2/27の水曜日のダウンタウンは、
家に人が山ほど隠れていても、意外と気づかない説
芸人解散ドッキリ 師匠クラスの方が切ない説
飲食店に貼ってあるサイン 最古のものはもはや真っ茶色説
外国人に「浜田と松本どっちがゴリラに似ている?」と聞いたら意外に松本と答えるんじゃないか説
と、ほとんどが当たりの回でした!!
でもその中でも、飛び抜けて面白かったと言うか、衝撃的だったと言うか…。
この番組でしかあり得ない!!と思わせた攻めた企画が、
芸人解散ドッキリ 師匠クラスの方が切ない説
の中の、不仲が半ば周知の事実であるおぼん・こぼん師匠へのドッキリ。
平成版 昭和のお笑い 名人芸 7 すず風にゃん子・金魚 おぼん・こぼん バラクーダ 昭和のいる・こいる KVD-3907 [DVD]
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憎悪のぶつかりあい
もはやドッキリではなく、おじいさん同士が半世紀以上にも渡って溜めに溜めてきた憎悪の念が、激しく、そして醜くぶつかり合う様が、いかんなく収録された、醜悪な現場の映像を見る事となりました。
それは最近の、予定調和的なドッキリとは全く違う種類のもので…。
もはや笑えるレベルのものではなく、ただただ、人間が50年に渡って憎悪しあう相手と働き続けた果ての姿を、つまびらかに見るドキュメンタリー。
53年の間、仲のいい時期もあったとの事でしたが…。
現在は8年間、口もきかない状況という事で。
これは半世紀以上の憎悪がもたらした結果と言って良いと思います。
師匠クラスへのドッキリ、これを吉本の巨人阪神やカウスボタンなどで行えば、もっと衝撃的なものになったでしょうが、さすがに放送もできなかったと思われ。
大ベテランが多数所属する浅草・漫才協会から選出される事となりました。
そして当然、漫才協会副会長(塙)と常務理事(土屋)のコンビ・ナイツが別室でスタンバイ。
スタッフ:あるんですか?師匠クラスまで登り詰めて解散って?
土屋:ものスゴいありますよ。
塙:だいたい多いのは「死別」ですけど。
(スタジオ爆笑)
土屋:死別は言わなくていいでしょう。まあでも本当に、ケンカ別れもけっこうありますからね。40年50年やった師匠の熟年解散とかも、リアルにいま漫才協会が抱える問題なので。
というナイツのイントロがあって。
塙がボケながらも、ナイツの2人があまり乗り気でなさそうな空気を醸し出していました。
1組目=京丸・京平
1組目として出てこられた東京丸・京平師匠はたいへんコンビ仲が良い、というお二人で。
その通りの内容でした。
京平師匠が、さいきんの体調不良を理由に京丸師匠に解散を提案すると、京丸師匠は優しい口調ながら、MRIを撮る事を主張。
京平師匠は、
「自分と一緒に続ければ、いつ自分がひっくり返るか判らない。迷惑をかける」
という理由で解散を提案します。京丸師匠はショックを受けながらも、
MRI検査に行く事、
京平師匠以外と組む気はないこと、
1人でやる気もないこと、
2人でまだまだ売れたいこと、
などを口にされます。
京平:解散はダメ?
京丸:ダメ。
と明言。
ここでナイツが入ってドッキリである事を明かすと、京丸師匠はホッとしたせいか涙ぐまれているようで。
京平師匠も「『うん』って言われたらどうしようかと思ったよ」と笑いにされていましたが。
心温まる、ほっこりとしたドッキリでした。
メインイベント おぼん・こぼん
で、本題はこちらの方…。
2組目、「おぼん・こぼん」師匠。
ナイツが最初から重い空気だったのは2組目がこのコンビだったからと思われ。
土屋:みなさんに伝わってるか分からないですけど、かなり攻めた人選です。
塙:一番リアルです。ホント、怖いです。コンビ組んで53年やってまして。仲がいい・悪い、を繰り返してるんですよ。で、今は「悪いーー!!」っていう…(段階にいる)
土屋:53年でいちばん悪い所です。
塙:8年間、私語をしていないらしいです。
塙:3年ぐらい前ですかね。僕らが楽屋にいましたらおぼん・こぼん師匠が舞台に上がって。いつも笑い声が聞こえるんですけど、ピターって笑い声が止まったんです。その瞬間に「ドンッ!!」って音がしまして。見に行ったら…。殴り合いのケンカをしていた事がありました。
土屋:舞台の上でね。
スタッフ:どっちが…(どっちを殴った?)
