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「オリエント急行殺人事件」新時代のポアロ、スタイリッシュに見参!!21世紀のポアロを描いた新解釈の古典ミステリ!!

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*注意!!

 

当ブログは「オリエント急行殺人事件」の犯人について触れています。

 

物語をご存じない方は、先に映画をご覧になられることをお勧めします!!

 

 

 

 

 

オリエント急行殺人事件、見てきました。

 

結論から申しますと、とても素晴らしい作品です!!

 

さっそくレビューさせてください!!

 

二段構えの、すごい口ヒゲ!!

 

まずはポアロの代名詞の口ヒゲですが、なんじゃこりゃああ!!

 

見たことない、二段構えの口ヒゲです!!

 

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まずは鼻の下から生えたヒゲがハの字に伸びているのですが、さらにその下、こめかみのあたりまで、そのハの字の続きを描くように皮膚にヒゲをたくわえる、二段構えの口ヒゲ!!

 

すごい、あんなヒゲは見たことない!!

 

もうこのヒゲを考えただけでも、ケネス・ブラナーのポアロはキャラが出来上がったと言っていいと思います!!

 

異質なポアロ

 

クリスティのポアロ像を最も正確に描写しているポアロ像は、たぶん、デヴィッド・スーシェが演じているポアロだと思います。

 

小男で、異常なまでに潔癖症で、後頭部が禿げ上がり、自信に溢れ、どこかユーモラスでもあり。

 

1974年の「オリエント急行殺人事件」のアルバート・フィニーのポアロも原作に忠実に描かれていますが、淀川長治さんの言葉通り、

 

「ちょっとやりすぎ」

 

な感は否めません。

 

それに対し、ケネス・ブラナーが演じた今回のポアロは、先に述べたように見たこともない立派な口ひげをたくわえ、肥満体とは言えない体躯に現代風なスーツを着こなす、極めて現代風ないでたち。

 

しかも他のポアロでは考えられない、アクションシーンすらこなします。

 

まさに現代版ポアロ。

 

この辺りが、原作に忠実にしてほしいというファンの方には受け入れられないかもしれませんが…。

 

古典を現代風に解釈し蘇らせる、という点では成功していると思います。

 

ジョニー・デップ=ラチェットの驚愕!!

 

俳優陣のランクでも頭ひとつ飛び出ているジョニー・デップが、殺されるラチェットを演じると知った時は驚きました!!

 

過去に邪悪な犯罪を犯し、その妖気が身体中から漂っているので、警護を依頼したポアロから、「あなたの顔が気に入らない」と信じられない発言をされて断られる人物です。

 

この、「あなたの顔が気に入らない」というセリフは原作にもありますが、1974年の映画にも、スーシェ版「オリエント急行の殺人」にも登場しないセリフですが、本作は忠実に使ってくれていました。

 

確かにジョニー・デップ、邪悪な殺人者をうまく演じていました。

 

1974年版「オリエント急行殺人事件」に足りなかったもの

 

社会派監督シドニー・ルメットがメガホンを取り、キラ星のごとき名優たちが出演した1974年度版「オリエント急行殺人事件」も、ある意味で素晴らしい作品です。

 

しかし、2010年にテレビ番スーシェの「オリエント急行の殺人」と比較すると、テレビ版の方が押す声が多いのも事実です。

 

シドニー・ルメットの「オリエント急行殺人事件」は豪華すぎる俳優たちの出演により、お祭りムードの作品に仕上がりました。

 

ある意味、見ていて楽しい作品です。

 

オリエント急行が出発する場面はワルツが流れ、ラストシーンは全員が笑顔で乾杯する場面で終わります。

 

しかし、凄惨な殺人事件を描き、「あの」結末のあと、乾杯するとは何事か、と感想を持つ人がいることも確かです。

 

テレビ版ポアロは違います。ずっと沈鬱なムードで話は進み、ポアロが謎解きをした時も、ポアロは殺人者を許しません。

 

激怒し、犯人を激しく非難します。

 

その後、苦悩し、葛藤し…。

 

ロザリオを握りしめながら、原作と同じ結論を導きます。

 

法を重んじ、人間の尊厳を大事にするポアロは、どんな場合でも殺人を許しません。

 

しかしこの場合はどう考えれば良いのだ、とポアロは自らの信念と戦わなければならない。

 

