いよいよ本日、平昌オリンピックが開幕しますね!!
17日間、様々な競技が見れるので楽しみです。
オリンピック史上、最も美しい場面
さて昨日の「奇跡体験!アンビリバボー」ではこの冬季オリンピックで実際に起こった、スポーツマンシップ溢れるある行為について特集がありました。
それは「オリンピック史上最も美しい場面」と呼ばれている、と番組では言っていましたが。
この事件のことを調べても、実際にそのように呼ばれている記録は見つかりませんでした。
ただし、それは我が国が当事者ではないからで。
当事者であるカナダにおいては、この事件のことを熱狂的に伝える新聞記事も紹介されていました。
おそらく、カナダでは本当に「オリンピック史上最も美しい場面」として語り継がれているのだと思います。
2006年トリノオリンピック
イタリア・トリノで12年前の2006年に行われたトリノ・オリンピック。
その中の「クロスカントリー女子チームスプリント」という競技の決勝戦で、その事件は起こります。
クロスカントリーチームスプリント
1周=1.15km(アップダウンあり)
1チーム=2名で、交代でリレーし計6周のタイムを競う
「滑る」というよりはスキーで「走る」競技で、距離が短いチームスプリントは勝敗がコンマ1秒で決することも多い、過酷な種目
とのことでした。
決勝進出チーム
・ノルウェー
・スウェーデン
・フィンランド
・カナダ
この4カ国がメダルを争うと予想されていました。
実は日本チームも決勝進出していた!!
ちなみに、番組では触れられていませんでしたが、この決勝戦には日本チームも残っていたのでした。
ただ、残念ながら決勝では8位であった模様です。
カナダチーム
ベッキーとサラのコンビが決勝に進みました。
カナダでもマイナースポーツであるクロスカントリーという競技をカナダ国民に認知してもらうべく、頑張ろうと心に決めていました。
ノルウェーチーム
エラとマリットのチームが決勝進出。
ノルウェーは前回のソルトレークシティオリンピックのクロスカントリー競技中、ほぼ全てでメダルを獲得、他国を圧倒するパワーを見せつけていました。
絶対王者の地位にいたため、国内でもメダル獲得は義務であるかのごとく、強いプレッシャーとなっていました。
ノルウェーのヘッドコーチであるビョルナル氏は、選手たちにはプレッシャーを和らげる言葉をかけながらも、自らは上層部から激しいプレッシャーをかけられていました。
レース中のハプニング
レースは予想どおり、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、そしてカナダの4チームが先頭集団を形成。
その中でもカナダが一歩、リードする展開でした。
が…。
3周目に突入した際、上り坂を登っていると、カナダのサラ選手の左のストックがポキリ!!と折れてしまいます!!
ストックは前に進む推進力
クロスカントリースキーは「4本の足で走る」と言われるスポーツで、ストックは前足の役目を果たします。
いうまでもなく、片方のストックを失うということは、推進力を半分、失うということ。
途端に速度は激減します。
ルールでは…。
用具交換
全ての競技において、ポールの交換はポールが折れた時または、破損した場合のみ認められる。
とルールブックにも記載されているので、交換することは許されています。
カナダスタッフのミス
しかしカナダのスタッフはこの事態に気づかず、サラにスペアのストックを渡すことができませんでした。
次にストックを渡せる場所は20メートル先。
すでに破損前はトップにいながら、一瞬で4位に後退したサラにとって、20メートル先でのストック交換は致命的な遅れを意味します。
差し出されたストック
しかし誰かがサラの前に新しいストックを差し出し、彼女は夢中でそれを掴み、体勢を立て直します。
この段階で4位であったカナダは、4周目で、先頭にいたノルウェーをかわし、再びトップに躍り出ます。
結果は…。
1位 スウェーデン
2位 カナダ
3位 フィンランド
4位 ノルウェー
8位 日本
メダル獲得を義務化されていたノルウェーチームは惜しくも4位、メダルに届きませんでした。
誰がストックを渡したか
