リアル村野・三村仁司氏の、Qちゃん金メダル秘話
2000年、シドニーオリンピック前夜。
アシックスのアスリート用の別注靴職人だった三村氏は、高橋尚子選手の脚長(股関節からカカトまでの長さ)が左右で8mm違うことに着目し、オリンピック用の高橋選手のシューズの左右のクッションの厚さを変えます。
しかし、本番前にそれを試した高橋選手は、違和感を感じ、やはり左右とも同じ厚さのシューズにしてほしい、と三村氏に依頼します。
しかし、三村氏は、高橋選手の勝利にはこの左右の厚さの違うシューズこそカギだ、と信じ、さらなる改良を加え、左右の厚さは変えたまま、それが高橋選手にさえ気づかれないように工夫しました。
そして高橋選手には、「左右の厚さは同じにした」とウソをついて、オリンピック用のシューズを作りました。
試しに履いてみた高橋選手は、左右の厚さが違うことに気づきませんでした。
納得してその靴を履き、シドニーに挑んだ高橋選手。
万一、高橋選手がダメだった場合、三村氏は会社に提出する辞表を胸に、オリンピックを見ていたそうです。
それを履いて、シドニーオリンピックで高橋選手が金メダルを獲得したことは、日本人なら誰でも知っていること。
「陸王」で市川右團次演じる村野フィッターのモデルが三村仁司氏であることは誰の目にも明らかです。
「シューフィッター」という仕事
「陸王」では村野の職務は「シューフィッター」となっています。
シューフィッターという職業は実在しますし、私の妻は上級シューフィッターでもあるのでよく知っているのですが、村野のようなシューフィッターは存在しません。あくまでも、ドラマだけの架空の職業です。
原作本では「シューマイスター」となっていて、三村氏を意識した職種ですが、これも実在しないでしょう。
ピエール瀧演じるアトランティス社の小原部長と衝突し、なんの慰留もなく退職させられる役回りの村野は、三村氏のように会社の黎明期を支えたほどの職責ある立場だと成立しません。
そのため、ランナーから兄のように慕われながら、常に現場第一で選手をサポートし、逆に結果だけを求める会社と対立する立場、としてシューフィッターという形で描いているのでしょう。
本当のシューフィッターとは
シューフィッターとは、顧客の足を、足長(親指の先からカカトまでの長さ)と足囲(親指と小指の付け根の周囲の長さ)を計測し、顧客の足に合った靴を選ぶのが仕事。
これは、「足と靴と健康協議会」という組織が認定する資格です。
ここの事務局長の木村さんという方が、「陸王」のアドバイザーをされているようです。
茂木の苦悩と村野の決意
陸王初期モデルに手応えを感じていながらも、怪我が治ればサポートを再開するというアトランティス社の言葉を信じていた茂木は、シルクレイ搭載の「陸王」新モデルに見向きもしません。
アトランティス社の村野フィッターは茂木に全面サポートを約束しているにもかかわらず、部長の小原は茂木の怪我の深刻さからサポート再開の意思はありません。
裏切られた茂木は失意に沈みます。
村野は小原と衝突、責任を認めずこちらに転嫁してくる小原に、アトランティス社の限界を感じた村野は退職を決意。
「陸王」の可能性を熱く語る宮沢の熱意にほだされた村野はチーム「陸王」への加入を決意します。
今まで宮沢を門前払いしていた城戸監督も、村野を従えた宮沢を通さないわけにはいきません。そして、ついに新「陸王」に足を入れる茂木。
豆知識・顧客が惚れる村野氏のフィッティング方法
この時、村野フィッターは茂木の足を、自分の立てた膝の上に置かせて靴ひもを結びます。
こうすることで、カカトがきっとりと密着し、正しい靴の装着状態になると同時に、自らの膝を汚してでも顧客のフィッティングを優先するというフィッターの姿勢が顧客に伝わります。
今まで靴屋でこんなフィッティングをされた経験がおありの方、いらっしゃいますでしょうか?
よほど一流の店でしかお目にかかれないフィッティング方法です。
この何気ないシーンはプロの靴屋でもなかなか知らないことです。先述の木村事務局長のアドバイスであることは間違いありません。
宇野けんたろうの顔芸!!
陸王を履いた茂木は、1万メートルのタイムトライアルで素晴らしい走りを見せ、ラスト1周でトップの選手に並びます!!
芸能界フルマラソン最速・「げんきーず」宇野けんたろうの顔芸!!
実際の宇野さんはフルマラソンを2時間34分で走る俊足です!!でもさすが芸人、この情けない顔芸は、ヒタヒタと迫ってくる茂木への恐怖を表し、主役の竹内涼真を引き立てていました!!
次の瞬間、茂木の足に再び異変が!!ゴール直前、倒れこむ茂木…。
診断結果はただの足攣り、大事には至りませんでした。
役所広司、三度目の笑い泣き
第1話こそ違いましたが、第2話から第4話まで、エンディングはいつも役所広司の笑い泣きで終わっています(^_^;)
我が家では、「役所広司が笑い泣いたら陸王が終わる」とまことしやかにささやかれ始めました(^_^;)
それでも、役所広司の豪快で繊細な表情は見ている側も熱くなり、ビジネスパーソンに明日への活力をもたらしますね!!
こうして飯山と村野の加入で磐石となったチーム陸王!!
ですが怪我はしたものの、茂木の走りに光るものを見た小原は、小籔千豊演じる佐山の「茂木はもう終わり」という情報が間違いであることを見抜き、茂木を取り戻すことを佐山に厳命!!
さあ、どうなるんでしょうね来週は??