昨日は奈良マラソンの応援に行ってきた。
奈良マラソンは坂が多いことで有名だ。もし、マラソンという競技が、42.195kmをただ単に移動するタイムのみを競うスポーツなのであれば、奈良マラソンは成立しないと言っていいほど坂が多い。
累積標高差は約400mという。調べてみると、関西で言えば、大文字山が約400m、生駒山が600mらしい。
いずれにせよ、奈良マラソンは、フルマラソンを走りながら小ぶりの山をひとつ越えているわけだ。
僕は2012年、2014年、2015年と3回走っているが、確かにフラットな場所がないと言っていいくらい、どの場所もいくらかは傾いている。
そんな奈良マラソンのエントリーは先着順だ。いわゆる「クリック合戦」。
毎年6月半ばのエントリー開始日には、スタート時間の20時にはパソコン前に鎮座しておかねばいけない。
20:00と同時に「ただいま混雑しております」の画面に切り替わる。日本中でかなりの人数が一斉にランネットに繋いでいるのだ。
そして、約30分後には、「定員になりました」の表示が出て、エントリー終了となる。
なぜだ?
坂道ばかりの大会なのに、
タイムなんか狙えない大会なのに、
なぜそんなに人気があるのだ?
▼こんな道とか、
▼こんな風景しかなく、
文字通りのど田舎の大会なのに。
大阪マラソン、神戸マラソン、そして京都マラソンですら、芸能人が走り、その模様がテレビで放送される。
しかし、奈良マラソンを走る芸能人は皆無だ。
華やかさという点では近隣の都市型マラソンに一歩も二歩も及んでいない。
なのに、そのチケットがプラチナ色に輝く、その理由。
ひとつは、心のこもった大会運営にあると思う。例えば、ゼッケンをもらう段階で、その場所は屋外で、広いスペースで行なっている。
ほとんどストレスなく、スムーズに引き換えができる。
▼当日の着替えスペース。広くて、暖房が嬉しい。また、2014年、私物を入れるビニールを忘れた僕に、瞬時に代替えのビニールを渡してくれた思い出もある。
スタート前、極寒の大気に震えるランナー。普通は100均のレインコートを持参し、それでしのぐのだが、昨日は、運営側がビニールを用意してくれていたとのこと。
ランナー目線で運営し、テレビで芸能人がPRしてくれないビハインドを真心でカバーしているのだ。
そしてもう一つが沿道の応援。
昨日も書いたが、奈良は田舎なので、一万人の人間が集まる機会などない。一万人が、笑顔で、田舎道を走っていく。
誰もが嬉しくなって、心から応援するのだ。
この真心こそ、奈良マラソンのキーワードだ。
そしてもう一つ。
この、修行と言えるほどの凸凹マラソンは、最後の最後までランナーたちを苦しめる。ラスト1kmがまた登りなのだ。
そして登りきり、ほんの数百メートル、競技場の中をゴールへと向かう時…
ランナーたちは、全てが報われたことを知る。
延々と、凸を登り凹をくだってきた自分が、最後の最後にフラットな競技場を走る、走っていいのだ、ここを走る権利が、自分にはあるのだ。
ということを知る。
これに勝るカタルシスがあるだろうか。
全てはこのため、ゴールへと向かう唯一の平らな競技場を走るため、歯を食いしばって来た42.195kmだったのだ。
このカタルシスを知ったランナーは、もうやめられない。
また来年も来たい、と思うわけだ。
そうして、らんネットが繋がらなくなるのだ。
さて。
マラソンの応援については、初級・中級・上級と3つ記事を書いているのでご参考ください。
昨日は最初の応援ポイントである15km地点への移動に失敗してしまい、到着が遅れ、満足な応援ができなかった。
そこでメインの応援ポイントである34.5km地点に早めに到着し、ベストポイントを確保。
のぼりを立て、ランナーの到着を待った。
やがて仲間たちも合流し、最終的には8名で応援をした。
▼手前に陣取られたサンタ応援団。この後お仲間が合流され、最終的には20名ほどのサンタ軍団!
我々の50m手前には、女性中心の、サンタの衣装の応援グループさんが陣取り。写真は数名しか写っていないが、後からどんどん増員し、20名のサンタの応援となっていた。
この、サンタの大応援団さんが、給水や給食を準備されていたようで、私設エイドになっていた。
そのおかげで、応援時のNEW WORD
「ナイス補給!!」が誕生した。
我々の目の前を、給食でゲットしたおにぎりなどをもぐもぐしながら走り抜けるランナーに、
「ナイス補給!いいよ、その補給!」
と声をかけたら、だいたいみんなが笑った。
34kmで、ランナーを笑わせるのが応援者の仕事だ。
6本、購入したコールドスプレーも、全てがカラになった。
13時54分、34.4km地点の関門が閉じ、最後のランナーが走り去って…
僕たちのミッションは終了した。
荷物をまとめ、仲間たちとともに、サンタ応援団の前を通り過ぎる時…
どちらからともなく、
「お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした!」
と、互いの応援を讃えあった。
寒かったけど、スポーツマンの爽やかな風が吹いていた。