夫:今度の直木賞をとった人は「ファンタジーノベル大賞」ってやつでデビューした人らしいわ。
妻:ファンタジーノベル大賞ってナニ?
夫:たぶん魔法とか、そういうたぐいの小説やと思うわ。
妻:流行りの転生とかかいな?!
夫:うーん、そうかも。
妻:そんなんアンタも書けるんちゃう?!
夫:そんな簡単ちゃうやろ。
妻:どんな設定がある?考えてみ?!
夫:えー…。よーわからん…。靴屋が、転生して、王が履いてるブーツの靴ズレを直して戦争に勝利させて、王の娘をめとる、とかどうや?
妻:(キッパリ)しょーもな。
夫:急には出ぇへんよ。
妻:女子に人気のマンガに「王家の紋章」ってのがあってな。
夫:そんなん知らんわ。
妻:アホな男どもは知らんねんけどめっちゃおもろいねん。
夫:どんなマンガなん?
妻:考古学が好きなアメリカ人の金髪の娘がタイムスリップして古代エジプトに飛ばされるねん。
夫:おお!いきなり面白そうやん。
妻:金髪娘は考古学が好きやから、そこで出会った少年王がこれからどうなるか、知ってる。だから少年王を導いて悪いやつらから少年王を守るねん。
夫:なるほど。
妻:やがて娘と少年王は恋に落ちるねんけど。真っ白い肌に金色の髪、未来を言い当てる娘の存在はエジプト中に知れ渡り、誰もが彼女を手に入れたいと、力づくでやってくる、って話やねん。
夫:それは面白そうやな。
妻:つまり何が言いたいかというと。
夫:ウンウン。
妻:タイムスリップは、ショーモない場所に行ったらオモロない!!ってことや。
夫:…。えっ?
妻:ええか?!この場合、古代エジプトや。誰が今まで、古代エジプトにタイムスリップした?!
夫:そりゃ誰もしてないよ。
妻:そやろ?!いかに壮大でドラマチックな場所にタイムスリップするか、これがファンタジーモノの醍醐味やねん!!
夫:そ…。そんなもんかね…。
妻:「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では西部劇の時代、「11/22/63」ではケネディ暗殺前夜、と言った具合や!!
夫:なるほど。
妻:日本の場合、やはりドラマチックといえば戦国時代とか、明治維新とかや。でも「信長のシェフ」「仁」なんかにすでに取られてるんや。
夫:「取られてる」って…(-∀-`; )
妻:いつがいい?!縄文時代とか弥生時代とか?!
夫:いやそんな原始時代は信長とかケネディとか、一般に知られてる人がいてへんやん。
妻:そうか…。これはどう?平安時代に行って、光源氏と知り合うっていうのは?!
夫:光源氏がそもそも物語上の人やからね。
妻:ほんだら紫式部と知り合って、源氏物語を書きながらスランプになってる紫はんにアドバイスをするってのはどうや?!
夫:紫はんって…(-∀-`; )蒙古斑みたいに。
妻:ほんで主人公が紫式部と恋仲になったら、清少納言が主人公を誘惑してくるねん!!
夫:なんで清少納言が…。
妻:ライバルに男ができたら全力でその男を横取りするイタイ女っていつの時代にもいてるねん!!
夫:清少納言ファンに怒られるで(¯―¯٥)
妻:どう?このアイデア?!
夫:でもどうせありえへん設定なら別に日本にこだわらんでもええやん。
妻:ハッ!!そうやな!!
夫:外国の、有名な人とか…。
妻:ベートーベンや!!
夫:…えっ。
妻:外国人で、有名人で、かつ、まだ誰もそこにタイムスリップしてない人。それはベートーベンや!!
夫:ま、まあ、それはそうかも知れんね。
妻:ただ1つ問題がある。
夫:それはなに?
妻:ベートーベンは…。ブスやねんッ!!
夫:そ…。そうなん…。
妻:めっちゃブスやったらしい。引くほど。こんな物語って美男美女じゃないと成立せえへんやろ?
夫:それはかまへんやろ。ベートーベンはイケメンやったってしたらええやろ。
妻:そうか。文豪ストレイドッグスで文豪がイケメンになってるしな。
夫:そうそう。
妻:「王家の紋章」では考古学好きの娘がタイムスリップしたから…。ベートーベンのところにタイムスリップするのは…。
夫:誰?指揮者の女の子?
妻:違う!!アホが!!
夫:えっ…。ピアニスト?
妻:「耳鼻科の医者」じゃ!!ヴォケ!!
夫:…耳鼻科…
妻:ベートーベンの耳を治すんや!!
夫:なるほど!!
妻:「ベートーベンは耳が聞こえていた」んや!!この世界では!!
夫:おもろいなあ。
妻:タイムスリップする女の子の名前は…。
夫:名前まで考えたん?!
妻:「襟山莉世子(えりやま・りぜこ)」やッ!!
夫:「莉世子」って…(-∀-`; )
妻:「エリーゼのために」は襟山莉世子・通称エリーゼのために書かれた曲やったんや!!
夫:なるほど…。
妻:そして莉世子を巡って、シューベルト、モーツァルト、バッハなんかが入り乱れて、上へ下への大騒ぎが繰り広げられる!!
夫:微妙に時代が違う人たち…。
妻:どや!!これでアンタも直木賞狙えるな!!
夫:狙えるか!!もうええわ。