昨日、北海道マラソンを走られたランナーの皆さん、お疲れ様でした!!
天候も良くて、いろんな意味で道マラを満喫できたことと思います。
僕自身、2013年〜2015年は3大会連続して参加しました。
去年と今年は体調の問題もあり参加できていませんが、やはり、昨日は自宅にいながらも心は札幌のあの場所にありました。
道マラには、不思議な魅力があります。
その魅力ってなんなのでしょう。少し考えてみました。
唯一、真夏に開催される都市型マラソン
マラソンは秋から冬のスポーツ。屋外の道路を長時間走ることを余儀なくされるため、暑い時期には不向きなスポーツです。
道マラは日本で唯一、8月最終日曜日という、真夏に開催されるマラソン大会。高低差はあまりないものの、いっさい日陰がない長い新川通を延々と走り続けなければならないコースは、決して走りやすいとは言えません。
それを克服するには、暑さへの耐性が必要。つまりランナーは7月〜8月にかけて走り込み、暑さを克服しなければいけません。
テレビで「熱中症にお気をつけください」「屋外でのスポーツなどはお控えください」と注意喚起されるような日を選んで、長距離を走る練習をしなければいけません。
何も知識もなく真夏に長距離走なんかやろうものなら、命の危険さえ出てきます。練習を積み、真夏ランへの知識もそれなりにあるランナーにしかできない、ちょっとした特殊技能。
それほどの練習を積んで、初めて自信を持ってスタートラインに立てる大会です。
厳しい制限時間
北海道マラソンは1987年からスタートしました。制限時間の変遷についてみていきましょう。
1987〜1994
男子が3時間30分。女子が4時間。
1995〜2008
4時間(男女共)
2009〜現在
5時間
となっています。
現在、制限時間は5時間。
東京マラソンや大阪マラソンなど、大都市マラソンは7時間という大会が多い中、いわゆるサブ5のランナーでなければ完走することができません。
しかも、前述の通り、真夏の大会。環境は過酷です。いつもはサブ5で走れても、道マラでそれが再現できるかはわかりません。
本気の練習で、初めて実を結ぶ大会と言えるでしょう。
真夏練習のモチベーション
よくマラソン雑誌などを読んでいると、「夏を制するものがマラソンを制する」なんて記事を見かけます。
本命の冬の大会で満足な結果を残すためには、夏場の練習をおろそかにするな、という意味です。
しかしながら、なんのモチベーションもないと、4ヶ月、5ヶ月先の大会に向けて、30度の炎天下を練習しようという気にはなかなかなれないもの。
道マラにエントリーしていれば、モチベーション不足の心配はありません。上述の通り、本気で練習しないと完走できない、難しい大会なのだから。
道マラ最大の秘密・最後の最後で、道マラの優しさに触れる
制限時間は5時間、と先程申し上げました。
でも、実は、意外に知られていないことですが…
正確にはこれ、ちょっと違うんです。
北海道マラソン公式ホームページで、大会概要→関門、をみてみましょう。
関門の明細
28.2kmで3時間28分。
ここ、僕自身を含め、いちばん引っかかってしまう関門です。キロ7分23秒でないと突破できません。
35km関門は4時間15分。
キロ7分17秒。マラソンは後半が落ちるのに、ここにきてさらにキツイ関門設定。
そして…。
あれ??
41.6km、最後の関門の閉鎖時間は…。
5時間5分。
えっ?
制限時間5時間の大会なのに、最後の関門は5時間5分後に閉鎖されるんです。
これは一体どういうことでしょう?
そして、ゴールはいったい、いつ閉鎖されるのでしょう??
ゴールの閉鎖について、公式ホームページには記載がないんです。
最終関門を越えた者は、全員がゴールできる
41.6km地点からゴールまでの約600メートル。この間はほぼビクトリーランとして、良識の範囲内で走ればゴールとして認められるのです。
つまり、41.6kmを5時間5分で越えることができたランナーは、ゴールゲートをくぐりさえすれば、全員がゴールと認められるのです。
気力を振り絞り、最後まで諦めなかったランナーに対し、ゴールゲートは5時間を超えても迎え入れてくれる。
最後の最後に、厳しかった道マラの優しさに触れる瞬間です。まるでツンデレですね(笑)
北海道マラソン。いつまでも不完全な、魅力溢れる大会
昨日も、たくさんの知人が道マラを走りました。
PBを更新した人もいました。不調から脱することができて、涙とともにゴールした友もいました。
そして、ゴールに届かなかった友もたくさんいました。
道マラのエントリー方法は、先着順。抽選ではありません。エントリー開始と同時にインターネットに繋いで、自分の力で出場権を勝ち取る方式。
そのあたりも、魅力の一つかもしれません。
それに魅入られてしまったものは、また必ずあの時計塔の下に集まり、地獄の釜のように蒸し暑い創成トンネルをくぐり抜け、日陰のまったくない新川通を走りたくなってしまうのです。
確かに、完璧な大会、とは呼べないかもしれません。
いくつも、問題点はあります。
新川通での給水の量が少ない、紙コップの散乱、荷物の預け場所の問題etcetc…
でも…
それらを考慮してもなお、あまりある魅力が、北海道マラソンにはあります。
来年もまた、北海道マラソンは開催されることでしょう。
そして、僕や、その他、この魅力に取り憑かれたランナー達が、再び、真夏の太陽のもと、札幌の地に集うことでしょう。
その日が今から、とても楽しみです。
*なお、本文中の、北海道マラソン制限時間の変遷についての詳細な情報や、41.6kmからゴールまでの件については、北海道マラソン事務局のヤマト氏に詳しく教えていただきました。お忙しいなか、誠にありがとうございました。