塙:こぼん師匠がいつもと違うことを言っちゃったことで、おぼん師匠がこぼん師匠を殴った。こぼん師匠が殴り返して、それが3〜4回続いて…。
土屋:ツッコミじゃなくなってね。
塙:で、急に音楽が流れてタップダンスを踊り出すっていう…(終わり方をした)
おそらく音響さんが、事態を収拾させるために、とっさに気を利かせて音楽を流したものと思われ。
舞台上でケンカするなど、仲が悪いにもほどがあるなと思わせ…。
ナイツがずっと戦々恐々な顔をしている理由がわかるエピソードでした。
本編スタート!!
ナレーション:現在、とても2人で話をする関係ではない。ということでマネージャーを介してターゲットを誘い出す事に。
谷川MN:信号の向こうにおぼんさんとそっくりな人がいたのよ。「おぼんさーん!!」って言ったらまるっきり違う人でした。ハッハッハ!!
おぼん:…。
こぼん:…。
(ナイツは別室でモニタリング中)
塙:(苦笑)谷川さんだけだよ笑ってるの。死んだような顔してる。2人とも。
おぼん:今日きてもらったのは、いろいろ話があって来てもらったんや。
こぼん:うん。
おぼん:オレが何で怒ってるか、お前、分かるか?
こぼん:何を怒ってんねん。
おぼん:いやいやだから何で怒ってるか分かるか?
こぼん:(食い気味に。一顧だにせず)分からん。お前の事は分からん。あんたのことは分からん。
おぼん:とりあえずさ、53年間漫才コンビを組んできて、分からへんの、オレの考えてる事とか?
こぼん:(食い気味)何も分からへん。
おぼん:どういう風に分からへんの?
こぼん:どういう風に分からへんって、分からへんから分からへん。何がどういう風にやねん。(完全なケンカ腰)
おぼん:いやだから…。
こぼん:(語気を強め)何が言いたいねん?
おぼん:謝るか謝らへんか。オレに対して。
こぼん:何を謝るねん?
塙:解散じゃねぇし。
土屋:いやヤバいなもう…。
ナレーション:解散話はどこへやら。早々に冷静さを失い、なぜか謝る/謝らないの二択を突きつける、おぼん…。
おぼん:今まで、お前が、漫才で、何をしてきたか。
こぼん:そんな話はもうええわ。(MNに)金ちゃん、何の会やねんこれ?
おぼん:何の会やない。オレとの話し合いや。
こぼん:いらん、もういらん。お前とは話さなくていい。
おぼん:おぼん・こぼんのスタートはお前や。お前がオレを誘ったわけや。
こぼん:まあな。ほんで?
おぼん:誘った以上は最後までお前がオレの責任を持たなイカンやろ?オレは親に反対されて、お前は一族郎党全部に…。
こぼん:そんなもん、もう古い話はやめとこや。
おぼん:これが根本の話や。
こぼん:何やねんだから?
おぼん:で、進展もあれへんやないか。
こぼん:進展なくてもいい、もう。
ナレーション:(マネージャーの顔のアップ)師匠同士のマジゲンカに、この世の終わりのような顔になってしまったマネージャー…。
おぼん:15周年記念、なんかやろうって言って。でお前が先頭切ってやったか?
こぼん:お前のワガママでやってたんやないか。
おぼん:ワガママ?!
こぼん:テメーが好き勝手な事やっただけの話やないか。
おぼん:「おぼん・こぼん」としてやってるわけや。
こぼん:金使ってな。
塙:(苦笑)いやもうオレ行きたくねぇよ下。全然解散って言わねえじゃん。早く言ってよ「解散」って。
土屋:大丈夫かなあ…。
おぼん:で勝手にやったよ。全部集めて。ほとんどオレが全部集めて、全部やってる。
谷川MN:トイレ行ってくる。
ナレーション:マネージャーがたまらず、地獄からエスケープ。ということでここからは8年ぶりとなる2人きりの会話。
こぼん:自分で何か率先してやった事あるか?この53年間。
おぼん:何を偉そうに言うてんねん。
こぼん:偉そうに言うてない。
おぼん:言うてるやないか。
こぼん:今までずーっと我慢してきたよオレは。生活のために。オレが漫才協会やめた時、ちょっとでもオレを救うたか?自分が理事に残って、何にもせん4年間の理事で。今このていたらくやないか。
おぼん:知らんがなオレは!
こぼん:何で残ってるねん?!
おぼん:何で辞めなあかんねん、じゃあ逆に?!お前が勝手に辞めて。「つまらん、何票差、オレに足らんから」言うて。「腹立った、辞めますわ」って。なんやその辞め方?
こぼん:ああそうや。そうや。ああそうや。
おぼん:みっともないやないか、その方が。
こぼん:お前が何をやってきてん?漫才協会に?
おぼん:ああ、おれは賛助会員やってますよ。
こぼん:何の賛助会員?今もうほとんど人も集まってへんやない。
塙:(苦笑のあまり上体が崩れる)
土屋:いまこぼん師匠が担当している業務の話をしています…。
おぼん:満足にさせてるかお客さんを?賛助会員よ。もうそんな事、次元が低すぎるやないかお前の考えてる次元が。
こぼん:もうえぇもうえぇ。
おぼん:すべてそうやないか!
