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「トゥモロー・ウォー」SFドンパチではなく、時空を超えた壮大なファミリームービー。

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「観る価値がある」と思わせる場面

 

30年後、人類はエイリアンとの戦いに敗れて滅亡する

 

ということがほぼ確実に分かった現在。

 

高校で科学を教える主人公は、生徒たちからこう問われます。

 

生徒A:学校、成績、大学。意味ないじゃん。

 

生徒B:最新の予測数値知ってる?人類は負ける。そうでしょ?エイリアンに皆殺しにされる。

 

生徒たちは学校に来てはいますが、学校なんか意味がない、と言いたいのです。

 

30年後、自分たちは滅亡するのに、なぜ嫌な勉強なんかしないといけないんだ、と言いたいのです。

 

この意見、覆せます?確かにごもっともですよね?

 

もし僕が教壇に立つ主人公なら、

 

「そ…。そうやなあ…(汗)」

 

としか返事できないなあ、と観ながら思っていました。

 

主人公は生徒たちに、こう諭します。

 

主人公:今こそ世界に必要なのは科学者なんだよ。技術革新が続けば、解決策が見つかる。科学が重要なんだ。だから、勉強を続ける。

 

映画を見ながら学ぶことって多くて、「こんな時はこう行動すべきなんだ」と人生の行動指針さえ示してくれるときがあります。

 

これが映画の醍醐味の1つ。

 

アマゾンプライムの「トゥモロー・ウォー」の冒頭で主人公クリス・プラットが生徒たちにこう切り返したとき、

 

「この映画は最後まで観る価値があるな」

 

と直感しました。

 

あらすじ

 

2022年(つまり来年)、世界中が視聴しているW杯サッカーのピッチ上が突如、光に包まれる。

 

そして数十名の兵士たちが光の中から現れる。

 

彼らは30年後の未来から来た人類で、

 

「現在、エイリアンとの戦時下にあるが、戦況が悪く、1年後に人類は滅亡する。あなたたちが兵士として共に戦ってくれなければ」

 

突然の申し出に戸惑う現代人。

 

しかも誰もが30年後に行けるわけではない。

 

もしかして10年後、大発明をするような人物が、いま30年後の戦争に加わり、戦死した場合、大きなパラドックスが起きる。

 

その他様々な条件があり、軍人でさえ30年後に行ける人間は少ない。

 

そのため民間人が戦地に行けるよう、世界規模の徴兵制度が敷かれた。

 

30年後に行き、戦争に加わるのは1週間。

 

しかし帰ってくる人はわずか20%にも満たない。

 

そんな中、主人公は戦地に行ける人間として選ばれた。

 

彼は軍にいた経験はあるが、同じく選ばれた仲間たちを見渡すと、ポンコツっぽい人間ばかり。

 

おそらくは

 

「30年以内に何らかの理由で死ぬ」

 

というのが選ばれる理由であると思われた。

 

そして彼らは30年後の未来へ。

 

そこで見た敵とは…。

 

知性のカケラも感じさせない、極めて凶暴で俊敏で、強力なエイリアン。

 

巨大な口、無数に生えた鋭利な牙、

 

車両をひっくり返す力があり、極めて俊敏に動き、

 

そいつらが無数にいて、人類に殺戮の限りを尽くしているという、

 

極めて絶望的な世界。

 

強力な自動小銃の弾丸も、急所に命中しなければエイリアンは死なない。

 

30年後の未来で主人公は様々な出会いと別れを経験しながら、

 

人類の運命を決める研究に参加する…。

 

脚本の妙

 

上のあらすじを読めば、こんなストーリーを想定するでしょう。

 

見所は、まず凶暴なエイリアンの造形。

 

そして30年後の近未来の武器、兵器、乗り物などのデザインのカッコ良さ。

 

そしてそれらを使った激しい戦闘シーン。

 

「DAY1 」から始まって「DAY7」まで、主人公たちはミッチリ戦い、

 

そして意外な方法で敵の弱点を知り、

 

DAY7の最後の数秒で敵を倒し、現代に戻り、ハッピーエンド。

 

こんなストーリーは忘れてください(笑)

 

正直にいうと、予算が少ないせいか、それほど目新しい武器とか兵器とかは出てきません。

 

似た物語で「オール・ユー・ニード・イズ・キル」ってのがありました。

 

 

あれで全兵士が背負っている、人体を強化する機動スーツのような、

 

目を見張るような兵器は出てきません。空飛ぶ車も出てきません。

 

バケモノと対決するシーンは、すごいアクションですが、よく観ると、その場所は…。

 

何となく、仮面ライダーが敵と戦う採掘場のようでもあり、

 

予算、少ないのかな…

 

と思うこともしばしば。

 

しかし本作の素晴らしいところは、そんな小さなところではなく、

 

物語全体の脚本が実によくできている!!

 

という点です。

 

細かく話せばネタバレに触れてしまうので説明できませんが、

 

30年後の凶悪なバケモノとの戦争でさえ、本作を構成する1つのパーツでしかありません。

 

先述の「オール・ユー…」においては、バケモノ「ギタイ」との戦闘シーンが全てでした。

 

しかし本作はそうではない。30年後の戦争でさえ、構成パーツの1つでしかないという見事な脚本です。

 

2段階脚本

 

本作で目立ったのが、2段階脚本とでも呼ぶべき構成です。

 

最初にあるものを提示し、それが失敗するも、

 

次に似た状況が生まれると、先の失敗を生かし次は成功する、というパターンです。

 

「それってハリウッド脚本のあるあるじゃない?」

 

と思うかもしれません。確かにそうなんですが、

 

本作の場合、そのあるあるを破壊しながら進んでいくのが特徴です。

 

ストーリーの詳細に触れずに説明するのが難しいのですが、

 

ハリウッド脚本あるある「クリフハンガー」の場合

 

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冒頭、山岳救助隊のスタローンは宙づりになった女性の手を握り、落下を阻止します。

 

が、その手が徐々に滑ってきて…。

 

最後は女性が落下。

 

スタローンはこの事故のショックで救助隊を辞めることになります…。

 

本作にもほぼこれと同じシーンが出てきますが、主人公は、スタローンとは違う行動をとります。

 

「ええっ?!そこはスタローンっぽく、相手の名前を悲壮感溢れる表情で叫んで終わりのパターンやん!!それがハリウッドあるあるやん!!」

 

とこっちが叫びたいのを尻目に、主人公は違う行動をとります。

 

結果はやはり失敗なのですが…。

 

そしてこの後、クライマックスにおいて、もう一度、

 

「ハリウッドあるある」

 

と言いたくなる場面が出てきます。

 

そして誰もがある主要登場人物の死を覚悟します。

 

ところが主人公はまたハリウッドあるあるを破壊する行動を起こします。

 

最初に「クリフハンガー」スタローンのシーンを破壊する行動を起こし、失敗するのは、

 

クライマックスでやはりハリウッドあるあるを破壊する行動で成功するための布石だったのだ、と観るものを納得させます。

 

そしてこの2段階脚本は、そんなミクロな部分だけじゃなく、

 

物語全体さえ包み込むスケールで進んでいきます。

 

詳細は映画をご覧ください、としか言えないのですが、

 

ただのSFドンパチ映画にとどまらない、

 

時空を超えた壮大な家族愛を描いた物語です。

 

アマゾンプライムに加入されてるなら、ぜひご覧下さい!!