ケネス・ブラナーのポアロはこれを恐怖と言います。

 

「怖い」

 

と、正直につぶやきます。

 

そして犯人に銃を渡し、

 

「私を殺せ!!私は嘘をつけない!!」

 

と犯人に迫ります。それほど追いつめられるポアロ。

 

大胆な変更

 

俳優たち

 

かつてはショーン・コネリーが演じた、軍人であるアーバスノット大佐は、なんと黒人俳優レスリー・オドム・ジュニアという人が演じ、しかも医者という設定です。

 

大佐は家庭教師のデベナムと恋仲であることを秘密にしなければなりません。妻が不貞を働き、離婚訴訟中なのですから。

 

それを、黒人と白人の恋、という解釈に変え、しかもアーバスノットを医師としました。原作のコンスタンティン医師の代用としたのです。

 

イングリッド・バーグマンが演じた宣教師のオルセンはペネロペ・クルスが。バーグマンと同じく、きらびやかな美しさを封印し、泥臭い女を演じました。ただ、名前はエストラバドスと変わっています。彼女がスペイン系だからでしょうか。

 

アンドレニイ伯爵を、ものすごく短気な人間としている点も注目です。また、その妻のエレナも、かつてはジャクリーン・ビセットが演じた、健康的な美人でしたが、今回は極めて病弱な女性として描かれていました。

 

ただ1人、ポアロの味方である、鉄道会社重役のブークが、ものすごく若返った点も特筆に値します。かつてはマーティン・バルサムが演じ、ポアロと同い年くらいに描かれていました。ブークが若返ったので、物語に弾力が生じました。

 

有名シーンの削除

 

殺人現場に残されていた、焼け焦げた紙切れ。

 

それこそ、最も重要な証拠に違いない、と踏んだポアロは、その紙に何が書いてあったのかを知るために、「焦げた紙を再度、燃やす」という方法をとります。

 

そうすることで、一瞬だけ、書かれていた文字が浮き出てくる(らしい)からです。

 

さて、このシーンでポアロが使うのが、「帽子入れ」なる道具。

 

ポアロは公爵夫人のメイドから、公爵夫人の「帽子入れ」を拝借します。

 

一体そんなものを何に使うのだ…。

 

という、ミステリ独特の不思議な空気に包まれるシーン。

 

帽子入れに入っている、帽子の型を守るための山形の、ざるのような形をした金具を二つ、合わせて、その頂点に焦げた紙を置き、下から炎で炙り、浮き出る文字を読む、という有名なシーン。

 

しかし今のご時世、「帽子入れ」などという道具を見たこともありませんし、さらにその中にあるざるのような金具など、お目にかかったことなどありません。

 

ですので、本作では有名なあのシーンを取りやめ、ポアロは作業員が使っているランプの炎で焦げた紙を焼きます。

 

このあたりの演出も、現代に即したものとなっています。

 

風景

 

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雪の嵐を進むオリエント急行のシーンは、CGを駆使して悪夢のような風景の中を進む様子がよく描けていたと思います。これは現代しか描けない情景でした。

 

また、ともすれば汽車の中だけのシーンになってしまう設定に対し、例えばデベナム尋問シーンは外で行なったり、マックィーンが外で帳簿を燃やすシーンを追加し、ポアロと大捕物を演じるシーンなどは、アクションシーンと言っていい場面で、他のポアロものではあり得ません。

 

そしてラストを汽車の外で撮影したあのアイデアは見事だと思います。横に並んだ容疑者たちは、ダヴィンチの最後の晩餐のように見えました。あんな絵は想像もしなかった。

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オリジナルに忠実なオリエント急行殺人事件が見たい、という人には少し違うかもしれませんが、現代風の新しいオリエント急行殺人事件としては、素晴らしい出来だと思います!!

