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「アウトレイジ 最終章」 感想ネタバレあり!! 塩見三省を監督はなぜ外さなかったか。心中覚悟で前作「ビヨンド」の功労者を使い続けた、監督の心意気、塩見さんへのエール。

 

 






 

 

 

 

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「アウトレイジ」シリーズは、あらゆるエクスキューズを排し、暴力賛歌ともいうべき半狂乱の暴力を描いた第1作と 

 

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第1作の成功を受けて作られた第2作「ビヨンド」は、前作のような徹底した暴力主義ではなく、従来の北野映画のように理由ある暴力映画に原点回帰。西田敏行、塩見三省の加入で人的厚みも増し、前作を凌駕する面白さを醸し出しました。 

 

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今回の「最終章」は主人公である大友が、最後のカタをつけるべく、韓国から日本に戻ってくる話、と聞いていました。

 

物語の大筋は確かにそうなんですが…。

 

僕には本作は、北野監督が塩見三省さんに送ったエールのように思えました。 

 

塩見三省という役者

 

前作「アウトレイジ ビヨンド」を語るときに、塩見三省さん抜きに語ることはできません。そう言っても差し支えないくらい、塩見さんの印象は強烈でした。

 

関西の巨大暴力団・花菱会は実質、若頭である西野(西田敏行)と、その補佐である塩見三省演じる中田が取り仕切っていて。

 

実は登場シーンはそう多くなく、セリフもあまりないのですが、塩見三省が残した印象は強烈でした。間違いなく「ビヨンド」で最も印象深いキャラクターだったのではないかと思います。

 

その塩見さん、「ビヨンド」のあと、脳出血で倒れられて、懸命なリハビリ後、復帰された、との話は聞いていました。

 

あの恐怖の大王・中田を再び演じられると聞いて、ファンとしては期待半分、不安半分、の気持ちで見に行きました。

 

回復途上の塩見三省

 

正直に言いますと、塩見さん演じる中田は、もはや「ビヨンド」の時の中田とは別人になっていた、というしかありません。

 

その痩せこけた身体、まだ少し辛そうな左半身…

 

「ビヨンド」でビートたけし演じる大友に銃を突きつけ、「殺ったろうやないかい!!」と引き金を引きかける鬼の形相、中野英雄演じる木村を恫喝し片足をテーブルに叩きつける威圧感!!

 

世界のキタノさえたじろいだ、「ビヨンド」の塩見三省

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まさに恐怖の大王と言っていい、堂々たるヤクザぶりでしたが…。

 

今回はその面影は全くありません。

 

左手はほとんど動かさず、ずっとサングラスをかけ続けていたのでコワモテも見えず、目の表情は全く見えませんでした。

 

たぶん、一度も立ったシーンもなかったと思います。

 

明らかに、障害が残っている様子が見て取れました。

 

それなのに…。

 

今回、塩見さんが影の主役と言っていいほどの大事な役回りになっていました。

 

影の主役・中田

 

花菱会の内部抗争

 

一枚岩の張グループ

 

大友の復讐

 

この三つが大きな軸で進んでいくのですが、その中でも花菱会の内部抗争がメインの話となっています。

 

花菱会は前作の布施会長が退き、跡目を継いだのがなんと元・証券マンの野村(大杉漣)で、古参幹部の西野はあからさまに野村批判を繰り返す、と言う状況。

 

野村は西野を排除すべく策を弄し、中田に跡目を継がせたいという理由で、西野の暗殺を示唆します。

 

西野と中田の関係性

 

ここで重要となってくるのが、前作から続く西野と中田の関係性。

 

意外と仁義を重んじるヤクザだった中田は、この野村の動きを西野に伝え、共に野村に反旗をひるがえす、と言う流れになります。

 

つまり、中田が前作から継続して登場していないと、説得力のある物語にはなりません。

 

ここでもし、中田が死んだことにして、別の人間をキャスティングしていたら、その人物が西野にそこまで義理立てするモチベーションを観客は共有できず、物語が空虚なものになったものと思われます。

