バカルディ時代を除いても、さまぁ〜ずライブは1〜10まで出ていまして(今年の夏に11がありました)、それぞれとても面白い内容です。
その中でも特に面白いのがさまぁ〜ずライブ5ではないでしょうか。
さまぁ〜ずの面白さが凝縮されていますし、ちょっと工夫を凝らしているけどわかりやすい設定が、普通のコントライブとはまた一味違う世界観を見せつけてくれます。
少し紹介していきます。
プレゼント
三村扮する三川(みかわ)が仕事終わりに同僚を待っていると、先輩の大沢が通りがかります。演じるのはもちろん大竹。
三川:大沢さん、来月、誕生日ですよね?!何か欲しいものとかありませんか?
大沢:え?なんで?
三川:こないだ、僕の誕生日にいいものもらったんで。ぜひお返しがしたくて。
大沢先輩、ちょっとチャラい感じもするサラリーマンですが、後輩の誕生日にプレゼントをくれる、心優しい人物でもあることがわかります。ここがのちの伏線となります。
大沢:いいよいいよ!気を遣わなくて!!
三川:それじゃあ僕の気が済みませんから!!
大沢:えぇー…。
三川:何か欲しいものありますか?
大沢:そんな…。なんだっていいよ…。クツ、とかでもいいし…。
三川:カバン、どうですか?!僕、大沢さんに似合いそうなカバン見つけたんです!!
大沢:気持ちだけで嬉しいじゃないか。カバンもらっても嬉しいし、クツ、とかでも嬉しいし…
もちろん大沢は遠回しにクツが欲しい、と言っているわけだが、三川はそれに気づかない。「コーヒーメーカー」「ネクタイ」などいろんなプレゼント候補をあげ、その度に大沢は「それでもいいし、クツでもいいし」を繰り返します。
果たして三川は大沢の本心に気がつくのでしょうか…。
かおみ亭
典型的な、旅館の客と仲居さんのコント。であるけど、実は最後にこのコントの持つ不思議な時制に気づくことになります。
お客さんは「プレゼント」に出てきた三川と同一人物。仲居さんが大竹。
この仲居さんがなかなか部屋を出て行かず、出て言っても即、再入室、を繰り返し、三川を困らせます。
どうやら三川は写真が趣味で、知らない土地にフラリと来て、景色の写真を撮るのが好き、という人物であることがわかります…
仲居さんが、お化けの話をするくだりが抱腹絶倒です…
あなたの右腕でいたい…
今回三村が演じるのは三川とは全く違う、株式会社エムアンドオーの社長。ちなみに、冒頭の三川と大沢はここの社員。
エムアンドオーはたぶん、MimuraとOotake、でしょうね(笑)
社長に呼ばれて社長室にやってくるのは大竹扮する「生田目」(なまため)さん。
社長が生田目を呼んだのは、新しく作った野球チームのユニフォームの帽子の色が決まらない、という案件。
ユニフォームは、白を基調に、アンダーシャツ、ソックス、チームロゴは緑のものを3体のマネキンが着ています。
そしてそれぞれ、黒、白、緑の帽子をかぶっています。
社長:生田目くん、帽子はどの色がいいと思う?
生田目:よろしいんですか?ワタクシが言っちゃっても?
社長:言っちゃって。
生田目:緑…。じゃないですかね。
社長:緑。
生田目:アンダーシャツ、ソックスが緑ですよね?そしてロゴ、ラインも緑。バランス的にはやはり緑がいいんじゃないかと。
社長:私は黒がいいと思うんだ。
生田目:…。なるほど。あっ!黒、いいなあ!!ベルトとクツ、黒ですもんね!!あっ!!黒がいいなあ!!
社長:白も捨てがたい。
生田目:…確かに。ベースが白ですからね!!当然、白が来ますよね、上に!!
という具合に、社長に気に入られたい生田目はそのとき社長が口にした色を褒めます。その生田目の、変幻自在の変わり身が爆笑を誘います。
ところが、予想外のオチが待っていました!!
先輩の準備
三川が大沢先輩のマンションに呼ばれて言ってみると、電気がついていません。
と、とつぜん、結婚式の定番曲が流れ、電気がつき、大沢先輩がクラッカーをパンパンと鳴らし、「きゃっほー!!おめでとーー!!」とサプライズパーティーの雰囲気。
戸惑う三川に、先輩は「これは、テストだ!」と言います。
大沢:今からこの部屋に、イマイヤスオとアサイユウコがやって来ます!!
