気象をコントロールせる衛星…って概念はかなり昔からありますよね。
007のパロディ、ジェームス・コバーンの「電撃フリント」でももう何十年も前に気象コントロール衛星を操作して政府を脅す、ってパターンはありましたし…。
それを、この発達したCG全盛のこの時期に、大がかりに思い切って作っちゃおう!!
という感じの映画でした。
リオデジャネイロで海水浴中の人たちが、逃げ惑いながら一瞬で凍る、なんて予告でバンバン流していますが。
ああ言ったシーンのオンパレードなんだろうな!!
って思って見に言ったら…。
意外や意外、あの種のディザスター的シーンはけっこう少なめで。
誰が、なぜ、そんなことをしているのかを調査し、巨悪を暴く…。
というサスペンス的要素が強かったことが驚きでした!!
ジェラルド・バトラーの顔ぢから!!
荒唐無稽、と言ってしまえばそれまでの映画です。それに主役を張って、必死にリアリティを与えようとしてくれていたのがジェラルド・バトラー。彼の顔ヂカラは、思わずスクリーンを見やってしまうパワーがあります!!
また、大統領役にはアンディ・ガルシア、その大統領の補佐官役にエド・ハリスなど、かなりのビッグネームが脇を固めています。これがちょっと驚き。
僕が勝手に想像していたストーリーは…。
気象コントロール衛星の人工知能部分が、故障か、人類抹殺的な判断をして、世界中で予告編で見たような場面が勃発し、それをジェラルド・バトラーが食い止めに行く…。
的な物語を想像していました。
この想像だと、劇中の約半分くらいは、予告編で見た、海水浴場が凍りついたり、砂漠に大洪水が起こったり、というディザスター度満点な映画になり予定だったのですが…。
予想はまったく外れ。
ここのところでも、異常気象の問題は世間を賑わわせています。この傾向が近未来もどんどん進み、人類が住めなくなる機器的状況に追い込まれます。
こうして、全人類が団結し、気象コントロールシステム〝ダッチ・ボーイ〟を作ります。
頭脳とも呼ぶべき宇宙ステーションと、地球の周囲をぐるりと取り囲んだ無数のユニットで構成されているシステム。
〝ダッチ・ボーイ〟のおかげで世界は救われたのですが…。
色々あって、〝ダッチ・ボーイ〟建設の責任者であるジェラルド・バトラーはクビになってしまいます。
クビにしたのは、彼の弟である人物。弟は大統領を補佐する役職の一人で、〝ダッチ・ボーイ〟に関する責任者なのでした。
3年後、〝ダッチ・ボーイ〟が故障したかもしれない兆候を見せ…。
それを調べていた技師が謎の死を遂げ…。
大統領は穏便な解決を図るため、〝ダッチ・ボーイ〟へ送る人員を1名だけ、と決め…。
弟は兄を再び〝ダッチ・ボーイ〟へと向かわせます。
香港で起こったトラブルを引き起こした衛星を調べようとしたら、衛星をつかんでいたアームが狂ったように動き回って施設を破壊し。
死んだ技師に起こった問題を解く鍵となるパーツを宇宙遊泳で取りに行けば、バックパックが制御不能になり、あわや宇宙に放り出されそうになり…。
ジェラルド・バトラーは何度も死にかけます。
ことここにいたり、これは故障ではなく、何者かが事態の露見を防ぐべく、ジェラルド・バトラーを殺しにかかっていると判断。
地上では、弟がコンピュータをハッキングしたりしながら事態の解明に乗り出し…。
犯人は、政府の極めて上層部にいる、と判断。
〝ダッチ・ボーイ〟を停止させ再起動するには、大統領の承認が必要なのですが…。
犯人は、大統領その人ではないか?!
となり、事件は混迷の度を深めてきます…。
〝ダッチ・ボーイ〟のシステムはどんどん悪化、このままでは地球規模の大災害「ジオストーム」が発生してしまう…。
ジェラルド・バトラーの弟は大統領のSPの女性と付き合っていて、その女性が仕事を取るか、恋人がいうことを信じるか、と悩んだり。
大統領補佐官のエド・ハリスが、〝ダッチ・ボーイ〟を停止させるシステムとは、大統領自身である、つまり彼の掌紋や目の光彩などであることから、大統領本人にその意思がない限り〝ダッチ・ボーイ〟は止まらない、と教えられたり…。
物語は意外に、政治サスペンス的な様相を醸し出します。
そうしているうちに、事態はどんどん悪化。
クライマックスは、自爆しようとする〝ダッチ・ボーイ〟の船内で、総員が退避した中、ジェラルド・バトラーただ一人が、最後まで〝ダッチ・ボーイ〟の再起動のために死力を尽くす!!
という状況です。
監督したディーン・デブリンという人は、これが長編映画監督デビューだそうです。
アクションシーンや災害部分などはとてもすばらしい映像でした。
もう少し、人間を描く部分を深く掘り下げて欲しかったな、と思いました。