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dele(ディーリー) #4 超能力少年の憂鬱 オカルト容認のスタンスが物語に深みを与えた

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人は2度死ぬという。1度目は肉体の死、2度目は誰からも忘れられた時。だとしたら僕はもうすぐ訪れる肉体の死より先に、1度死んでいることになる。

 

今回の依頼人・日暮裕司の名前に、山田孝之演じる主人公・坂上圭司は心当たりが。25年前、ほかならぬ自分が、「ヒーロー」だと崇めた、日本中で時の人となった超能力少年と同じ名前だったから。

 

ミステリーとオカルト

 

ミステリーと超能力。この組み合わせは珍しくもなく。

 

刑事コロンボ「汚れた超能力」の冒頭の超能力実験は、どう考えても主人公に超能力があるとしか思えない結果に、CIAなども大喝采を送るも…。

 

実はそれはアッと驚くトリックで。

 

コロンボが殺人も含め全てを暴く、という話でした。

 

ミステリーは大体においてリアリティを追求するので、超能力はトリックである、という立場から描かれることが多いですが、堤幸彦「トリック」は、仲間由紀恵演じる山田奈緒子は、実は超能力を持っている、という隠しエピソードがあります。

 

本作は、どちらのスタンスで超能力を描くのか。

 

興味深く見ていると…。

 

なんと、本作は後者。超能力容認パターンで進んでいきます。

 

ファイルの中身

 

圭司にしては珍しく、最初から依頼人のファイルを開けます。そこには、子供がクレヨンで描いた絵が、12枚。

 

ドーム型の建物

海に立つ、3つの塔

左が赤、右が白の門

煙を吐く五本の煙突

棒の先に、白地にS字が描かれた円が付いているもの

バス

赤い建物

湖から突き出る赤い塔

草むらに立つ建物

電車の線路

トーテムポール

 

自分が死んだら、その絵を削除してほしい、という依頼。

 

死亡確認に自宅に向かうと、取り壊し寸前のアパート。

 

その中で、依頼人は血を吐いて死んでいました。

 

手に、色鉛筆で描かれた、のどかな田舎の家を握りしめて。

 

依頼人の正体

 

依頼人・日暮裕司は25年前、天才超能力少年として一世を風靡した人物。写真に触れるとその人物が見えるというサイコメトラー。

 

行方不明の人物を探し当て、一代センセーショナルをまきおこすも…。

 

やがて、テレビ番組のやらせが発覚、まだ少年だった彼自身も激しいバッシングののち、姿を消した…。

 

同じ年頃だった圭司は、彼をヒーローだと崇めていた時期があった、とのことでした。

 

最後の収録

 

最後の収録となった番組。ある少女が、行方不明となった母親を探してほしい、という依頼。テレビカメラの前で透視し、何枚も絵を描き、透視できたかのようでしたが、結局は空振り。

 

その後、やらせが発覚し、彼は姿を消しました。

 

偽物だったの?

 

菅田将暉演じる真柴祐太郎が聞くと圭司は言下に否定。

 

彼は本物だった

 

母に会いたい気持ち

 

葬儀に参列するも、彼にはろくな親戚もいなかった様子。

 

実の母親からは、「悪魔の子を産んだ」と恐れられ、父と離婚後、会うことはなく。

 

悲しい少年時代のようでした。

 

母親の行方を捜していた少女・松井美香は幸せな結婚生活を送っていました。小さな娘を祖父が溺愛していて。

 

25年前のテレビ収録、少女だった彼女は、少年だった彼と交わした会話を覚えていて。

 

僕もお母さんと離れて暮らしている。辛いよね、気持ちはよくわかる

 

透視して、何かに気づいた彼は、振り返り、彼女の顔を見ました。

 

あの時、日暮さんには死んでいる母の姿が見えたんじゃないかと。母の死体が見つかると私が傷つくから、嘘の絵を描いたんじゃないかと

 

削除依頼のあった12枚の絵。

 

その一つに彼女は見覚えが。

 

昔、家族と行ってた水族館に似ている

 

絵の通りに

 

その水族館は何年も前にリニューアルしたので今は外観は変わっているが、その近くには海を挟んで3本の塔のような建物が建っていて。

 

そこに向かって進むと

 

赤と白の門、煙を吐く煙突、何十年も放置されている廃バスなど、絵に描かれているそのままの風景が次々と現れ。

 

最後の2枚、トーテムポールと瓶の絵だけがわからず、夜の喫茶店に入ります。

 

そこで頼んだカレーのスプーンを真柴佑太郎が念じていると、なんとスプーンが曲がってねじ切れてしまうハプニングが!

 

2人で驚いているところにマスターがやってきて、トーテムポールの絵はこの近くの閉鎖されたキャンプ場だと教えてくれます。

 

忘れ去られたキャンプ場。お生い茂る林の中を圭司を背負った佑太郎は、何かに導かれながら進むと。

 

絵の通りの形の瓶が落ちていて。

 

そこを掘り進めると…。

 

人骨が。

 

圭司の姉・弁護士の舞が警察に、彼らが善意の第三者であること、25年前の超能力番組に沿って捜査をして偶然人骨を発見したことを説明、また、松井美香が彼らの証言を裏付け、2人は釈放されます。

 

超能力少年が真に隠したかったこと

 

人骨はもちろん、25年前に行方不明になった松井美香さんの母親のもので。

 

圭司と佑太郎はその場で、美香の父親の名刺を発見していたのでした。

 

些細な夫婦喧嘩の結果、妻を死に追いやってしまった彼は、無我夢中で、土地勘のあったキャンプ場の奥に穴を掘り、愛する妻の死体を埋め。

 

娘にせがまれ、超能力番組に出た際

 

少年から見つめられた時、全てを透視されたと直感するも、彼は違う絵を描いた

 

残りの人生の全てを、娘を幸せにすることに捧げ

 

警察に行くか行かないかは自分で決めてください、と言う圭司。

 

でも日暮さんは、それを望んではいないだろう、と言う佑太郎。

 

エピローグ

 

そして最後に

 

彼が握りしめて死んでいた、あの絵。

 

あの絵の場所に向かう、圭司と佑太郎。

 

日暮裕司が会いたいと懇願し、それが叶わなかった、実の母親の住む家。

 

俺たちが覚えておけばいい。マザコンの元・天才超能力少年のことを。そうすればまだ日暮裕司に2度目の死は訪れない

 

圭、そう言うキザなセリフ言っちゃうんだ?(笑)

 

ラストの2人のやりとりが秀逸でした。

 

超能力を容認すると言うスタンスが、物語に深遠な深みを与えた第4話でした!!

 

tver.jp