走れダイエットランナー!

ポンコツ夫とポンコツ嫁はん。ランニングで健康維持しつつ映画やテレビ見ながら言いあらそうブログです。

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サロマ湖100kmウルトラマラソン2017。豪雨、強風、極寒の中、 初出場のデブ友は完走を果たしました!! "Dランナー"の誇りです!!

 

 

 

 

 

僕を筆頭にして、デブなのに走ってる人っていますよね。

 

痩せたいから走り始めて。やがて、走ることの魅力にとりつかれて。

 

普通の人は、やがて痩せていきます。運動量が増えると自然に痩せていきますし、体重は少しでも少ない方が有利なので、痩せる努力も手伝って、痩せた、アスリート体型になっていく。

 

でも中には、なかなか痩せられない人もいます。僕を筆頭にして。

 

たぶん、ですけど、藤田さんも後者のカテゴリーに属する人です。僕と同じ、いわゆるデブランナー。

 

ちょっと語感が悪いので、ここでは

 

「Dランナー」

 

と呼びましょう。

 

下関海響マラソン2014 

 

あの日も、雨が降っていました。

 

2014年11月5日、下関海響マラソン。藤田さんは腰と膝を痛め、満足な練習ができずにこの大会に臨みました。スタート前に集まった時、彼は「医者からも止められているので、20kmあたりでリタイアする」、と宣言していました。

 

でも、彼にも意地があったんでしょう。後半は、暴風雨のような天気になったあの日も、ギリギリの時間で彼は完走しました。僕はそんな彼の頑張りに泣けてきました。

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北海道マラソン2015

 

2015年8月30日、北海道マラソン。僕は前年、完走したけど、この年はケガが続き、完走は難しいと自分でも思っていました。39.8kmまでたどり着いた時も、ぼお、っとしてまだ時間が読めずにいました。

 

応援に来ていた藤田さんの声が、僕の耳に届きました。

 

「(40kmの関門を指差し)あと15分ある!!もう大丈夫!!

 

この時、初めて、僕は完走できると確信しました。

 

藤田さんはこの時は、走ることなく、応援にだけきてくれたのでした。東京から札幌まで。ただ応援するためだけに。

 

確か、フルにエントリーしていたけど、怪我で走ることができなくなったのでした。せっかく飛行機も宿もあるから…ということで、応援に来てくれたのでした。

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2016年9月、八尾市立病院

 

2016年9月14日。その前日、心臓の手術を受けた僕のところに、藤田さんがお見舞いに来てくれました。

 

「こっちに出張の用事があったから。たまたま」

 

と彼は言いました。でも入院していたのは大阪は大阪でも、八尾の病院です。新幹線の駅からだと、片道で小一時間はかかる、辺鄙な場所。たまたま、ではなく、わざわざ、僕のためによってくれたのでした。

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高スペックなのに、飲むとネガティブ

 

いつも、自分を殺して、他人にばかり気を使っている藤田さん。

 

太っていることを、いつも自嘲気味に話し、気配りができすぎるせいで、メンタル面の悩みを抱えてらっしゃって。

 

実は、僕自身も同じような性格なので、とてもシンパシーを感じています。

 

でも彼は、太ってはいますが長身だし、京都大学をでて、英語はおろか、中国語、韓国語、タイ語などを駆使されて世界中を飛び回っているビジネスマン。

 

一体何を悩む必要があるのか、と思うくらいに、素晴らしいスペックの持ち主なのに…

 

酔うとなぜかネガティブな話をして、友達を困らせる一面も持つ、そんな彼。

 

去年の秋頃、少し度を過ぎたネガティブ話をしてしまった彼。たくさんの友達から、愛ある叱咤激励の言葉を受けていました。

 

そしてその日から、彼は変わったように思います。

 

 

 

 

1ヶ月に2レース以上出走

 

ネガティブな投稿はなくなり、その代わり、わずか8ヶ月の間に、

 

国内13レースと海外5レース、計18レース

 

を走破されました。中にはハーフマラソン等もありますが、ほとんどがフルマラソン。中には60kmのウルトラマラソンや、夜通し走る12時間走も。

 

1ヶ月平均、2レース以上に出場されていることになります。

 

海外5レースと書きましたが、たった8ヶ月で海外のマラソン大会を5つも走るランナーって、そういないと思います。しかも海外出張の合間にでたレースはなく、すべて自分で飛行機をとって、そのレースのためだけに国際線に乗って行ったのです。中には、「日本人は自分以外、一人もいなかった」とコメントされてるレースもありました。

 

僕みたいな、スズメのメンタルでは到底できないことも、この8ヶ月でやってのけられました。

 

メンタルも、脚も、心肺機能も鍛えて。

 

彼は臨みました。

 

そしてサロマへ

 

日曜日に行われた、サロマ湖100kmウルトラマラソン2017。

 

通常の100kmウルトラマラソンの制限時間は14時間ですが、サロマは13時間

 

前半は、フルマラソン5時間ちょっとのペースで走らないと、関門を超えることができません。そのタイムは、彼にとってはかなり高いハードル。前出の18レース中でも、サブ5で走破した大会はわずかに1つだけです。

