「フリー・ファイヤー」観てきました。大阪では「大阪ステーションシネマ」でのみの公開という、かなり勿体無い公開。
製作にマーティン・スコセッシが名を連ねたギャング映画、となればそれだけで観ないわけにはいきません。
内容は?
なんか、密室で、2組のギャングが、銃取引がもつれて激しく撃ち合う、ただそれだけって!
なんかめっちゃ面白そう!!
「密室」「ギャング」「飛び交う銃弾」
もう、「レザボア・ドッグス」を想起しない人はいないでしょう!!
「フリー・ファイヤー」は新時代の「レザボア・ドッグズ」になれるのか?!
もう期待でワクワクで席に着きました!!
監督のベン・ウィートリーという人は、不勉強で知りませんでした。HPによれば、
J・G・バラード原作の『ハイ・ライズ』(16)やエドガー・ライト製作総指揮の『サイトシアーズ~殺人者のための英国観光ガイド~』(12)などで独特の才気を示した
だそうです。こんどDVD借りて観てみよう。
STORY
女ギャング、ジャスティン率いるアイルランド組は、大金を用意し、銃器の闇取引の現場にやってきた。中には落ち着きのないガキもいて不安な要素もあるが、連中を抑える兄貴分もちゃんといる。
オード率いる武器商人側のメンバーも磐石とは言えない。銃器の説明をするヴァーノンは、ジャスティン側から銃器の種類が違うことを指摘されれば逆ギレする始末。
しかし30丁もの自動小銃など、そう簡単に手配できるものではない。種類は違うが、取引は進めることとなる。
クリスが試射をする間もわだかまりは解けず。妙な緊張感が高まっていく。
そしてついに、恐れていたことが…
アイルランド組のガキであるスティーヴォは、前夜、飲み屋で大げんかをしていたのだが、その相手というのが、武器商人側のハリーだったのだ。スティーヴォの顔を認めた途端、ハリーの怒りが爆発、激しい殴り合いとなる。
なんとか二人を引き離し、冷静になろうとする両ギャング。
ハリーによれば、酒場で彼の妹に言い寄ったスティーヴォは、フラれたことがわかるや、彼の妹を酒ビンで殴りつけ、顔に怪我をさせたとのことなのだ。
人違い、を主張するスティーヴォの話に耳を傾けるものは誰もいない。
スティーヴォの行動に責任のあるフランクはスティーヴォを殴り倒し、取引をスムースに進めるため、ハリーに謝罪するよう命令する。
スティーヴォはハリーに謝罪、わだかまりは無くなった…
かと思いきや、
「テメエの妹にペ◯スをぶち込んでやったぜ!!」
と逆ギレ。
激怒したハリーはスティーヴォの胸に銃弾を発射!!
さあ!タイヘン!!
逃げ惑う10人。スティーヴォは致命傷は免れ、激しく撃ち返し!!
現場は、銃弾が飛び交う修羅場と化すのであった!!
たとえ撃たれて臓器を失ったとしても、人間そうあっさり死なないんだよ。by ベン・ウィートリー
舞台は最初から最後まで、廃墟と化した建物の、室内駐車場のような場所。いわゆるワンシチュエーションで、2組のギャングが延々と撃ち合う映画です。
撃ち合いが始まってからが見所なんですが…
それが始まるまでの、緊迫感溢れる情景描写が実に見応えがありました。
2組のギャングの、どちら側にもいる、瞬間湯沸かし器のように情緒不安定な人物。彼らをなだめ、必死に取引を成立させ、無事にこの場から立ち去ろうとする、その兄貴的な人物。
しかし両側の瞬間湯沸かし器は、どちらも兄貴には手に負えず、自殺願望があるかのごとき暴発をします!
そして本作のもう一つの見所が…
①銃弾って、実はなかなか当たらない
②当たっても、人はなかなか死なない
という事実に基づいた、キャラクターたちのしぶとさ!!
「動脈に当たらない限り、1時間半は死なない」
のセリフ通り、全員、身体中に被弾しドス黒い血にまみれながらもなかなか死なず、発砲を続けます!!
誰も、はやりの映画みたいに銃を寝かせて撃ったりしません、いやできません。
それどころか狙いすら定めず、ただ撃ちまくる、撃ちまくる!!
当たれば儲けもの、みたいに。そのグダグダ感。
その様子はどこかコントのようです。
そう、本作は、アクション映画でありますが、喜劇的色調も多分にあります。激しく飛び交う銃弾!!という大緊張な場面で、場内が大爆笑となるシーンがあったり。
緊迫感漂う空気の中で、なぜか流れるジョン・デンバー"Annie's Song"。
考え過ぎかも…とも思いましたが、タランティーノ映画と真逆の選曲で、観客を笑わせにかかっているのでは、と思いました。
とにかく、緊張と緩和、が絶妙にブレンドされたアクション喜劇!!
だと、軽く考えていたらダメ。
ネタバレになるのでかけませんが、終始、ある「謎」があります。
そして最後の最後に、その謎がわかります!
そして最後まで立っていた人物は、一体誰なのか…
その人物は、最後にどんな表情を見せるのか。
僕の感想としては、うーん、平成の「レザボア・ドッグス」というには、あと一捻り欲しかったかな、とも思いますが、十分に満足できる作品です!!
90分があっという間でした。