私はお笑いが大好きで、子供の頃からよく見ています。
関西人なのでやはりよしもと芸人さんたちが大好きです。
テレビなどでもお笑い番組におけるよしもと芸人の専有率は大きく、少し前まで日本中で
お笑い≒よしもと、
という空気感があったことは否めないと思います。
ところが最近はそのあたりが微妙に変質しているように感じます。
アフターコロナならぬ、アフター「例の件」
例の件以来、特に東京でのよしもと芸人さんたちの立ち位置は微妙に変化しているように思います。
例の件以前からも、関西人以外でよしもと芸人さんたちの(関東の皆さんから見れば)粗野な言動を不快に感じていた視聴者の意見を汲んで、
よしもと芸人が少ない(あるいはゼロ)のお笑い番組なども目立つようになってきて。
「有吉の壁」におけるよしもと芸人さんたち
「有吉の壁」なんかでも、よしもと芸人を決してスポイルしてはいないものの、他の事務所の芸人さんとバランスよく配置している結果、
よくある、よしもと芸人たちが固まって世界観を作って強引に笑わせる、という図式はなく、
他の事務所の人たちの間にポツンとよしもと芸人が1組いるという図式は…。
特に関西から来たよしもと芸人なら、それまでは圧倒的多数で周りを占めていた事務所の魔力が解けてしまって、
裸で、他の事務所の人たちの間に放り出されて、
彼らの底力が試されていて。
他の事務所の芸人さんたちが爆笑をとっている中、よしもと芸人がスベっている、という、関西では絶対に見ない光景をよく見ます。
「ミスター壁」安村は…
「ミスター壁」の安村はよしもと所属だと思いますが。
よしもと芸人さんたちの間では完全に「終わった芸人」という扱いだったのではないでしょうか。
それが有吉に見出され、根気よく使ってもらったおかげで、今あの番組で彼は爆笑をかっさらっているばかりか、
彼が「有吉の壁」でやっている、
「毎回、髪をバリカンで剃る」
だとか、
「自宅を水浸しにする」
といった芸は、すでにテレビをつけると他の芸人たちが一斉に真似をし始めていて。
「よしもと芸人」ではなく「チーム有吉」としての安村がリスペクトされ始めているように思われます。
有吉自身、終わった芸人だった頃、内Pでウッチャンに根気よく使ってもらった恩は決して忘れていないようお見受けします。「内さま」に出た時の、ウッチャンとさま〜ずを見る彼の目は、他の番組では見ない恩義に震えているように見えます。
チーム有吉として頑張っている安村には心打たれるものがあります。
そんな中で…。
よしもとイチ推しの芸人がスベっている、という構図。
「有吉の壁」に代表される、新しいお笑い番組におけるよしもと芸人の立ち位置の弱さを感じずに入られません。
呼び方の変化
そのことを強く感じるのは、芸人さん同士がお互いを呼ぶ際に使う言葉の変化です。
ご存知の通り、よしもと芸人さん同士が呼び合う場合、
1日でも早く事務所に入った人には
〇〇兄さん、〇〇姉さん、
と「兄さん」「姉さん」という呼び方をされます。
これはよしもとさんに限った風習だと思います。お笑い界におけるよしもとの占有率は極めて高いので、あたかもこれがお笑い界における風習なのかと思うほど一般化していました。
そして先輩ではなく、同期か、それ以下、つまり後輩たちに対しては、
「呼び捨て」
というのがよしもとさんの風習であったと思います。
ただ、よしもとさんの名誉のためにいうと、呼び捨てであっても、それが不快に聞こえるということはありませんでした。ただ仲間内の愛のこもった呼び捨てというふうに、少なくとも僕自身はそう思って聞いていました。
東京芸人たちのスマートでクールな呼び方
しかし前述の通り、「兄さん姉さん」と「呼び捨て」はよしもとだけの風習。
最近の、関東に拠点を置く他の芸人さんたちの、お互いの呼び方は…。
〇〇くん
が一般的だと思われます。同期でも、ほんの少しくらい先輩でも、そして後輩でも。
わけ隔てなく「くん付け」で呼び合う、少しくらいの年代の差など無視し、互いをリスペクトし合っているような呼び方はとてもスマートです。
また、「くん付け」が恐れ多いほどの先輩には
〇〇さん
と呼ぶことで敬意を表しています。
この
〇〇くん
という他人の呼び方、これがテレビを通して聞くととても紳士的でスマートで、クールで。
令和の芸人間の呼び方にぴったりマッチしているように思えます。
そして今この風習が急速に芸人の間で広がっているようにお見受けします。
よしもと芸人も御多分に洩れず、
つい最近、大阪から東京に進出し、東京に見出してもらいたいよしもと芸人さんが、すでにこの
〇〇くん
といった呼び方で他者を呼んでいる場面を時々目にします。
大阪にいた時そんな呼び方してなかったやん!!
と叫ぶ我々の声は聞こえないフリをして(笑)
こうして関西芸人は東京に染まっていきます(笑)
ただよしもとは劇場の数が多いので、所属芸人たちが腕を磨ける場が多いのも事実。
今まで通り、自分たちの世界観がどこでも通用する、という強引なやり方ではなく、
東京に進出したら、他者に合わせるスマートさを持つ者でないと生き残れないのかもしれません。