第1話
妻:お兄ちゃんのシューイチやけど。
夫:ウンウン。
妻:身長・185cm。
夫:背ぇ、めっちゃ高いね。
妻:黙ってたら、まあまあ男前と言われてる。
夫:めっちゃ男前やで、あれ。
妻:小学3年生の頃な。
夫:ウンウン。
妻:木ぃのミカン箱の下に、コロコロがついたやつを見つけてきて。
夫:子供には危険なガジェット。
妻:シューイチがそれに乗って、
夫:乗りましたか。
妻:友達はチャリンコ。
夫:危険な香り。
妻:シューイチが握ったロープを、チャリンコの後ろにくくりつけ。
夫:ああ、やっぱり。
妻:陸上の、ジェットスキーやな。
夫:上手いこと言うねえ!
妻:でも小学生の悲しさよ。
夫:どうしました?
妻:「内輪差」とか、わからんし、
夫:カーブですな。
妻:直角に曲がったチャリンコに対し、外に投げ出されるカタチのシューイチ。
夫:怖いねえ。
妻:そのまま、向かいの壁ギワのドブに突進!
夫:ドブ…
妻:ドブまみれで、帰宅してたわ…
夫:あぁーあ…
第2話
妻:お兄ちゃんのシューイチやけど。
夫:また出たね。
妻:小学3年生の頃。
夫:前回も3年生じゃなかった?
妻:朝、一緒に学校行っててん。
夫:ウンウン。麗子は1年生やね。
妻:その日は粗大ゴミの日で。
夫:…。
妻:粗大ゴミの中に、三輪車が捨ててあるのを発見したシューイチは。
夫:見つけちゃったのね。
妻:「ヒャッホ〜〜イ!!」と叫ぶや否や、
夫:カウボーイか!!
妻:キックボードの要領で、三輪車で大暴走!!
夫:血が騒ぐんかな。
妻:あっという間に、アタシをおいて、50メートル前方を三輪車!!
夫:危ないで!
妻:そのままドブに突進!!
夫:…。
妻:一瞬、姿が消え…
夫:う、うん。
妻:ドブから這い上がり…
夫:う、うん。
妻:「リング」の貞子的な髪型で、こっちに戻ってきて…
夫:こ、怖いなあ…
妻:アタシとすれ違いざまに…
夫:ウンウン。
妻:「オマエ、先に学校行っとけ!!」って、めっちゃエラそうに言うとったわ!
夫:お前こそドブまみれやろーー!!
第3話
妻:お兄ちゃんのシューイチやけど。
夫:…。
妻:小学3年生の頃。
夫:…。
妻:近所の神社に、「老人用手押し車」が置いてあって。
夫:「老人用手押し車」?
妻:今でいう、乳母車?ベビーカー?の、小型版みたいなヤツ。老人の杖の代わりでもあり、荷物も入るってヤツ。
夫:ウンウン。
妻:シューイチのやつ、勝手にそれが「捨ててある」って判断して。
夫:…。また車輪付いてるやつやね…
妻:荷台にシューイチが乗り、友達に押させて、
「ヒャッホ〜〜イ!!」
やで!!
夫:毎日おんなじことしてるやんけ!!
妻:一方、手押し車の持ち主は、「盗まれた!」って警察に盗難届!!
夫:えっ?!事件やん!
妻:シューイチの犯行やってバレて!!
夫:「ドブ落ち」じゃないんですね?!
妻:警察が家まで来て、大騒ぎや!!
夫:大騒ぎって!!
妻:シューイチは、「捨ててあると思った」って言うて!被害者は「捨ててるわけないやろ?!」言うて!!水掛け論!!
夫:シューイチ…
妻:お隣の小林さんが、「子供のやったコトやないの?!」って、めっちゃ、シューイチをかばってくれはってん!!
夫:よかったなあ、シューイチ…
妻:ホンマ、我が兄ながらあいつは、子供の頃から、アホやったで!!