こぼん:もうスッキリしましょ!ね?!スッキリしよ!
おぼん:どういう風にすんねん、じゃあ?
こぼん:辞めるなら辞める。
おぼん:お前はどうやねん!
こぼん:うん、それでいいじゃん。
(ナイツの別室が騒然とする)
土屋:こぼん師匠から解散の話…。
塙:えっ…。辞める?
ナレーション:ここでまさかの逆解散オファー。
塙:やめてやめて。ホントに辞めちゃうよこれ。この番組のせいで。
ナレーション:コンビ結成から53年、築き上げてきた絆はそんなに脆いものではないはず…。
おぼん:そんなんでお前、やってたってしょうがないやん。
こぼん:だからしょうがないからや。そんならもう辞めてしまいましょう。スッキリするじゃない。
おぼん:ああ、スッキリするよオレだって。
こぼん:だからそれでいいじゃない。
おぼん:おーそうか。
こぼん:はい、終わり。
おぼん:うん。
ナレーション:ということで…。
解散、決定。
切なくなるどころかオオゴトになってしまったので、急いでネタばらし。
(ナイツとスタッフ、現場に突入。ナイツの顔はめちゃくちゃ強ばっている)
塙:こぼん師匠、すみません!!
(「ドッキリ大成功!!」の看板を見せる塙)
こぼん:(強ばったままの顔で)何やねんそれ?
塙:すみません…。
こぼん:(まったく笑わず)シャレになるドッキリと、ならんドッキリあるでこれ。
ナイツ:すみません…。
こぼん:おい!(強い憎悪の念とともに塙に物を投げつける)
土屋:いやあの…。本音をぶつけあって、仲良くなってほしいという気持ちがありまして…。
こぼん:(手をヒラヒラさせ)仲良くならない。
おぼん:ひとこと謝れや。すまんなこれからやっていくわとか。なんかあるやろ。
ナレーション:と、なぜかこの期に及んでもまったく引かないおぼん。
こぼん:もうええ!終わり!!
おぼん:なっさけないなあ!
ナレーション:と、へんな終わり方になってしまったが、その後の話し合いの末、なんとか解散という最悪の事態は回避。
(以下は、撮影終了後、隠しカメラに映っていたナイツのこぼんに対するフォロー)
塙:本当に…。この為に来ていただいて…。すみません。
こぼん:(真顔のまま)おう、ええよええよ。全然、全然。
塙:わからないですけど、今はさすがにあれですけど、たぶん一番反響があると思います。今までの漫才協会の、テレビに出たヤツの中で。
土屋:それでね、ちょっと言いづらくなってはあれなので。
塙:だからまぁ、編集はね。なんとなくこうそんなに…。
こぼん:でもテレビのエンターテイメントとしては、面白くもなんともないでしょう?
土屋:うーん…。
こぼん:そういうのは狙ってないのかな?
土屋:でもこの番組は芸人みんな評判良くて。最終的には芸人が得してると言うか。オイシくなって、結果的には話題になって。影響力もありますし…。
こぼん:(真顔のまま)では帰ります。
塙:またよろしくお願いします色々。
土屋:(何度も頭を下げる)
と、VTRはここでおわりました。
小藪のフォロー
プレゼンターの小藪が、最後にこうフォローしていました
「最初は師匠のマネージャーさんに(このドッキリの)オファーをしたとき、マネージャーさんは断ったんです。断ったということをおぼん師匠に伝えたら、
「漫才協会に少しでも役に立つのなら引き受けよう」、
ということで、(おぼん師匠が)マネージャーを抑えて引き受けてくれはったんです。
で、こぼん師匠。(VTRの中で)たいへん怒ってはりました。途中おぼん師匠が「お前サービス精神ないんか」いうてはりましたけど。あんな怒ってるとこ普通やったらオンエアされたくないです。師匠が
「もう流すな!」
って言うたら終わりの所をこぼん師匠が
「かまへん、流していいよ」
っていう、こぼん師匠のオッケーをいただきましたのでこのVTRが流れる事になっております。ですのでサービス精神バリバリあるこぼん師匠。ありがとうございます!!」
と、必死にフォローしていたのが印象的でした。
なぜナイツがプレゼンターでなかったか
そして通常、現場でロケをしたのがナイツだったので、なぜナイツではなく小藪がプレゼンターになったのでしょうか…。
やはり、すこしでもナイツがこのVTRに対して茶化すようなコメントをすれば、おぼん・こぼん師匠を茶化す事になり、漫才協会に対して良い影響を及ぼさない、と考えて、あえてスタジオには行かなかったのでは…。と思いました。
とにかく、色んな意味でギリギリのパワーバランスを感じさせる、極めて攻めた企画でした!!
お見事でした、水曜日のダウンタウン!!