 

STORY

 

エルサレムで宗教に絡んだ事件を解決したポアロは、休暇を取るべくイスタンブールのホテルに投宿、そこで旧友で鉄道会社重役のブークと再会する。

 

ホテルで本国への帰国命令を受け取ったポアロは休暇を取りやめ、オリエント急行に乗ることとする。

 

シーズンオフなのに客車は満室。ブークが別の車両に移動することでなんとか席が確保できた。

 

一晩だけ、二段ベッドで過ごしたポアロは次の朝から個室が用意された。

 

ラチェット=ジョニー・デップ

 

朝食の席で、ポアロはラチェットという名のアメリカ人の富豪より、身辺警護を依頼される。かなりの高額を提示されるが、ポアロはこの人物に邪悪な影を見、依頼を固辞する。

 

「何が気に入らない?金額か?」

 

「いいえ。私はあなたの顔が気に入らないのです」

 

脱線

 

その夜、天候は荒れ、激しい雪崩が発生、機関車部を直撃し、脱線する。

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幸い、客車は無事であったが、汽車は動くことができなくなる。

 

事件発生

 

翌朝。

 

ラチェットの執事が部屋をノックしても応答がない。そこに通りがかったポアロは不審に思い、鍵をこじ開け、ラチェットの死体を発見する。

 

黒人医師のアーバスノットが死体を調べる。死体にはたくさんの刺し傷があった。内臓に達する傷、浅い傷。まるで目をつぶって突き刺し続けたかのようだ。

 

鉄道会社重役のブークは旧友のポアロに事件の解決を依頼する。

 

食堂車に集結していた乗客たちに、ラチェットが死んだことを伝えるポアロ。

 

車両間のドアは鍵がかかっていたので、捜査対象はカレー行きの車両にいた12名に絞られた。

 

唯一、容疑者から外れたのは、ポアロに自分の客車を譲り他の車両へ移動した鉄道会社重役のブークだけ。

 

マックィーン

 

ラチェットの秘書兼通訳であったマックィーン。弁護士資格を有していたが、仕事が好きになれずにその資格を放棄していた彼は、明らかにラチェットを嫌っていた。

 

「彼がお好きでしたか?」

 

「好きだったのはあの人のカネだ。人柄は最悪だった」

 

彼は事件当夜、アーバスノットという黒人医師と一緒に酒を飲んでいた、と証言した。

 

死体検証

 

腹から胸にかけて12箇所もの傷があった。床に落ちていたコーヒーカップから、「バルビタール」という睡眠薬の匂いを嗅ぎとるポアロ。

 

床にはまた、女性用の高級ハンカチが落ちていた。イニシャルは「H」。

 

さらにパイプクリーナーも落ちている。

 

ポアロはこれらの証拠があまりにも都合が良すぎると判断。最も重要な証拠は、灰皿の中で焦げていた紙切れだと睨む。何か証拠を燃やそうとしていたのだ。

 

ポアロは、すでに到着している鉄道会社の作業員たちが使うランプを用いて、その焦げた紙切れを再度、燃やし、燃え切る一瞬に浮き出る文字を読み取る。

 

「ストロング、血、手」

 

といった文字が一瞬、浮き出て消える。

 

そして彼は、被害者の名前が「ラチェット」ではなく「カセッティ」であることに気づく。

 

2年前に発生したアームストロング事件。一人娘・デイジーを誘拐され殺されたアームストロング家。そのショックで妊娠していた妻ソニアは胎児を流産し、ソニア本人も死亡。あまりのショックに大佐本人も拳銃自殺を遂げた、痛ましい事件。

 

その犯人こそ、カセッティであった。

 

しかし彼はギャングの力で逮捕されなかったのだった。

 

ハバート夫人=ミシェルファイファー

 

目が覚めたとき、男が部屋にいたと証言する彼女。男はラチェットの部屋につながるドアを開け、そちらに逃げた。

 

その証拠として、彼女はベッドの下に落ちていたというボタンを差し出す。それはオリエント急行の車掌の制服のボタンであったが、車掌のピエール・ミッシェルの制服のボタンは外れていない。

 

マスターマン(執事)=デレク・ジャコビ

 

最後にラチェットを見たのは夜9時、コーヒーを持っていった時。ポアロは執事の言葉から、彼が不治の病に冒されていることを知る。

 

コーヒーには睡眠薬が入っていた、あなたが入れたのか?の問いに彼は答える。

 

「コーヒーは厨房で用意してもらった。誰でも入れる機会はあった」

 

エストラバドス(宣教師)=ペネロペ・クルス

 

かつては乳母をしていた際、つらい出来事にあい宣教師の道を選ぶ。ハバード夫人の部屋に行こうとして、間違って隣のラチェットの部屋を開けてしまう。夜の11時20分。生きているラチェットを見た最後の証人ということになる。デブナムと同室。

