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ネタバレ注意!「ラ・ラ・ランド」おっさん『ぎゅん死に』!ありふれた恋バナを夢物語に変える、ミュージカルのフィルター

 

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youtu.be

 

 

久しぶりに、映画って素敵だなあ!と思いました。

 

冒頭の、高速道路でのダンスシーン、多分ノーカットで(そう見せてるだけでしょうけど)撮影しています。現実ではありえない、夢のようなシーン。これから始まる世界は、古き良きアメリカ映画の、特にミュージカル映画に代表される、夢のような2時間なんだ、とワクワクさせられるシーンでした。

 

『冬』で始まり、『冬』で終わるこの映画。でも最初の『冬』と最後の『冬』はまるで違う描き方になっています。

 

ストーリーなんて、本当に、あってないようなもの。

 

女優を夢見る娘が、何度もオーディションに落ち、傷つきながらLAで生活していると、ジャズピアニストを夢見る青年と出会い、意気投合。互いの夢を追いかける手伝いをしながら、いつしか、彼は、彼女に安定した生活を捧げるため、夢を軌道修正していく。彼女の方の夢は打ち砕かれ、傷心のまま故郷へ帰るが、最後の舞台を目にした映画関係者から奇跡のオファーが舞い込み…

 

『冬』で二人は出会い、

 

『春』で二人は惹かれあい、

 

『夏』で強く愛し合う。

 

ここまでは、映画のタッチは夢のよう。登場人物たちは、古き良き映画のような、原色に近いような衣装を着て、場面は何度もミュージカルシーンに転換し、おとなの絵本を読んでるみたいに、夢のようなシーンが続く。

 

グレッグとセブと、約束をダブルブッキングしてしまったミア。グレッグの方が先に約束してたから、高級レストランで食事してても、セブのことが気になって仕方ない。

 

グレッグとその兄は、高級リゾート地がどうしたこうした、と、セレブっぽい会話ばかり。

 

一方のセブは、薄汚い映画館の前で、化繊のスーツを着て、ずっとミアを待っている。

 

その時、高級レストランのBGMで流れてきたのが…

 

あの時、セブがピアノで弾いていた、あの曲。

 

YOUTUBE貼り付けたいけど、公式のがありません(T . T) "mia & sebastian's theme"でググってみてください)  

 

ミアは意を決し、レストランの席を蹴り、セブの元へと走る。

 

もう笑っちゃうほど、少女漫画的な展開!!

 

でもそれがイイ!!

 

どちらかといえば、化繊側の人間としては、セブを応援したくなるのが人情!

 

一方、観念して一人で映画館の席に着いたセブ。

 

ミアはセブを探して、映画館の一番前に立ち…

 

映写機の光が、天使の後光のように彼女を照らす…

 

そしてあの美しい、天文台のシーン。

 

何度かキスをしようとするたびに邪魔が入り、天文台のシーンではついに体が浮いて、空中浮遊してしまう。

 

あの辺りのロマンチックな演出はどうだ!愛が昇華して、天使になったのだ!

 

おっさんのオレですら、

 

『ぎゅんぎゅん』

 

しちゃったくらいなので、夢見る乙女なんか

 

『キュンキュン』

 

しちゃってキュン死にしてしまうんじゃないだろうか!!

 

美しく、ロマンチックで、軽妙で、見ていてワクワクしていました!

 

『秋』で、タッチは一転して、現実的になります。登場人物の衣装も、現実的な色合いになり、トーンは暗くなって、二人の間のすれ違いが描かれます。

 

彼は夢を軌道修正し、流行りのバンドに入り、成功を収める。彼女はそれが、彼の夢とは違うことを見抜いている。彼女は女優の夢に向かって、大ばくちを打つ。作・演出・出演が自分一人だけの、一人芝居。彼に見て欲しい、アドバイスも欲しいのに、彼は仕事で忙しく、彼女のそばにいない…

 

『秋』では、あれほど楽しかったミュージカルシーンがまったく流れず、ずっと重苦しい場面が続きます。

 

一人芝居は大失敗。10人も埋まらなかった客席。席を立つ観客からは、「大根役者」の声。

 

打ちひしがれ、故郷へと逃げ帰るミア…

 

そして奇跡のオファー。

 

『秋』での唯一のミュージカルシーンは、このオーディションの場面、ミアの魂の独唱の場面だけ。

 

そして〜『冬』。5年後の冬。

 

実はファーストシーンから、ここに至るまで、映画の随所に、古き良きアメリカ映画を彩ったスターたちの似顔絵が、画面いっぱいに広がります。

 

最初のミアの部屋には、イングリッド・バーグマン

 

セブが最初にピアノを弾いていた店の壁には、チャップリンやモンロー、ボガート。

 

そして、5年後の冬には、新作映画に主演する、ミア自身の巨大似顔絵ポスターが、撮影所を横切る。

 

彼女は夢を叶えたのだ。でも…

 

なぜだろう、なぜハッピーエンドにしなかったんだろう…

 

夢のような物語だったはずなのに。

 

夢物語はたいていいつもハッピーエンドなのに。

 

時間が巻き戻り…

 

『こうだったら、良かったのに!』

 

という平行世界が展開して…

 

物語は終わります。

 

ラストで『シェルブールの雨傘』を思わない人はいないでしょう。唯一の救いは、セブも夢を実現させていた点。

 

でも思い返せば、あの『シェルブール』的なラストシーンと、

 

最後に流れる、夢のようなパラレルワールドこそが、

 

この映画のキモでした。

 

楽しかった夢物語は、切ない名画と同じ終わり方をして、幕を閉じました。

 

あの名画を永遠に覚えているように、われわれはこの映画もまた、覚えていることでしょう。

 

ミア役のエマ・ストーンが、いじらしくてキュートで、とても魅力的。彼女は美人と言えますか?古くはゴールディー・ホーンとか、今ならキャメロン・ディアスとか、四角い顔で、目が大きい、カエルっぽい顔。

 

あのファニーフェイスが、この映画の夢のようで、楽しくて、切ない物語に、とてもマッチしていました。

 

ライアン・ゴズリング、ダンスが下手とかけなしている人がいましたけど、何言ってんの?って思いました。別にダンスを見せる映画じゃないじゃん?ミュージカル=ダンスと歌が完璧じゃないとダメ、なんて誰が決めた?『マイ・フェア・レディ』のレックス・ハリソンなんか、あれは歌か?ほとんどセリフに節がついてるだけ。

 

それでもみんながあの映画をずっと覚えている。

 

ライアン・ゴズリングの、あの不機嫌そうな無表情で、決してうまくないダンスが、この映画を親しみやすくしていると思います。肩肘張らず、軽い気持ちで見ながら、そしていつの間にか、映画の世界に引き込まれていく役目を果たしていると思います。

 

斬新なカメラワークに今風の演出というスパイスを加えながら、あくまで、伝統的な古き良きアメリカ映画のDNAを継承した名作だと思います。

 

CG、爆発、リアルな出血、内臓突出、をみた後のイガイガ感は一切なく、若いころ、名画を見て、心が洗われて、映画って素敵だなあ、と思った、あの頃の気持ちが蘇りました。

 

久しぶりに、もう一度見に行きたい、と思えた映画でした。

 

 

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