お方さまは、食べるのが異常に遅い。
以前も、親戚一同でランチにしゃぶしゃぶを食べに行った。自分用の小さなお鍋に、しゃぶしゃぶ用のお肉や野菜が一人前ぶん、お皿の上に乗っているタイプのやつだ。
みんなで楽しくおしゃべりしながらランチ。食べるのが早い男連中なんかは、お肉をお代わりしたりして食べている。
そんな中…
お方さまは、
①食べるのが遅いのと、
②しゃべりに夢中になるタイプ
という、ダブルの理由でお肉がまったく減っていない。
親戚のおばさんから、
「あんた!早く食べなさい!」
と、40歳すぎて注意される始末。
でも、その時はすでに遅く…
薄く切られているしゃぶしゃぶのお肉は、時間がたちすぎてお皿の上で溶けてしまい、お皿に張り付き、もう一枚ずつは剥がせない状態になっていた。
とにかくそれほど食べるのが遅い。
この弱点に、もう一つ別の弱点である、
「空気が読めない」
というポイントが合わさった場合、どういうことになるか。
数年前、僕がダイエット法の一つである、
「夕食抜きダイエット」
を敢行していた時のことだ。
夜、空腹の極致となった僕は、寝て空腹を忘れようと、一足先に寝床に着いた。
リビングに通じる襖を閉じ、電気を消す。
リビングでは、遅番で帰宅したお方さまが、夕食を食べ始めた。
『チュルチュルチュルチュル〜〜〜ッ。チュルチュルチュルチュル〜〜〜ッ。』(お蕎麦をすする音。)
『ポリッ!!ポリッ!!ポリポリッポリッ!!』(たくあんを噛む音)
『シャクッ!シャクッ!シャクッ!シャクシャクシャクっ!シャクッ!!』(何か、魚的な物を食べる音)
『ジュルジュルジュルジュル〜〜ッ。ジュルジュルジュルジュル〜〜ッ。』(お蕎麦の汁をすする音)
『はむっ!はむっ!はむっ!はむっ!はむっ!はむっ!』(白米を噛む音)
たぶん、白ご飯と、焼き魚と、たくあんと、お蕎麦を食べているんだろう…
普通の人なら、20〜30分程度で食べ終わるだろう。あるいは、隣で寝てる夫は晩御飯を抜いている、ということがピンときている「空気読める」系の奥さんなら、いつも以上に早く食べ終わるだろう。
ところがお方さまは違う。
空気なんか読めるものか。
この日も、テレビを見ながら、延々と食べ終わる気配はない。
食べ始めて1時間が経過しても、まだ食べ終わらない。
こっちは空腹の極致。こんな音を聞かされ続け、寝たくても寝れない。
それどころか、気が狂いそうになっている。
1時間半が経過しても、まだ蕎麦をすすっている…
絶対、もうノビノビになってるはずやん、蕎麦…
2時間過ぎても食べ終わらず、地獄のような夜は続いた…
次の日から、この「夕食抜きダイエット」は取りやめになったことは、言うまでもない…
お方さまの血圧
血圧 133-93
脈拍 80
感想
気温がひんやりと感じた。まだ寒さは残っている。おやつにパートのおばちゃんがくれたパンが美味しかった。