「前編」はこちら。
「目黒寄生虫館」。
日本で、いや、世界で。唯一、寄生虫にだけ特化した博物館だそうである。
2013年、僕が東京マラソンを走った時に、ナオミさんとお方さまは、いつの日かこの「目黒寄生虫館」に一緒に行こうと意気投合していたのだ。
3年半ごしの約束がかなう時がきた。目黒駅からけっこう歩くが、寄生虫館の前で待つナオミさんと合流。
世界でただ一館だけの、寄生虫だけに特化した博物館だ。
しかし僕は寄生虫なんか見たいとは思わない。気持ち悪いだけだ。
そんな僕の思いとは真逆に、ハイテンションで手を合わせながら、入館する女組。
▼なんでそんなに嬉しそうなんだ…
館内は二階建て。一階はホルマリン漬け。二階は展示パネル、模型が多い。
▼「楽しいねぇ?」との問いかけに、無言で抗議。
エグい展示のオンパレードだ…。
マイコクロリディウム
とくに…
マイコクロリディウム。
カタツムリに寄生する寄生虫。
もし、この名前でググろう思ったアナタ。
閲覧は厳重注意でお願いします!!めちゃくちゃグロいです!!
こいつはカタツムリに寄生。触角をまず10倍強に肥大させ、信じられないが、それを内側から、緑や赤のネオンサインがぐるぐる回っているように光らせるのだ。
寄生されたカタツムリは脳も侵食され、自らの意思とは関係なく、木や草の頂上まで登る。
こうして巨大な目玉が派手なネオンサインを発し、木の頂上にいることで、鳥に見つかりやすくする。これがマイコクロリディウムの真の目的。
鳥がこのカタツムリを見つけるとエサとして食う。マイコクロリディウムは鳥の体内に侵入。鳥に対しては何の影響もせず、ただ糞として体外に排泄されるのを待つ。
マイコクロリディウムはこの方法で、子孫を世界中にばら撒いているのだ。
これを人間に置き換えたら…
・マイコクロリディウムに寄生される→
・眼球が10倍に膨れ上がる→
・眼球から、緑、赤、黄色、の光を発し、光はぐるぐる回る→
・脳を侵され、ゾンビと化し、木に登る。
・鳥の鋭いクチバシで全身をついばまれ、皮膚は裂け内臓は飛び出しながら、脳が侵されてるので笑いながら絶命する。
まさにB級ホラー映画だっ!!
ググればこの寄生虫におかされたカタツムリの動画がありますが、くれぐれも自己責任で閲覧下さい!!下手すりゃトラウマ級の動画です!
「ヒトから出てきた、8.8メートルのサナダムシの実物」
を見て、ナオミ教授の講義が始まった。
ナオミ:「お尻からサナダムシが出てきた時の正しい対処法」について、これからレクチャーします。
麗子:宜しくお願いします!
ナオミ:まず、割り箸をご用意ください。
麗子:割り箸、ですね!
ナオミ:次に、出てきたサナダムシの端を、割り箸にそっと巻きつけます。
麗子:そっと、巻きつける、と…
ナオミ:ここで、決して慌ててはいけません。慌てて、割り箸でつまんで引っ張り出そうとすると、絶対にサナダムシは途中でちぎれて、残った側が再び体内に戻ってしまうからです。
麗子:勉強になるなあ!
ナオミ:割り箸にそっとサナダムシを巻きつけ、慌てずゆっくりと、それを巻き取っていくのです。そうすることで、サナダムシを端から端まで、巻き取ることが可能になります!
麗子:わかりました!
ナオミ:これ、おじいちゃんに教えてもろてん!
オレ:ゼッタイ必要ないから!その知恵は!今の時代!
男性のキン○タマを抱き枕ぐらいに肥大させる寄生虫。
(ちなみに、有名な西郷隆盛どんが、このキンタ○マ肥大になってたそうです)
女性陣が、このキ○ンタマ肥大寄生虫に興味津々。
江戸時代に、このキ○ンタマ肥大について描かれた浮世絵を、食い入るように見ている。あまりに巨大すぎて、自分一人で歩くことができない。竿に布をかけて、そこに自分のキンタ○マを収納するのだが、竿の一方の端は自分が持つが、もう一方の端は誰かに持ってもらわなければ移動できない。
▼お方さまによる、その浮世絵の再現図。
ナオミ:この棒の、前を持ってくれてはる人、優しい人やねえ。
麗子:ホンマやねえ!普通、持ってくれへんよねえ?
ナオミ:そうやんねえ。自分の時間を削って、友だちのキンタ○マ持ってくれるんやもんねえ。
麗子:優しい人に、助けられてるんやねえ〜
オレ:たぶん肉親だっての!!(^◇^;)
と、ひととおりの「優しい人コント」も展開しつつ。
物販コーナー
土曜日ということで館内はかなり賑わっていた。
お方さまはここでしか買えない「寄生虫Tシャツ」を買うことを楽しみにしていた。二階の奥に物販コーナーがあり、7種類の寄生虫Tシャツや、寄生虫クリアケース、寄生虫メモなど、寄生虫グッズがあった。(何だよ「寄生虫グッズ」って…)
ボタンを押すと、館内関係者のS木さんが来てくれた。「寄生虫スタッフジャケット」を着た、寄生虫を愛するという感じの寄生虫館職員だ。
欲しい柄のサイズを出してもらいながら、お方さまがS木さんに質問を飛ばす。
麗子:このロゴみたいなんは何ですか?
S木:寄生虫館のロゴなんです!
麗子:このハートみたいなんは、何かの寄生虫ですか?
S木:そうです!フタゴムシという寄生虫です。ハートみたいで可愛いでしょ?!
麗子:その奥の、四角い柄は?
S木:寄生虫を入れるホルマリン容器をあしらいました!可愛いでしょ?!
オレ:かわいいワケないやろっ?!
こうして、興味がないオレにとっては悪夢の時間は終わった。お方さまは寄生虫Tシャツ、ナオミさんは寄生虫文房具を購入し、ゴキゲンだった。ナオミさんにいたっては、1人で来れることがわかり、今度また1人でこよう、とか言っていた。
▼ナオミさん購入の、寄生虫文房具。ハートのようにも、バツ(×)印のようにも見えるのが、寄生虫館のロゴだ。
ナオミさんと別れ、W市まで電車で戻り、駐車場からクルマを出した。もう夕方になっていた。
今日の宿は栃木県足利駅前のニューミヤコホテル。森高千里の名曲「渡良瀬橋」がかかる渡良瀬川のすぐ横のホテルだ。クルマを飛ばし、2時間弱で到着したころはもう夜だ。
駐車場にマナーの悪いクルマがあり、入庫に手間取った。少し怒ってそれをフロントに伝える。
朝食はついていないプランで13000円だ。
「もし朝食つけたらいくら?」フロントに聞く。
「はい、13700円です」
「…えっ?!たった、差額700円?!しかも2名で?!ひとり350円てこと?!」
「はい、ご宿泊のお客様にはサービス価格です」
このサービスで、さっきの駐車場への怒りは吹っ飛んだ。
部屋もとても広く快適だ。
iPhoneトラブルや寄生虫攻撃にさらされたが、楽しい1日だった。
♫こないだ
♫渡良瀬川の
♫河原に降りて
♫ずっと流れ見てたわ
「渡良瀬橋」を口ずさみながら、旅の2日目が過ぎていった。
(旅日記・3日目 に続く)