妻:19世紀の作曲家でな。
夫:ウンウン。
夫:知らんなあ。
妻:そうなんや。『フィンランディア』とか、まあまあ有名やけど。
夫:ふーん。
妻:アメリカの「ニューヨーク・ナショナル音楽院」っていうのが新設された時、そこの学長になってほしい、ということで、このシベリウスに依頼があってんけど。
夫:ウンウン。
妻:シベリウスさん、断りはってん。
夫:そうなんや。
妻:で、2番目に依頼したのが…
夫:有名な人?
妻:ドボルザークやねん。
夫:『新世界』や!♪ターン、タンタンターンタターン、ターンタタタターン♪
妻:そう。
夫:つまりシベリウスが断ったから、ドボルザークの『新世界』が生まれた、っていうことやね!
妻:ところがそうじゃないねん。
夫:え?どういうこと?
妻:実は、ドボルザークも、ニューヨーク音楽院の話、断ってん!
夫:ええっ!どんだけ人気ないねんニューヨーク!
妻:でも向こうさんが必死にドボルザークを説得すんねん。
夫:もうあとがない感じ?
妻:で、最終的にはドボルのやつ、この話を受けるねんけど…
夫:ウンウン。
妻:「依頼をOKした、最後の決め手」は何やと思う?
夫:えー…なんやろう…やっぱり、ギャラ?
妻:ブブー。まあ、ギャラもめっちゃ高かったらしいけど。
夫:うーん…。秘書が、めっちゃ巨乳やった、とか?
妻:違うわアホ!
夫:降参。何が理由?
妻:ドボルはな。
夫:ウンウン。
妻:めっちゃ、「鉄道オタク」やってん!
夫:…。
妻:「アメリカに新しくできた鉄道に乗れる!」これが、学長の依頼を受けた、最終的な理由やってん!
夫:ホンマかいな?
妻:ドボルがどんだけ「鉄オタ」やったかを示すエピソードがあるで。
夫:なになに?
妻:ドボルがアメリカで汽車に乗っててん。一等席や。ゴキゲンや。
夫:ウンウン。
妻:ほんだら、なんかの事故で汽車が止まってしまって。
夫:ウンウン。
妻:復旧までエライ時間がかかってしもうて。
夫:あらまあ。
妻:ついに、復旧しました!
夫:よかったね!
妻:車掌さんが、全ての乗客に、「やっと復旧しました、ご迷惑をおかけしました」って、頭を下げて回ってんけど。
夫:ウンウン。
妻:その時、一等席に座ってたドボル、どうしたと思う?
夫:ハイ!
妻:ハイ、そこの丸坊主。
夫:「いやあ、大好きな汽車に長く乗れて、楽しかったよ」的な、大人の対応をした!
妻:ブブー!
夫:違うんかい!
妻:答えはな。
夫:ウンウン。
妻:ドボルも車掌と一緒に、全乗客に謝って回ってん。
夫:なんでやねん!
妻:知らんがな!
夫:アホか、ドボル!
妻:底なしに、汽車を愛しててんやろな。
夫:わけわからんなあ…
妻:『新世界』の一節にも、どう聞いても、汽車の音にしか聞こえへん箇所があるねん…
夫:元祖・「鉄オタ」やったんや…
妻:「タモリ倶楽部」で言うてたからホンマや。
夫:ニュースソースは「タモリ倶楽部」ね…