 

だから中田の存在はこの物語では必要不可欠です。

 

なぜこの脚本にしたのか

 

ではなぜ、そんな脚本を書いたのでしょう。

 

なぜ、もっと大友を主軸にした物語を書かなかったのでしょう。

 

実際のところ、大友は冒頭にこそ出てきますが、中盤までほとんど出番がありません。前半から中盤までは、ずっと花菱会のゴタゴタが続きます。

 

その間も、塩見三省演じる中田は出ずっぱり。

 

不自由な左半身、不自由な顔面をスクリーンに晒し続け、前作「ビヨンド」から、彼1人だけまるで30年くらい経ってしまったかのような、別人のような風貌を晒しながら。

 

これはもう、北野監督が、塩見さんに捧げたと考えるしかないと思います。

 

もちろん塩見さんはまだご存命。「ビヨンド」の大成功の功労者と言っていい塩見さんが、今後も役者としてやっていくために、あえて北野監督は塩見さんを使い続け、心中覚悟で塩見さんにエールを送った、そうとしか考えられません。

 

カメラを覗きながら、塩見さんにもう「ビヨンド」の頃の迫力が出せないことは、監督がいちばん気づかれていたはず。

 

いや、カメラを覗く前に、とっくに気づいていたでしょう。

 

それでも役や脚本を変えなかった理由は、それ以外に考えられるでしょうか。

 

塩見さん、病気に負けず、これからも頑張ってくれ。

 

という、監督の声が聞こえてきそうな作品でした。

 

STORY

 

マル暴の刑事・片岡を殺した大友(ビートたけし)は、張会長(金田時夫)の庇護のもと、韓国・済州島で暮らしていた。

 

ある日、済州島で花菱会の花田(ピエール瀧)という日本のヤクザがいざこざを起こす。大友が出て行き、一旦は解決するも、翌日、花田の部下により張グループの若い衆が殺される。

 

花田は帰国後、兄貴分の中田(塩見三省)に事の顛末を報告。済州島が張会長の縄張りで、事態を収めたはずのヤクザが大友であるらしいことを知り、事態の重要性を感じる。

 

早々に張会長の元へ出向き、謝罪をする中田と花田。しかし誠意なきその態度に張会長は一顧だにせず追い返される。

 

ここで初めて中田は若頭・西野(西田敏行)と会長・野村(大杉漣)に事態を報告。花田に億単位のカネを用意させ、西野が直接、謝罪に出向くこととなる。

 

一方、会長の野村は、常に自分への批判を繰り返し、自分を差し置く西野への憎悪と危機感を募らせていた。

 

この事態を利用し、西野の排除を計画する。

 

まず中田を抱き込み、自分の跡目は中田に取らせるので、西野を排除するよう示唆。張に謝罪後、暗殺されたこととして、同時に張グループも潰す、という計画だ。

 

張グループに億単位のカネを持って謝罪へ行く西野。しかし会長は中田への対応と同じく一顧だにしない。そして、テイよく追い返される。

 

その帰り道。

 

中田のクルマに付いて、料亭に向かっていたはずの西野のクルマは、急に人気のないところで停車させられる。

 

そして…。

 

先導者から降りた男の銃が火を吹き、西野のクルマのドライバーが射殺される!!

 

が…。

 

銃口は西野には向かない。

 

実は中田が西野に野村の動きを伝えていたのだ。

 

何も知らない花田は恐怖に震える。

 

「野村会長に伝えろ。帰り道、襲われて、西野は死んだと」

 

その通りに伝える花田。そして西野の仇と称し、張会長の命を狙うことに。

 

花田が放ったのは、暴走族上がりの半グレ集団。張会長が行きつけの喫茶店にいるところを襲わせることにした。

 

しかしその話を聞きつけたクラブの従業員が、張会長のナンバー2の李(白竜)に知らせる。張会長のボディーガードは殺されたが、すんでのところで会長を守る李。

 