三川:ホントですか?!
どうやらこういうことのようです。
大沢と三川の共通の後輩・イマイ君とアサイさんは近々結婚予定なのですが、花嫁・アサイさんのお父さんが反対していて、結婚式に来てくれないため、式が行えないという状況に陥っている。
そこでせめてものお祝いに、大沢先輩は今から三川と2人で、この部屋でサプライズパーティを開催するつもりなんです。
チャラいけど心優しい大沢先輩…。
その心意気に共感した三川は先輩の手伝いを決意しますが、大沢先輩の神経質すぎる演出にやや辟易気味…。
ちょっとウルっとくる流れの中で、予想外のオチ!!
個人的に、このコントのオチがいちばん笑いました!!
リハーサル
これは、一時大人気になったバンド「マイナスターズ」のネタです。
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マイナスターズとは、さまぁ〜ずライブから生まれたバンドで、大竹扮する"ヘロー"ことメインボーカルのヘロオカシュンが、ムチャクチャな歌を歌い、その歌詞に、プロデユーサーである三村扮するミタムラニクヒコが延々とツッコむ、という形式で進むコント的なバンドです。
ヘロオカ:続いての曲は、うちのオフクロのオフクロの家がありますけども。
ミタムラ:「おばあちゃん」だな。
ヘロオカ:田舎なんですけど。そこを思い出して。「いちごゆざあ」って駅。
ミタムラ:え?越後湯沢なの?
ヘロオカ:越後湯沢じゃない。「いちごゆざあ」。
ミタムラ:ねえよ!!そんなとこ。
ヘロオカ:そこを思って作った歌。
ミタムラ:へえ。
ヘロオカ:タイトルは「レッサーパンダ」。
ミタムラ:関係ないよ!!
こう言ったやり取りがずっと続きます。
が、ここで何気なくヘローが言ってた「いちごゆざあ」駅が、次のコントに出てきます。
そしてその駅こそ…。
駅
「いちごゆざあ」駅の改札口。
三川が降りて着ます。そのいでたちは、二つ目のコント「かおみ亭」の時と全く同じ衣装。
初老の駅長。もちろん大竹。
三川:絶景のポイントってないかな、と思いまして。
駅長:知ってる知ってる。希望峰。
三川:希望峰…?
駅長:大西洋とインド洋の交わる…
三川:南アフリカのじゃない!!この辺の!!
駅長:ああ、この辺の。あるある。「顔あらい滝」。水道くらいの細さでスーッと。4メートルくらいかな。綺麗な自然がいっぱいあるから。
三川:…。ああ、なるほど。
駅長:今日はどっか泊まるとこあるの?
三川:いや、まだ決めてないんです。
駅長:じゃあいいところあるよ。「かおみ亭」。旅館。滝の近くだから。
三川:ああ、顔あらい滝を見る旅館で「かおみ亭」か…。
このやり取りで気づきます。
この「駅」というコントは、2本目の「かおみ亭」のコントよりも、時間の流れで言えば「前」の時間の出来事であることが。
さらに、以降の流れから、「先輩の準備」よりも後の出来事であることがわかります。
すでに、「かおみ亭」と「先輩の準備」は時間の流れが入れ替わっていたのでした。
そしてこのコントを最後に持って来たのはちゃんとした理由があって…。
三川が東京出身であることを知った駅長は、「娘も東京に行ってるよ」と言ったあと、ちょっと東京に対する偏見を見せます。
まあ、誰でも気づく、ベタな流れではありますが…。
駅長さんは、「先輩の準備」で出て来た、結婚式でもめているアサイユウコの父親。
三川は偶然、後輩の父親が駅長をしている駅に降り立った、と言うわけです。
駅長と三川のトンチンカンなやり取りが爆笑を誘いながら、この駅長がユウコの父親であると気づいた三川は、駅長にある約束をします…
このコントライブにふさわしい、笑いと爽やかな涙に包まれて、幕が下がります。
批判精神とか毒とか、そう言う尖った笑いではなく、家族愛、隣人愛を武器に笑いを作るさまぁ〜ずの真骨頂を見せてくれるさまぁ〜ずライブ5。
見終わって、とても爽やかになるコントライブです。