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映画評「ロスト・バケーション」(2016年 87分)

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•はじめに…


ワン・シチュエーション・スリラー。


さいきん、特にこの手の映画が多くなっているように思います。


「ブレーキ」(2012年 91分)もそうでした。「崖っぷちの男」(2012年 102分)「フローズン」(2010年 93分)なんかもそう。「フローズン」、地味だけど怖かったなあ。


この種の映画は一発のアイディアが全て。車の中で、棺桶ていどの箱に押し込まれた男、ホテル最上階の窓から外に出て飛び降りる寸前の男、真冬のスキー場のリフト上で身動き取れなくなった3人…


究極の状況ながら、「もしかしたら、自分もこんな状況に追い込まれるかも?!」で、主人公がどう乗り切るか。


それだけを描くので、観る側もその一点だけに集中すればいい。ある意味、集中しやすく見やすいジャンルです。


•本作…


「ロスト・バケーション」(2016年 87分)。

 

原題は"THE SHALLOWS"。「浅瀬」、って意味みたいです。

 

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劇場で見たかったんですが、時間が合わず、今回やっとDVDで見れました。


置かれたシュチュエーションは…


岸まで200メートルの、海中に浮かぶ岩場に取り残された美人サーファー。岸と岩場の間には、恐ろしく凶暴で、利口なホオジロザメ


彼女を殺すまではここを離れない、と決めているかのように、ずっとその場を回遊している…


•監督…


監督のジャウマ・コレット=セラは、リーアム・ニーソンの「アンノウン」(2011年 113分)「フライト・ゲーム」(2014年 107分)「ラン・オールナイト」(2015年1 14分)を監督しています。


さらに!来年公開予定の映画もニーソン兄さんを主演にしているらしい。


いずれもメガヒットとは言わずとも、手堅く納めている印象の映画ばかり。完全にニーソン兄さんはこの監督が気に入ってるんでしょう。


売れっ子と言っていい監督さんでしょう。


でも本作はニーソン兄さん主演では撮れなかった(^◇^;)


ニーソン兄さんの鍛え上げられた肉体もいいでしょうが、美女のビキニスタイルには勝てまい…


•見どころ・前半

 

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金髪美女のビキニシーン。主演のブレイク・ライヴリーという女優さんは、テレビ「ゴシップガール」で主演していたらしく、僕は初見でしたが抜群のプロポーションです。


若くてスタイルのいい女性のビキニ姿には


「絵ぢから」


がある!それだけで画面を見入ってしまします!


下手な裸より、本作のようにビキニスタイルを、しかもエロじゃなくスポーティーなイメージで撮ると、あの肉体にまでたどり着いた彼女の人知れぬ努力などが脳裏に浮かび、グングンと画面に吸引されました。


前半のサーフィンのシーンが素晴らしい。恥ずかしながら、パドリングしているサーファーが、気に入った地点にたどり着くまでに来てしまう波を、どうやって潜り抜けるのか知りませんでした。


波が来る直前に、サーフボードごと海に潜り、うねりを上に見ながら、波を串刺しにするように向こう側に出るあのシーンなど、彼女のしなやかな肉体と相まって、まるで人魚が踊っているかのような美しさです。


とにかく海中のシーンは、楽園の前半から地獄の後半まで、実写なのかCGなのか見分けがつきませんでした。


CGも、とても効果的に使われています。


•見どころ・後半

 

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サメが現れてからは、前半の楽園のような雰囲気から一転、逃げ場のない恐怖の海と化します!


左の大腿部に負った、大きな裂傷…。縫合・止血しないと命はない。医学生という設定の主人公でも、ビキニしかつけていない。どうやって傷を縫合する…?


幾度か訪れる、生存のチャンス。しかしサメは決してその場を離れず、希望を絶望に変えます。


潮が満ちると岩場はなくなる…


それを知っているかのように、岩場を旋回し続ける巨大ザメ。


サメの姿は、ほとんど見えません。「ジョーズ」(1975年 124分)の演出を踏襲しているかのように、影だけが見えてなかなか姿は見えません。ついに全身が見えるときは、


「おおっ?!」


と、手にしたポップコーンが飛び出るみたいに、びっくりする形で登場します!


そして緊迫のクライマックスへ…!


•まとめ


「新たなサメ映画の傑作!」と謳っているサイトもありましたが、さすがにちょっと言い過ぎかな、と言う感はあります。


しかしながら、楽園みたいな前半に対し、地獄の後半部分は、恐怖と、大腿部の痛みとで息を持つかせぬ展開!


なぜこの種の作品はいつも90分程度の長さなんでしょう。もうあと1ネタ、2ネタくらい加えて2時間くらいに収めるとダメなのかな。


1アイディアで勝負しているワン・シュチュエーション・スリラーでは、120分なら飽きられちゃうのかな。


本作なら、もう少し時間をかけて、ラストに持っていっても良かったように思います。そのあたり少し残念。


とても丁寧に作られた、上質のスリラーです。