 

ハードマン教授=ウイレム・デフォー

 

オーストリア人、学会に急いでいるという。人種偏見が強い人物だ。

 

マルケス=マヌエル・ガルシオ・ルルフォ

 

外国で脱獄し、アメリカに渡り、それからは正直者として商売を成功させたというクルマのセールスマン。執事のマスターマンと同室のため、アリバイがある。

 

列車が雪崩の直撃を受け、ポアロが部屋から飛び出た時、彼の荷物から飛び出た写真で、ポアロは彼が運転手をしていたことを見抜く。

 

デベナム(家庭教師)=デイジー・リドリー

 

列車の外でテーブルを用意し、ポアロはデベナムを聴取する。かなり聡明で勝気な人物だ。

 

ポアロは汽車が出る直前の、彼女と黒人のアーバスノット医師との会話から、2人が恋愛関係にあると踏んでいた。

 

ポアロは彼女がアーバスノット医師との会話を耳にしていた。「すべてが終わったら、私たちは自由」と彼女は言っていた。あの会話の意味は?と聞くポアロに、

 

「沈黙を禁じる法はない」

 

と答えを拒否するデベナム。

 

ドラゴミノフ公爵夫人=ジュディ・デンチ

 

腰痛のためにすぐに寝た、と証言する公爵夫人。アームストロングという名前に心当たりはないか、というポアロの問いに、夫人は驚くべき答えをする。

 

「私は大佐の妻のソニアの母で、偉大な舞台女優でもあった・リンダ・アーデンのファンでした。そして私は、殺されたデイジーの名付け親でもあります」

 

ラチェットがカセッティであることを告げると、彼女は唾を吐いてラチェットを呪った。

 

シュミット(公爵夫人のメイド)=オリヴィア・コールマン

 

公爵夫人の説明に嘘がないかと問うポアロに、すべてが正しいと答える。料理に博識なところがあることがわかる。

 

そして彼女は、いつもと違う車掌を見た、と証言。

 

ポアロがあの夜に見た赤いガウンは、ポアロ自身のトランクから発見された。

 

そして、ボタンがない車掌の制服はシュミットの荷物の中から。

 

マックィーンの異常行動

 

車外に出たマックィーンはラチェットの帳簿を燃やしていた。彼がラチェットの金を盗んでいたのを隠すためだ。

 

「お前は横領を隠すためにラチェットを殺したんだ!!」

 

と激しく詰め寄るポアロ。しかし…

 

アーバスノット医師

 

事件当夜、彼は確かにマックィーンと酒を飲んでいたと証言。マックィーンはアリバイがある。

 

黒人である彼は、兵役で手柄を立て、上官に恵まれて教育を受けることができた。

 

彼もデベナムとの恋愛関係を認めない。彼の証言の信ぴょう性に疑問を持つポアロ。

 

マックィーンの秘密

 

ポアロはアームストロング事件の検事の名前がマックィーンだったことを思い出す。弁護士の資格を取ったのは父親を喜ばせるためなのだ。そして、アームストロング事件をうまく処理できなかった父は法曹界を追われることとなった。

 

マックィーンが尋問したスザンヌというメイドは無実だったが、彼女は自殺してしまった。

 

「あなたはラチェットがカセッティだと知っていた。そして彼の金を盗み父親の返済に充て、ついには彼を殺して復讐を遂げたんだ、違うか?!」

 

「違う!!違う!!」

 

その時、ハバート夫人の悲鳴が聞こえた。

 

ハバート夫人の負傷

 

彼女の背中に短剣が突き刺さっていた。誰かが彼女の部屋を蹴破り、襲ってきたという。

 

幸い、急所は外れていた。

 

アンドレニイ伯爵夫妻

 

外交特権を盾に非協力的な夫妻だったが、ことここに及び、ポアロは夫妻を尋問。

 

伯爵はとても短気でポアロの訪問にも激昂する。

 

夫人は病弱でほぼ寝たきりのような状態だ。「バルビタール」を常用している。

 

パスポートで、夫人の旧姓がエレナ・ゴールデンバーグであると知るポアロは、彼女の秘密を見抜く。

 

