妻:小学校の高学年ってな。
夫:ウンウン。
妻:女子が色気付く頃やん。
夫:そうかなあ。
妻:クラスの女子はな。
夫:ウンウン。
妻:好きな男の子のことばっかり話題にするねん。
夫:そうなんや〜。男子はそんなことなかったと思うけどなあ。
妻:アタシはそのへん、子供で。遅れてたから。
夫:そうなん?
妻:オパーイとかも、まだぜんぜん、真っ平らやったし。
夫:それは今でも…
妻:え?
夫:何も言ってないよ?
妻:好きな男子とかも、特にいてへんかってん。
夫:なんか、わかる気がするわ。
妻:でも、そんな話ができないと、仲間はずれにされるからな。
夫:ウンウン。
妻:周りの女子には、いちばん、当たりさわりのない、オーツカくんのことが好き、ってウソいうててん。
夫:え?なんで?
妻:オーツカくんは、人気がないからな。
夫:オーツカくん…
妻:他の女子と、競合せえへんねん。
夫:なるほど。
妻:だから、アタシが好きっていうても、他の女子との間に波風が立たへんねん。
夫:ずるいなあ!
妻:オーツカくんに悪いことしたな…
夫:オーツカくんに直接の被害はないやん。
妻:でも、アタシが仲間はずれになることを防ぐための、オトリとしてだけ使われて、捨てられた…
夫:ほんまやね。
妻:オーツカ・何くんやったか、下の名前すら覚えてない。
夫:かわいそうに。
妻:それどころか、どんな容姿やったかさえ、ぼんやりとしか覚えてない…
夫:覚えといてあげてよ…
妻:オトリとして使ってごめんね、オーツカくん。
夫:オーツカくんはその事実は知らんけどね。
妻:オーツカくんの未来に、幸あれ。
▼オーツカくん(想像図)