎悪していたが、最後の兄妹となった今、コニーはマイケルの最大の理解者となっていた。



 

そのコニーは、ソニーが愛人に産ませたヴィンセントを目にかけていた。彼はソニーの血を顕著に引いている。すなわち、短気だが義を重んじ、良くも悪くも真っ直ぐな性格。



 

マイケルの愛娘・メアリーは、ヴィンセントに恋心を抱いていた。



 

そのヴィンセント、今はニューヨークを支配しているザザの元で働いているが、マイケルの目の前でザザと激しくやりあう。ザザは影でマイケルを侮辱し、後釜さえ狙っている。そしてザザの耳を食いちぎり、関係の修復は不可能となる。



 

マイケルはヴィンセントに、亡き兄を見る。彼をしばらく自分の元において見ようと決心する。

 



バチカンで、マイケルは驚愕する。ギルディ大司教が、銀行家・カインジックと共謀し、コルレオーネ・ファミリーのインモビリアーレへの参画の約束を反故にしようとしているのだ。

 

表向きは、法王の病状悪化を理由としているが、6億ドルをマフィアから奪取するそのやり口にマイケルは激怒する。



 

コニーの名付け親(ゴッドファーザー)・ドン・アルトベッロは、他のファミリーとの仲介になり、彼らの不満の解消に一肌脱ぐ。マイケルが違法な仕事から手を引いているので、彼らは見放された、と思っているのだ。



 

友好パーティを開くため、全員を会場に集めるマイケル。そこに突如あらわれたヘリコプター。マシンガンによる一斉射撃が行われ、マイケルと友好関係にあるほとんどのボスたちが殺される。

 



ヴィンセントの働きで間一髪、難を逃れたマイケルだったが、持病の糖尿病が悪化し、生死の境をさまよう。



 

ヴィンセントとメアリーは愛し合っていた。しかし、ファミリーでマイケルの信頼を得れば得るほど、危険な立場になる自分。自分に何かあれば、敬愛するマイケルの娘を悲しませることになる。ヴィンセントは苦悩する。

 



ヴィンセントは白昼堂々、騎馬警官に扮装し、ザザを殺害する。その姿はどこか、ファヌッチを殺したヴィトを彷彿とさせた。

 



ザザごときが1人で、全てのファミリーのボスを皆殺しにする決断など下せるわけがない。黒幕がいる。おそらくはアルトベッロだ。

 



病状回復の兆しが見えたマイケルはイタリア・シシリーへと向かう。父の故郷であり、かつて、父の命を狙うソレッツォとマクラスキーを殺した時、身を隠していた場所だ。



 

かつてマイケルを匿ってくれたドン・トマシーノは存命していた。トマシーノの助言で、マイケルはバチカンのランベルト枢機卿と面会し、インモビリアーレの件を相談する。



 

枢機卿は、マイケルが出会ったことのないような人物であった。彼の大きな懐で、マイケルはこれまでの罪を告白する。特にフレドを殺害したこと。ヴィトの息子を殺してしまったことが、マイケル最大の苦悩であった。枢機卿の前で号泣するマイケル。

 



マイケルはヴィンセントをアルトベッロに接近させ、本心を探らせる。アルトベッロは、インモビリアーレへの参画を目論むドン・ルケージとつながっていた。ここシシリーでマイケルを殺し、インモビリアーレの理事の椅子を狙っていたのだった。



 

バチカンでは法王が亡くなった。次の法王を決める選挙「コンクラーベ」が行われ、ランベルト枢機卿が圧倒的な得票数で法王となり、ヨハネ・パウロ1世を名乗る。



 

ギルディ大司教と銀行家カインジックは焦る。次の法王は徹底的にバチカン銀行を調査するだろう。自分たちの不正が明るみに出ることは時間の問題だ。



 

マイケルの息子・アンソニーは主役としてオペラの舞台に立つこととなった。実母・ケイもシシリーに駆けつける。



 

マイケルとケイ。長いいざこざはあったが、お互いはまだ深く愛し合っているのであった。



 

ヴィンセントの報告で、アルトベッロ、ルケージ、ギルディ大司教、銀行家カインジック、のつながりが判明した。

もはや、疲れ果てたマイケルの手に負える話ではなかった。マイケルはヴィンセントにコルレオーネ姓を名乗ることを許し、全権を委ねる。

 

ここに、「ドン・ヴィンセント・コルレオーネ」が誕生した。



 

アルトベッロはマイケル暗殺のため、シシリーの殺し屋・モスカを雇う。

モスカによりドン・トマシーノが殺された。ケイはこの世界の恐ろしさを再認識する。



 

そしてアンソニーのオペラ・デビューの日。

 



ヴィンセントは最も信頼できるアル・ネリをバチカンに向かわせる。コニーは自分のゴッドファーザー・アルトベッロを毒殺。ヴィンセントの刺客はルケージも、カインジックも殺害する。

 



アル・ネリはギルティ大司教殺害に成功する。しかし一足遅く、ヨハネ・パウロ1世は毒殺されてしまう。



 

アンソニーのオペラは大盛況で幕を閉じる。しかし退席の場に現れたモスカが放った銃弾はマイケルをかすめ、メアリーの命を奪う。

 



愛娘の遺体を胸に抱き、半狂乱に絶叫するマイケル。



 

その後、マイケルは失意のうちに老いていき、孤独の中でこの世をさるのであった。



 

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