カナダが銀メダルを獲得できたのは、いうまでもなく、あの3周目でストックが折れた際に、遅れが致命的になる前に誰かが代わりのストックを差し出してくれたおかげ。
しかし、カナダのスタッフはあの時、リアルタイムに事態に気づいてはいません。対応したのはカナダスタッフではありません。
決勝戦が終わった翌日…。
その人物が明らかになります。
それは、ノルウェーチームのヘッドコーチ・ビョルナル氏その人。
決勝戦の翌2月15日のカナダの「グローブ・アンド・メール」紙において、「スポーツマンシップがカナダにメダルをもたらす」との大きな見出しでこの件について報道しました。
あの時、先頭集団は4チーム。
もし、ノルウェーのビョルナルが、カナダのサラにストックを渡していなければ、カナダの先頭集団からの脱落は間違いありません。
ノルウェーは最低でも3位入賞ができたはず。
なぜ、ビョルナルはそんなことをしたのでしょうか。
クロスカントリースキーの成り立ち
そもそもクロスカントリースキーは、雪深い北欧の国々で、生活のための移動手段として誕生したとされています。
当時の人々にとって、仲間と共に助け合い、無事に目的地に到着することが、最も大切なことでした。
ビョルナルは幼い頃からその精神に基づいたコーチから指導を受け、クロスカントリースキーとは助け合うことだと信じていたのでした。
この彼の行為はカナダ国内において「カナダ人はノルウェーのコーチに感謝している」「カナダはノルウェーの英雄を忘れない」などと絶賛されました。
自国ノルウェーでは…
ノルウェー国内においての評価は、メダルの数において歴史上最低、のオリンピックとなってしまったトリノ。
クロスカントリーのヘッドコーチだったビョルナルは責任を取って辞任することになりました。
薄れゆくスポーツマンシップ…。
もともと日本には
「敵に塩を送る」
という言葉があるように、このような行為を美徳と尊ぶ民族だったはずです。
しかしながらマラソン大会における給水所での紙コップの散乱や。
代理出走など、スポーツマンシップのかけらも見当たらないような行為をする人は後を絶ちません。
勝利至上主義、勝つことのみが美徳とされる傾向は世界中で強くなっています。
悲しかったグレートレース
先日、放送されたグレートレースでも…。
見ていて、悲しくなるシーンがありました。
「アドベンチャーレーシングワールドチャンピオンシップ」、という、アメリカのロッキー山脈を舞台に、自転車、ボート、そしてランニングで全長760kmを走るレース。
4人で1チームで走るのですが…。
1位のチームが独走状態になり。
2位と3位のチームは、共にスウェーデンから参加しているチームで。
途中、互いに助け合ってレースを進めたりしていながら…。
706km地点でわずか15秒差。
最後のマウンテンバイク、ゴールへと向かっていた5日目の夜…。
15秒、先を行っている2位のチームが…。
道を間違ったことに気づきます。
バイクのパートになって、進んだ直後、左折しなければならないところを直進してしまっていたのでした。
しかし、この2位のチームは…。
なんと、そのまま間違ったコースを進み続けます。
なぜなら、3位のチームが15秒遅れで彼らにぴったりとついてきていたから。
3位のチームは、2位のチームについていけば、道を確認するまでもないと思っていたのでしょう。
そして2km進んだ後、2位のチームはバイクを脇に止めます。故障でもしたかのように。
3位のチームはここぞとばかりにスピードを上げ、彼らを抜き去り…。
3位チームが見えなくなったところで、2位チームは来た道を戻り、正解のルートへと戻ります。
2位チームはしてやったりの顔で「これで俺たちの勝ちだ」と密着していたカメラに語りかけるのでした…。
いろんな作戦があっていいと思いますが、これは悪く言えばだまし討ち。
760km、東京〜青森間を超える距離を、不眠不休で走破する命がけの大会ですが、2位のチームも3位のチームも共にスウェーデン人。
見ていて、後後味が悪い終わり方だな、と感じました。
さあ!!
いよいよ平昌オリンピックが始まったみたいです!!
どうか、スポーツマンシップにのっとった、素晴らしい大会になりますように!!