張会長暗殺未遂を聞きつけ、ついに帰国の決心をする大友。大友を兄と慕う市川(大森南朋)ほか、韓国で大友の世話をしている子分たちも日本へ向かう。

 

張会長宅を張っていたマル暴の繁田(松重豊)は、空港で李が大友を拾うところを目撃、そのまま大友を署まで連行する。

 

二日間、署内で大友の尋問をする繁田。加藤殺し、木村殺しに関連付けた片岡殺しに関する繁田の推理は的を得ているのだが、大友は喋らない。

 

やがて、張会長から警察に圧力がかかり、大友はあっさり釈放される。繁田はそんな情けない警察に心の底から激怒する。

 

この後、繁田は異動になりマル暴を外れる。

 

韓国から大友を慕ってきた仲間たちと合流した大友は、まず東京の花菱会に狙いを定める。

 

大友は今やすっかり花菱会の傘下組織に成り下がった山王会の白山(名高達男)と五味(光石研)の手引きで、木村組を継いだ花菱会の連中をクラブで皆殺しにする。

 

しかし山王会が放った刺客により、大友は市川以外の全ての仲間を失う。

 

花菱会と会合を持つ大友。そこで西野が生きていることを知る。西野は張会長を狙ったのも、大友を狙ったのも全てが野村会長の画策であることを大友に伝える。そして、出所してきた組幹部の祝賀パーティに会長が出席することを伝え、暗に会長の暗殺を示唆する。

 

ところが、直前になって野村会長はパーティへの出席をキャンセル。会場そばで控えていた西野にそのことが伝えられる。同時に、指定していた場所に大友がいない、ということも伝えられる。

 

西野は突然、祝賀パーティでマイクを握り、居合わせた全員を驚愕させる。自分は野村会長により命を狙われた。中田が教えてくれなければ今頃殺されていただろう。たった今、自分は野村会長と親子の縁を切る。オレに着くか、野村に着くか。

 

この一世一代の演説の最中…。

 

突如、大友と市川が自動小銃を乱射しながら乱入。会場にいたほとんどの構成員を皆殺しにする。

 

西野と中田は命からがら抜け出す。そしてついに西野は野村の前に姿を現し、幹部が見守る前で堂々と野村を拉致。野村の身柄を大友に差し出す。

 

大友はクルマの往来の多い山道に野村を埋める。首だけ地上に出し、全身を埋め込まれた野村は身動きが取れない。

 

やがて走ってきた一般車両に頭を潰される野村。

 

マル暴も事態が収まりひと段落ついた。繁田はかつての上司が出世した席で辞表を提出する。警察内部で最後まで筋を通した数少ない人間であった。

 

花菱会は西野を会長、中田を若頭、花田を若頭補佐とする新体制がスタートした。花田は会長からの祝いということで、好きなSMプレイ用に女を手配される。

 

それは大友が仕掛けた罠であった。両手足をプレイで縛られた花田の口に、爆弾を仕込んだ猿轡を噛ませ、長い長い導火線に火をつけ、死の恐怖をたっぷり味わわせたあと、爆弾が爆発。花田は爆死する。

 

張会長は大友の動きを気に病み、「自分のためならもう十分だ」と李につげ、済州島に帰るよう大友に命じる。

 

市川は全てが終わったと思い、済州島に帰るが、大友はあと一つ、やり残したことがある、という。

 

それは木村を殺した実行犯への復讐であった。

 

出所し、堅気になって鉄工所を営んでいた2人を、大友は銃で撃ち殺す。

 

李は会長の命令を聞かない大友に銃を向ける。これ以上、会長に迷惑をかけさせるわけにはいかない。

 

しかし、大友は

 

「李さん、あんたがそんなことすることはないよ。会長によろしく」

 

とだけ言い残し、顎の下から自分の頭を撃ち抜くのであった。

 

 

 

 

 

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