ロック様主演だ、控えおろう!としないバランス感覚
主演がドゥエイン・ジョンソン。かつては「ザ・ロック」として名を馳せた、アメリカ最大のプロレス団体WWEの元チャンピオンで、今はハリウッドいち稼ぐ俳優に上り詰めた男。
彼が主演ということで、ドゥエイン・ジョンソン万歳!的な、彼ばかりを中心とした映画かな、と思いきや。
ちゃんと、他の登場人物にも均等に光が当たるように工夫された内容でした。
ゲームに閉じ込められた4人がそれぞれ成長していく物語なので、いくらドゥエイン・ジョンソン主演といえど、彼の独りよがりな作品なら見る気も失せたでしょうが、そのあたりのバランス感覚はたいへん優れたスーパースターだと思います。
前作「ジュマンジ」は見るべき?
本作は「ジュマンジ」の続編ではありますが、「ジュマンジ」を見ていないと本作の面白さは半減するか、と言われると答えはノーです。
前作とつながっている部分は僅かながらあります。
①ボードゲームを拾った場所と、拾った時代
前作は1996年の砂浜にボードゲームが打ち上げられるシーンで終わっています。
今回は、その砂浜でジョギング男性がゲームを拾うシーンからスタートします。
(ただ、前作のラストは砂浜を歩く人物はフランス語を話していたので、フランスにゲームが流れ着いた、というラストだったと思われますが、あまり細かいことは気にしないように!)
②悪役の名前がヴァン・ペルト
前作ではジョナサン・ハイドが父親役と二役で演じた、ライフルをぶっ放し主人公の命を狙うハンター、という役どころでしたが。
本作のヴァン・ペルトは宝石の魔力に取り憑かれ悪魔に魂を売った男。もはや悪魔そのもので、全身をサソリやムカデなどが這い回っているキャラクター。
正直なところ、ヴァン・ペルト役だけは、前作の方が面白いと感じました。
本作のヴァン・ペルトはもはや人間ではなく、耳や口からムカデなどを吐き出す悪魔なのですが。
ちょっとCGとかに頼りすぎ。人物から滲み出てくる狂気、という点では、前作でなんの説明もなく、ただただ主人公の命を狙うハンターのヴァン・ペルトの方が恐ろしく、また悪役としても魅力的でした。
③一瞬だけ出る「アラン・パリッシュ」の名前
物語の中盤、主人公の一行を助ける5番目の登場人物アレックスが出てきます。彼は20年前に1人でゲームに飲み込まれた人物。
彼はジャングルの中にすでに存在していた小屋に住んでいたのですが…。
そこに
「アラン・パリッシュここにありき」
とナイフで書かれていました。
「アラン・パリッシュって誰?」と聞かれて、アレックスは、
「この小屋を作った人だと思う」
と答えます。
アラン・パリッシュとはもちろん、前作でロビン・ウィリアムズが演じた前作の主人公の名前。
つまり、その小屋は、26年間、アランがジャングルに囚われていた時に過ごしていた小屋だったわけです。
④基本的な設定はジャングル
前作でも、ゾウやサイ、シマウマ、サルなどジャングルの動物が現実世界に現れて大パニックを引き起こします。
本作はジャングルそのものに参加者が投げ出されます。
と、前作と本作のつながりといえばそれくらいです。
相違点
前作との違う部分の方が大きく。
相違点①ボードゲームではなくテレビゲーム
拾ってきたのはボードゲームでしたが、1996年の高校生はすでにテレビゲームに夢中。
その様子を見ていた「ゲーム」そのものが、ボードゲームからテレビゲームに進化しました。
もうボードゲームは無くなってしまったので、旧作ファンだった僕はちょっと悲しい感じがしました。
相違点②ゲームへの参加方法
前作ではボードゲームをして、出た目の文言がそのまま魔法のように現実世界にやってくる、というものでした。
前作の主人公・アランがジャングルに囚われたのも、
「次に5か8が出るまでジャングルで待つ」
という目を出してしまったばっかりに、ゲームの世界の中に飲み込まれてしまったのです。
本作では、参加者は全員、有無を言わさずゲームの世界の中に飲み込まれてしまいます。
そしてゲームの世界の中で冒険をしなければならなくなります。
要はRPGを自分でしなければならない、ということです。
相違点③キャラクター設定
前作はボードゲームをするのは本人なので、特にキャラクターが変わるということはありませんでした。
テレビゲームはキャラクターが決まっていて、、誰がどのキャラでゲームに参加するか、という初期設定が必要。
ここが本作のキモになる部分で。
超オタクでガリガリのスペンサー→ゲームの中では弱点ゼロのマッチョ博士
超マッチョなアメフト部フリッジ→チビで鈍足な駄目男
自撮り大好きエロカワ女子高生べサニー→チビデブ中年男
シャイで真面目なガリ勉女子マーサ→タフでセクシーな美女戦士
といった、真逆のキャラでゲーム世界の中を生きることになります。
それぞれ真逆のゲームキャラになった彼らの凸凹な冒険が本作のストーリー上のキモとなります!
