昨夜のNHKのクローズアップ現代は「マラソン大会ウォーズ〜激化する市民ランナー獲得競争〜」と銘打ち、過渡期に入ったマラソン大会と、様々な切り口でランナーを呼び寄せようとする運営側の苦労について特集されていました。
番組の要点は3つ。
①はブームブームと浮かれてばかりはいられない、個々の大会の現状。
②は運営側の手違い等によって発生したクレーム集
③は「爆買い」を「爆ラン」に言い換えたインバウンド需要
についての話です。
種子島ロケットマラソンの廃止
川内優輝選手が、「日本で10本の指に入るくらい楽しいレースだった」と断言した種子島ロケットマラソン。不勉強なことに僕は知りませんでしたが、そんな大会が今年を最後に廃止になってなってしまったとのことです。
大会参加費、いわゆるエントリーフィーは30年間変わらずの4,000円。そんな安いフルマラソンは聞いたことがない…。
なぜ廃止を決断?
参加者が4割減
ピーク時が3,000人とのことでしたから、廃止前はわずか1,800人のランナーしか集まらなかった、ということでしょうか。
町の負担が増
数年前に企業からの協賛金がなくなり、700万円以上を町が負担せねばならず、人口も減り税収が減るなか、かなりの負担となっていたようです。
鹿児島マラソンの開催
2年前から、12,000人規模の鹿児島マラソンが始まってしまい、島外ランナーが来なくなってしまったようです。
鹿児島マラソンの開催が、種子島ロケットマラソンと同じ3月である、ということも島外ランナーが来なくなってしまった大きな要因であったようです。
クロ現よ、なぜ終わってから取り上げる…。
川内優輝の「日本屈指」というコメントがあれば、3,000人くらいあっという間に集まったのではないかなあ…。
倉庫に眠っていた、「折り返し地点」の標識や距離表示などがとても切なく映りました。
15年で10倍増の小布施見にマラソン
逆の例としてあげられていたのが長野県の「小布施見にマラソン」。
この大会の噂は、確かによく聞きますし、良い噂ばかりです。
仮装ランナーが多いという印象があり、エイドの充実もよく聞きます。
この15年で参加者が10倍に増えたとのこと。10,000人の町に8,000人のランナーが集まるそうです。
700mごとにエイド?!
20kmのコース上に30箇所のご馳走ポイント、と紹介されていました。野沢菜、りんご、高級和牛のエイドが。
にわかには信じられませんが、要は、700メートルに1ヶ所、エイドがある、ということになります。
公式エイドはHPで見ると20ちょっとでした。それでも約1kmごとにある計算になります。
私設エイドもかなり大きな規模で、質のよいエイドがあるのでしょう。
名古屋ウィメンズマラソン
ギネス認定、世界最大の女子マラソン
前身が名古屋国際女子マラソンであったことから、女子だけに特化した大型都市マラソンとして発足した名古屋ウィメンズは、
・完走賞がティファニーのペンダント
・イケメンタキシード隊
を始め、参加賞のTシャツもおしゃれだし、たくさんの化粧品のサンプルももらえます。
また当日はトイレも多いなど、女性目線に立った痒い所に手が届く運営もたいへん高評価。僕も何度も応援に行っていますが、この大会はアッパレと言いたいほどの作戦勝ちだと思います。
大会クチコミ
さいたま国際マラソンの問題
クチコミ点数2015年は79.9点が2016年に55.7点と急激に落としてしまったさいたま国際マラソン。
より多くのランナーを取り込むべく行った改革が全て裏目に出たようです。
改革内容
定員5,000人を16,000人にする代わりに制限時間を4時間から6時間にあげ、参加費も10,800円から15,000円に値上げしました。
すると、サブ4で完走を目指しているランナーから、制限時間がゆるくモチベーションが上がらない、とクレームが来たようです。
規模拡大に伴いさいたま市の負担が1.8倍に跳ね上がりました。
さらにはボランティアが予定していた7,000人が5,000人以下しか集まらず、運営に混乱が生じたようです。
確かに去年のクチコミを見ていたら、「さいたま市民ですが二度と出たくない」、というような辛辣な意見が大半を占めています。
マラソン大会事件簿 想定外のトラブル多発
水がない
九州で初めて行われたある大会では、水、食料が不足、炭酸飲料だけがテーブルにあるという事態に。
大会そのものがない
関東の大会では、2日前になって主催者が道路の使用許可を取っていなかったため急遽、大会が中止に。ランナーにそのことが伝わらず、当日、現場に来て見たら大会そのものがない、という事実を知らされた…。
これはショッキングな事件でしたが、その後どうなったんでしょうね?東京の某河川敷で行われるはずだった大会と記憶しておりますが…。
苦情の理由
なぜこんなことが起こるのか、という問いに、早稲田大学の先生は、市民ランナーの目が肥えてくると、需要と供給の間にミスマッチが生じ不満が増える、とお答えでしたが、大会そのものが開かれなかった例などは明らかに主催者側のミスで、ランナーの目が肥えた肥えていないなどは関係ありません。
また、水や食料がないというのもよくある話。その事態を深刻に受け止め、改善を図っている大会もあれば、何年経っても改善が見られない大会もあります。
失地回復を図るさいたま
ちなみに、ボランティア不足に泣いたさいたま国際マラソンは、各地のマラソン大会を視察し、20人以上になれば団体名をスタッフウェアに印刷できる、という制度を導入、名前をPRしたい企業や学校が多くこの制度に着目して、無事、今年は必要人数を抑えることができた、とのことでした。
マラソン大会の新戦略
走りへの回帰
つくばマラソンが例として上がっていました。他のマラソン大会のように、おもてなしとか、郷土料理エイドとかに焦点を当てず、純粋に走ることに焦点を当てた大会です。
筑波大学の鍋倉教授
ランスマなどにもよく登場される鍋倉教授がつくばマラソンに向けての練習会で実際にレクチャーをされているみたいで、これは嬉しいサービスだと思います。(参加料とかは必要なのかな?)
またエイドで出される食べ物も、鍋倉教授がプロデュースされています。プチトマト、バナナ、みかん、アンパン、キュウリなど。栄養学の視点から決めた食材だそうです。
そこには「名産品」と言った視点はありませんが、ランナーに本当に必要なものを厳選する姿勢がありました。
爆ラン
こんな言葉は初めて聞きましたが…。「爆買い」をもじった言葉のようです。要は、外国人ランナーの呼び込み。
新潟シティマラソン
新潟シティマラソンの職員が台湾まで出向いて大会をアピールし、ランナーを募ったようです。
外国人ランナーの発信力を利用し、新潟そのものをアピールできるとの狙いもあるようです。
感想賞はコシヒカリの巨大おにぎりでした。お米に抵抗がなければ、あの完走賞は本当に嬉しいでしょうね!!
まとめ
成熟期を迎えたマラソン大会を取り巻く環境では、ランナーが大会を選ぶ時代になって来ている、と専門家の先生は言います。
自治体が、県で一つだけ大きな大会をするのではなく、市町村と連携し、多角化経営のように運営していくべきだ、と専門家の先生は言っていました。先の鹿児島県について皮肉を言われているのかな、と思いました。
最後に、冒頭に出て来た、切なすぎる最後を遂げた種子島ロケットマラソン。種子島では次に、自転車の大会としてロケットライドという大会を計画されているようです。この話に何か救われた気がしました。
YouTubeにこの番組がアップされていたので貼っておきます!!