「あなたの名前はエレナではない。ヘレナだ。そしてアームストロング夫人の旧姓はゴールデンバーグ。あなたはソニア・アームストロングの妹ですね」

 

激昂した伯爵に殴り飛ばされるポアロを救ったのはハードマン教授だった。が…。

 

教授の秘密

 

ポアロはすでに、教授の発音から彼がオーストリア人でないことを見抜いていた。彼は、ピンカートン探偵社の探偵であった。ラチェットの警護を担当していたのだ。

 

ポアロ、恐怖する

 

ポアロは1人になった時、初めて恐怖を感じる。わからない、という恐怖。

 

怖い…。

 

と彼は呟く。

 

デベナムとの対決

 

デベナムがアームストロング家の家庭教師であったことを、アンドレニイ伯爵夫人との会話から気づいたポアロ。

 

「あなたがカセッティを殺した。あなたは教え子だったデイジーを心から愛していたんだ!!」

 

「カセッティは死んで当然のクズよ!!」

 

さらにポアロが詰め寄ったその時、銃弾がポアロの腕をかすめる!!

 

アーバスノットだ!!

 

アーバスノットはデベナムを逃し、銃を構えたままポアロに詰め寄る。

 

「僕の医学部進学を助けてくれたのは上官だったアームストロング大佐だった。カセッティが彼から全てを奪ったんだ。だから彼を殺したんだ!!」

 

兵士だったアーバスノットはポアロを殺すつもりだったが、すんでのところでブークに助けられる。

 

乗客たちは全員、脱線した客車を動かすために車外のトンネルに避難していた。ポアロはそこへ向かい、2つの仮説を述べる。

 

1つ目の仮説

 

あの夜、アーバスノットとマックィーンが列車の外で酒を飲んでいる隙に何者かが侵入し、車掌に扮して鍵を開け、ラチェットを殺し、そのまま外に逃亡した。

 

しかしこの説にブークが怒りを示す。

 

「ではなぜ制服を隠した?ハバート夫人を刺したのは誰?全く筋が通らない!!」

 

2つ目の仮説

 

「アーバスノットにとってアームストロング大佐は恩人で親友。

 

殺されたデイジーの家庭教師だったデブナムは、デイジーを心から愛していた。そして、その母・ソニアの妹であるヘレナとも仲が良かった。

 

ヘレナの夫の伯爵は、激昂しやすい性格だが、妻を心から愛している。

 

「H」のハンカチの持ち主は、デイジーの名付け親、ドラゴミホフ公爵夫人。ナタリアのNはロシア語ではHと書きます。

 

彼女の従順なメイドはアームストロング家でシェフをしていた。

 

デイジーの乳母はラチェットを止められなかった自分を責め、宣教師となった。

 

執事のマスターマンはかつてアームストロング大佐とともに戦場で戦い、戦争後も交流があった。

 

アームストロング家の運転手はもちろんマルケス。大佐が保証人となり、自動車販売で成功したのだ。

 

探偵のハードマンはかつては警官で、自殺したメイドのスザンヌと恋仲だった。

 

スザンヌの姓はミッシェル。車掌のピエール・ミッシェルの妹だ。

 

そしてソニアの母であり、デイジーの祖母であるリンダ・アーデン。最高の舞台人だった彼女こそ、ハバート夫人です。

 

誰も、1人では殺人を犯せなかった。犯人は、全員だ。12人の乗客、12の刺し傷」

 

ハバート夫人は自分が計画したので、自分が罪を背負う、という。

 

ポアロは葛藤する。

 

「私は嘘はつけない。自由の身になりたいなら、私を殺しなさい。ブークは嘘をつけるが、私には無理だ」

 

ハバート夫人がポアロが置いた銃を手にする。

 

全員が必死に止める中、夫人はポアロではなく、自分に銃を向け、引き金を引く…。

 

カチリ。

 

弾丸は、入っていなかった。

 

どんな理由であれ、殺人を許さないとの信念を持っていたポアロは苦悩する。

 

しかし今回に限り、このアンバランスを受け入れよう、と決心する。

 

そして警察には第1の仮説を説明し、ただ1人、"BROD"という駅で降車する。

 

その彼を、探している人物がいた。

 

「ポアロさんを探しています。彼をエジプトにお連れするようにと。ナイル川まで」