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ポンコツ夫とポンコツ嫁はん。ランニングで健康維持しつつ映画やテレビ見ながら言いあらそうブログです。

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生まれて2日で死ぬはずだった子ネコと、優しく貧しい若夫婦の物語。

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昔々、あるところに、心の優しい若夫婦が住んでおりました。

 

小さな娘を一人、神様から授かりましたが、親戚夫婦が育児放棄した二人の兄弟を引き取り、実の娘同様、一緒に面倒を見ていました。

 

お父さんは、長い間はたらいてきた工場から独立し、小さいながら、自分の工場を持ちました。従業員はお母さんだけでしたが、若くして社長になりました。

 

仕事は全然ありませんでしたが、若夫婦は希望に満ち溢れておりました。

 

ただ、いつになっても仕事がありません。若夫婦は依頼があればどんな仕事もいとわずこなしておりました。

 

そんなある日。

 

二人のもとに、一つの仕事が舞い込みました。もう使われていない小さな建物の廃棄物処理と解体の仕事です。

 

二人はさっそく、その建物に行きました。

 

廃棄物処理のため、まず中に入ると…

 

誰もいないはずの内部。でも、小さな音がします。

 

野良ネコの親子が住んでいました。

 

母ネコと、子ネコは、まだ生まれたばかり。手のひらに乗りそうなくらいに小さな子ネコが数匹。

 

お父さんとお母さんは、そのネコの家族を驚かせないように、仕事を進めました。

 

そして次の日。

 

きのうの続きをするために、建物にやってくると…

 

ネコは、消えていました。

 

たった一匹を除いて。

 

人間がやってきたので、危険と思った母ネコが、夜のうちにねぐらを変えたようでした。

 

残された子ネコは、いちばん弱そうだったので、母ネコに捨てられたのかもしれません。

 

生きているのか、死んでいるのかわからないくらい、弱々しい、子ネコ。

 

まだ目さえ、満足に開いていません。

 

顔じゅう泥まみれ。泥を払う力もないようでした。

 

それを見たお母さんは、もう仕事どころではありません。ずっと子ネコにつきっきりです。

 

子ネコは生まれて1日目くらいでした。まだ、食べ物さえ食べることができないようでした。

 

お母さんはつきっきりで、子ネコを両手に包んで、温めてあげていました。

 

お父さんは内心、怒っていました。

 

お父さんも心の優しい人でしたが、ネコだけは嫌いでした。犬は大好きなのですが、猫だけは嫌いでした。

 

「お父さん、このネコ、うちで飼いましょう」

 

「だめだ!」

 

お父さんはガンとしてはねのけました。

 

お母さんは、お父さんがそう言うとわかっていました。お父さんのネコ嫌いを知っていましたから。

 

お母さんは悲しくて悲しくて、どうしようもありませんでした。

 

けっきょく、一日中、子ネコのそばを離れずにいました。

 

いよいよ明日は、工場の取り壊しです。

 

生まれたばかりの子ネコは、母ネコがいないと、1日も生きていくことができません。

 

あのネコ家族は、あの工場があったから、外敵からも身を守られ、雨露もしのげていました。

 

それなのに、自分たちがきたから、母ネコはねぐらを移してしまいました。

 

そして、いちばん小さなあの子が取り残されてしまいました。

 

あした、あの工場が取り壊されたら…

 

子ネコは、間違いなく、死んでしまいます。

 

仕事が終わりました。お父さんはクルマに向かいました。

 

お母さんは、最後にもう一度、子ネコを抱きしめると、その場を後にしました。

 

帰りのクルマの中でも、お母さんは一言も発せず、ただ、涙を流しておりました。

 

お父さんは、むすっとして、一言も喋りませんでした。

 

お母さんは、家について、泣きながら、料理を作っていました。

 

晩ごはんができました。

 

いつもは楽しい夕食。お父さんは黙々と食べ始めましたが、お母さんはうつむいて、食べ物に手をつけることができません。。

 

お母さんは、泣きはらした目で、もう一度、お父さんに言いました。

 

「お父さん…あの子ネコ…」

 

「勝手にしろ!!」

 

ついにお父さんが言いました。

 

お母さんは、椅子から飛び上がりました!

 

「エエのん?連れてきてエエのん?」

 

「勝手にしろ!」

 

そのままお母さんはクルマに飛び乗り、一人であの廃工場へとクルマを走らせました。

 

真っ暗な廃工場。

 

「ネコちゃん、ネコちゃん」

 

お母さんが、昼間に子ネコの世話をしていた場所に行くと…

 

いました。あの子ネコは、まだそこにいました。

 

生まれたばかりで動けず、食べ物も口にできない子ネコ。もう少し、一人ぼっちでいたら、死んでしまっていたことでしょう。

 

子ネコは、優しい人間に、ふわりと持ち上げられました。まだ涙が乾ききっていない目で子猫を見つめながら、お母さんは言いました。

 

「さあ。お家に帰ろう」

 

お母さんはそう言って、子ネコを連れて帰りました。

 

それから…

 

子ネコは、真っ黒な毛並みから、「ブラッキー」と名付けられました。

 

ブラッキーが来てからと言うもの…

 

お父さんの工場は、なぜか、とても忙しくなって来ました。

 

とても、夫婦二人ではおっつけなくなり、従業員を雇うようになりました。

 

今では、工場はさらにもう一つあり、従業員も10名になりました。

 

ブラッキーが招き猫だったことは間違いありません。

 

何よりも不思議だったこと。

 

それは、お父さんが、大のネコ好きになったことでした。誰よりもブラッキーを愛し、「わしの息子」と呼ぶようになりました。ブラッキーの方も、助けてくれたお母さんより、なぜかお父さんの方が好きみたいでした。

 

生まれてたった数日で死ぬはずだったブラッキー

 

20年、お父さんとお母さんの家で、幸せに暮らしました。

 

天寿をまっとうして、ブラッキーは神様のもとに旅立ちました。

 

みんなを幸せにしてくれてありがとう。天国でまた、楽しく走り回ってね。