そのため、大男のドゥエイン・ジョンソンが恐怖で声を上ずらせたり、ファーストキッスで口が歪んでしまったり…。
ジャック・ブラック演じるチビデブ博士は、現実世界ではエロカワ女子高生。
カレン・ギラン演じるセクシー戦士は現実世界ではガリ勉女子なので、ジャック・ブラックがカレン・ギレンにセクシーな歩き方や仕草を教える、というパラドックス的な状況が生まれ。
ケヴィン・ハート演じるチビの鈍足男は、現実世界では高校フットボールの名選手。
いつもバカにしているドゥエイン・ジョンソンに赤子の手を捻るように扱われてプライドがズタズタ。
といった爆笑シーンが生まれ、緊張感あふれる冒険シーンと爆笑シーンがランダムに繰り広げられ、見るものを飽きさせません。
相違点④「ライフ」は3回
前作では、象やサイ、ワニなどに襲われながらも誰も命を落とすことはありませんでしたが。
本作ではテレビゲームよろしく、カバに食われたりサイに踏まれたり、ジャガーに食われたりして死んでしまいます。
その度に生き返るのですが、「ライフ」は3回。手首に入っている3本の刺青が、一回死ぬごとに1本ずつ消えていきます。
3回、死んでしまうとゲームオーバー…。
この「ライフ」という概念の導入が、物語をさらに面白いものとしました。
20年前からジュマンジに住んでいたアレックスはすでに2回死んでいて、ライフの残りは1回。
そのため、他の4人が積極的に冒険しようとするのに対し、アレックスは消極的な態度。
みんなで彼を説得し、冒険に繰り出すも、なんと弱点の蚊に刺されてあっさり死んでしまうアレックス…。
この時、すでに彼に恋をしていた、中身はエロカワ女子高生のチビデブ博士が自分のライフを一つ削って、アレックスにライフを与える、という手段で彼を生き返らせます。
ジャック・ブラックが中身はエロカワ女子高生、という設定になかなか馴染めないんですが、彼女が少しずつ成長していく過程が描かれています。
またクライマックスでは、ただ1人、ライフを2つ残していたセクシー戦士が的に追い詰められたとき、あえて死を選び生き返り、宝石を守るあたりは、「パイレーツオブカリビアン」のクライマックスを思い出しました!
前作よりも笑えるシーン多し!
前作はアドベンチャー的要素が強く、黒人警官カールが唯一、コメディパートを担当していましたが。
本作は設定そのものが真逆キャラということで、導入部分がすでに笑えて。
そのままのキャラで突っ走るので、全員がコメディパートも担当!
アドベンチャーとコメディが同量にミックスされた、楽しい内容になっています!
「ジュマンジ」の正統な続編としてふさわしい、面白い映画でした!