 

午前中、僕は外出していましたが、出先で9時33分、スマホでのぞいてみたところ、藤田さんは、後に12時間ジャストでゴールすることになる女性ランナーより前を走っていました。ほぼフルマラソンの位置でした。前半の関門を越えるため、彼としてはかなり飛ばしていたのだと思います。

 

僕は11:50に帰宅しました。

 

すぐにランネットの「応援ナビ」につなぎ、藤田さんの状況を確認しました。

 

 

▼応援ナビの画面。ここに氏名やゼッケン番号を入力すると、選手の現在位置が表示される。f:id:maddiehayes9915544:20170628082627p:plain

 

彼は中間レストを超えたところでした。僕はまだたどり着いたことのない中間レスト。

 

藤田さん、すごい!!

 

そこからはもう、パソコンの前から離れることができませんでした。

 

次々と、関門を突破。

 

彼は着実に、関門を越えていきます。

 

信じられない…。

 

北海道マラソンさえ完走していないDランナーに、できることとは思えない…

 

それを、目の前のパソコン画面は、彼がやってのけていることを示しています。

 

もう、涙が溢れて止まりません。

 

「頑張れ、頑張れ!!」

 

僕はロードで応援するときと同じように、パソコンの前で手を叩いて応援していました。

 

厳しい気象条件

 

特に昨日は、昨年以上に寒く、雨が厳しく、過酷な環境だったとのことです。

 

10回以上連続で完走しているベテランランナーでさえ、昨日はタイムアウトという大番狂わせもありました。

 

極寒のワッカで彼を守ったもの

 

そしてついに、80km地点を越えた彼。「ワッカ」、つまり「ワッカ原生花園」に入りました。

 

6月最終日曜日に行われるこの大会、晴れると真夏の暑さがランナーを苦しめますが、そんな日でも、ワッカに入ると肌寒い、と聞きます。

 

ましてや、雨で10度前後のこの日。ワッカは雨に加え強風が吹き荒れ、何人ものランナーが低体温症でリタイアしている、との情報が流れ込んで来ていました。

 

揶揄する意図は全くありませんが、もしかしたら、ここでDランナーの数少ないアドバンテージが、藤田さんを助けたのかもしれません。

 

ランナーの体脂肪率って10%かそれ以下が多い中で、Dランナーの体脂肪率は30%。いつもは邪魔なこいつが、「寒さ」という敵からは守ってくれる大いなる味方になります!!

 

もちろん彼は秋口からかなり減量されていると思うんです。それは写真を見ればわかります。

 

でもわずか半年では劇的に体脂肪が減ったとは思えません。もし減っていたらそれは病的な痩せ方で、100km走ろうって人間の痩せ方ではありません。

 

まだ彼の体脂肪は30はあるはず。そしてそれが、彼を守ったんだと思います。

 

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彼のペースがぜんぜん落ちないことに、僕は驚きを隠せませんでした。確かにフルマラソンを何度も走って練習を積み重ねていましたが、前半はこれまでにないほどのペースで飛ばしたはず。疲れが見えて来てもいいのに、ずっと、イーブンペースで走っています。

 

ゴール予想:30秒前

 

「応援ナビ」というアプリは、ゴール時間を予想してくれます。それによると彼のゴールは…

 

制限時間の31秒前を予想していました!!

 

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実は彼の前方400mには、史上最年少でサロマンブルー(この大会を10回完走した者に贈られる称号)になり、毎回、制限時間ギリギリで完走する鈴木健司さんが走っています。鈴木さんの真後ろにいるということは、ギリギリで完走できるはずです!!

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でも鈴木さんは、12時間59分でゴールされた年もあります。400mのビハインドが命取りになる可能性も否定できない…

 

キロ8分で走っている彼に残された時間は、まさにギリギリでした!!

 

「藤田さんは頭がいいから、計算はできているはずだ!!」

 

とは思いながらも、あまりのギリギリ具合に固唾をのんで見守っていました!!

 

完走

 

そして…

 

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彼は、やってのけたのでした。

 

僕は手を叩いて、このゴールを喜びました。

 

帰宅して約6時間、ほとんどパソコンの前から動くことができず、彼を示す点の動きを見守っていました。

 

おめでとう、おめでとう、すごいね、と、ずっと呟いていました。

 

でも、その時、僕は思いました。

 

僕が完走できないと思った北海道マラソン、彼は札幌の道の上で僕を応援してくれた。

 

心臓にメスを入れた次の日も、彼は病院まで来て励ましてくれた。

 

でも僕は、彼の一世一代の挑戦の時に、その場にいなかった…

 

なんて、薄情者なんだ…

 

ごめんね、藤田さん。僕はサロマに行くべきでした。

 

でも僕もメンタルが弱いから、まだサロマに行く勇気がなかったんです。

 

でもこの日、あなたに勇気をもらいました。

 

サロマ湖100kmウルトラマラソン、初挑戦にして、初完走を果たした藤田さんは、Dランナーの誇りと言っていいと思います。