最終回は真柴家の墓から始まります。
祐太朗と、その両親とおぼしき中年男女が墓に手を合わせていますが。
3人は別々に帰路につきます。おそらくは両親は離婚していると思われます。
dele.LIFEに祐太朗が戻ると、パソコンが鳴ります。
依頼人はタツミヒトシ、24時間パソコンが操作されない時データが削除されるよう設定してある
この名前を聞いた祐太朗の表情がこわばります。
同時に、dele.LIFEのシステムに何者かがハッキングで侵入。
坂上圭司は意図的にウィルスを敵に持ち帰らせ、素性を探る作戦をとります。
(タツミが)死んでてもデータを消さないで
と圭司に言い残し、辰巳仁志の死亡確認に行く祐太朗に…。
圭司は辰巳と祐太朗の間に浅からぬ因縁があることを察知します。
真柴祐太朗、妹の死の真相
辰巳は過去に発生した新薬の治験問題の際、病院側の弁護士であった人物。
病気だった祐太朗の妹はその新薬の治験でわずか14歳で命を落としていたのでした。
しかし凛に与えられていたのは新薬ではなくブドウ糖。
新薬の治験には、新薬そのものが与えられているグループとブドウ糖のみを与えられているグループがあり。
凛はブドウ糖のみのグループ。
つまり凛の死と新薬には関係がない、という結論になり。
病院側を訴えた祐太朗の家族は、「妹の死で金儲けを企むモンスター家族」とネット上で叩かれ、最終的に一家離散にまで追い込まれたのでした。
圭司が舞に問います。
辰巳がウチにデータ削除を依頼して来たのは偶然か?
もし偶然じゃなかったらどうするの?
姉の言葉に圭司は無言で立ち去ります。
辰巳のデータ
小さな犠牲
辰巳の死亡確認は取れました。
削除するはずだったデータ。でも状況を鑑み、圭司は祐太朗の「見せてくれ」という頼みを聞き入れます。
多数のデータの中にあった音声データを開くと、辰巳ともう1人、彼の依頼人と思われる男性との会話。
本来ならばあの家族に謝罪し賠償金を支払う事例でした…。
多くの願いを叶えるためのわずかな犠牲。
そして他のファイルは、妹•凛にブドウ糖ではなく新薬が投与されていたことを示す証拠が。
もう1人の声は政治家•中村、厚生労働会に顔が利く大物政治家。
ハッキングを仕掛けて来た3流IT企業に依頼をしたのは間違いなくこの男。
祐太朗はこの3流IT企業に乗り込み、従業員たちと大立ち回りを演じ、パソコンを強奪し。
警察に突き出されます。
オレが持ってたパソコンを調べてくれたら、あの会社が違法なハッキングをしていたことが分かる
といくら主張しても、警察は
どうぞお帰りください
の一点張り。罪に問おうとさえしません。
政治家•中村の手が回っているのです。
失われたデータ
一方、dele.LIFEには賊が侵入、車いすの圭司を襲い、殴りつけ昏倒させます。
祐太朗が事務所に戻ると倒れている圭司と、破壊されたシステムがありました。
辰巳のデータは失われました。
圭司の父
やがて気がついた圭司は、祐太朗に意外な話をします。それは圭司と舞の父親で、公明な弁護士であった人物の話。
5年前、父が急死した際、圭司は父のパソコンの中から、父が黒い仕事をしていたことを知ります。政治家•中村の違法行為をもみ消していたのでした。
正義感の強い有能弁護士だった父は、中村の「犬」だった
圭司はその証拠をすべて削除、父を生前のイメージのまま残したのでした。
切り札
すべてのパソコンやサーバーを破壊された今、中村の不正を暴く武器は無くなってしまった
祐太朗が肩を落とす中。
本棚に小さなハードディスクが。
圭司の父が中村のために行った不正の証拠。彼自身が削除する前にコピーを取っておいたハードディスクに賊は気づかず残して行ったのでした。
これを使って中村の不正を暴け、という圭司。
しかし祐太朗はこれを拒絶します。
そうしたら死んだ圭の父さんは激しい非難を浴び、その事務所を引き継いだ舞さんは仕事を続けることはできず、dele.LIFEも継続することなど不可能になるだろう。きっと、何も知らない人まで不幸にして、圭もやがて父さんを恨むだろう。ウチがそうだったように。そんな風になってほしくない
巨悪との対決
辰巳弁護士の葬儀に祐太朗も圭司も参加。
そこに中村代議士もあらわれます。
その控え室に中村が1人に鳴った瞬間を逃さず、祐太朗が侵入。
新薬により女の子が死亡した事実を認めろ、と迫る祐太朗に対し中村は
辰巳に何をいわれたか知らんがそれはウソだ。あいつは平気でウソをつくヤツだった
しかしこの会話はスマホを通じて葬儀会場全体で放送され
内実を知っていた辰巳弁護士の息子が激怒。
中村を訴える側に回ることを決意するのでした。
辰巳弁護士の息子が祐太朗に言います。
父はあなたにデータを託したんだと思います。父はあなたにとっては卑怯なウソつきだったかもしれません。でも、わたしにとっては…
あなたの頭の中のお父さんが、ほんとうのお父さんです
父の真意
結局、使う必要のなかった父のデータを公表した圭司のせいで舞の事務所は顧客を大量に失い。
dele.LIFEも大半の顧客を失いました。
親父のデータを最後まで見たよ。オレの病気に関するデータが最後にあった。親父はオレの病気を治そうと、新薬開発を促進してた中村に近づいたのか?
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない
退職願を提出し、もう2度と合えないと思っていた祐太朗が、いつものようにdele.LIFEに出勤してくる場面で終わります。
実験的な物語を丁寧に描いた名作
最終話はずっと謎になっていた祐太朗の妹の死の真相を追う物語でした。
しかも圭司と舞の父親がそれに絡んでいた、というまさかの展開。
ずっと引っ張って来た妹の死ですので、最終回で決着がついて良かったです。
祐太朗が圭司のところに送り込まれたのも、単なる舞の思いつきではなく、中村と言う巨悪を圭司がどうするのかを見定めるために舞が仕組んだことなのでした。
それは分かるのですが、今まで一度も出てこなかった坂上家の父親問題という話が急に出て来たので。
やや強引な感が否めませんでした。
でもラストシーンで、祐太朗に会えた圭司の笑顔が印象的でした。
いずれにせと全8話、実験的な物語を丁寧に描いたミステリーとして、きわめて上質なドラマだったと思います。
9/28までTVerで視聴可能です。