3/8に放送された「奇跡体験!!アンビリーバボー」でマラソン関連の話題を放送されていました。
それは「偶然の連鎖!奇跡で紡いだ命のリレー」と題された、2016年の「高知龍馬マラソン」において、心停止に陥ったランナーさんを、偶然居合わせた7名の医療関係者のランナーが、連携して救助にあたり、命を救った物語なのですが。
番組内で説明されていた、心停止へのメカニズムや、心臓マッサージの意味、AEDの使用方法など…。
心臓手術を受けたことがある身としてはとても興味深い内容でした!!
心停止に陥ったのは65歳の男性の森岡さん。この日が初フルマラソンでしたが、練習を積み、10kgの減量にも成功していた、とのことでした。
第1の原因:気温
この日は2月にもかかわらず、なんと20度を越える暑さだったそうです。寒い中、行なってきた練習に慣れた体にはこの暑さはかなりこたえたはず。かなりの汗が出ていたものと思われます
第2の原因:給水ミス
にもかかわらず、森岡さんは最初の給水ポイント、恐らくは5km地点、での給水を怠ります。
理由としては、給水場付近に紙コップが散乱して、足を取られそうになったからだ、とのことでした。
潜在的なミス:給水ボトルの不携行
初心者になればなるほど、給水ボトルを携行してマラソンに挑むべきだ、と思うのです。
僕の友人でフルマラソンを3時間17分で走る俊足ランナーでさえ、
「僕ら程度のランナーは給水ボトルを持つべきだ!!」
と言っています。フルを3時間17分という驚異のスピードで走る彼ですら、自分のことを「僕ら程度」と呼ぶのです。
フルマラソンを走るということは、それほど危険を伴い、準備しておくに越したことはない、ということです。
もしこの時、森岡さんが腰に給水ボトルを持っていたなら、給水場で水が飲めなくても、自分のボトルから飲めばよかったわけで。
初心者なのに給水ボトルを持っていなかったことが潜在的にこの事態を引き起こした、と言って過言ではないと思います。
ボトルポーチ「YURENIKUI」。マラソン大会では一番、愛用者が多いように思います。
心肺停止の原因
『想定外の気温による発汗と、給水ポイントで水分補給をしなかったこと。これにより血液がドロドロの状態になり、2ヶ所の血管にできた血栓が血流を阻害し、心臓の動きを止めてしまった』
番組内では森岡さんの心停止の原因をそう説明されていました。
倒れたのは…。
12.5km地点、スタートから1時間40分後のことでした。
ボランティアスタッフがすぐに駆けつけ救急車を手配、その際の森岡さんの様子は…。
意識こそないものの、呼吸はしているように見えました。
素人にはわからない『死戦期呼吸』
ところがその直後にやってきた西本さんというランナーさんは偶然にもお医者さんで。
プロの目から見たその呼吸は…。
死戦期呼吸、と呼ばれるものでした。
突然倒れたものがする、しゃくれあげたような呼吸は、死戦期呼吸と呼ばれ、心肺停止直後の患者に見られる特徴。アゴは動いているが体内に酸素を取り込めていないのだそうです。
通常呼吸との違いを、知識のない一般人が見抜くのは非常に難しいとのこと。
この時点ですでに森岡さんの心臓は停止していたのでした。
1分=10%、リミットは10分!!
西本医師は大至急、AEDの手配を依頼。同時に、心臓マッサージを開始しました。
AEDはもちろん心臓に電気ショックを与えて心肺停止状態の患者の心肺機能を復活させる道具ですが。
心肺停止後、1分が経過するにつれ、心肺機能復活の可能性は10パーセントずつ減っていく、とのこと。
つまり、心肺停止後10分経ってしまうと、もう助かる見込みはないそうです!!
その理由は
心臓は停止しても、心臓内が痙攣している「心室細動」状態は約10分間続き、その心室細動状態でないとAEDは作動しないそうです。
心室細動すらなくなってしまうと、AEDは電気ショックの必要性はないと判断し、作動すらしないそうです。
西本医師ともう一人、看護師の女性ランナーの2人で心臓マッサージを行なっていましたが…。
それはかなりの重労働のため、2人で良質の心臓マッサージを長い時間行うのはかなり難しい、とのことでした。
心肺停止後2分。
さらに後方からやってきた男性ランナーが救助の輪に加わります。彼も医師でした。さらに2名の女性も参加、彼女たちは看護師。
これで計5名の医療関係者が救助にあたっていました。
心肺停止後3分。
さらに1名の男性が加わります。彼の名は谷脇さんで、救急救命士。いちばん救急の現場に慣れていらっしゃるのか、心臓マッサージをしながら周囲を見渡し、ある判断を下します。
それは現場のそばで状況を見守っていた2台の白バイ。
谷脇さんは心臓マッサージを交代してもらい、白バイ隊員に駆け寄り、
「今すぐAEDが欲しいのに、到着が遅れている。1台はゴール方向へ、もう1台はスタート方向へ走って、AEDを探してきてください!!」
と指示を出し、白バイを動かします。
さらに1名の救命士が加わり、こうして4分の間に7名の医療関係者が集まって、医療器具が全くない状況下で森岡さんの蘇生のために処置を続け…。
心肺停止7分後。
AEDを持って現れたのは、谷脇さんが指示した白バイのうちの1台でした。彼の判断がより良い結果をもたらせました。
AEDの使い方:
①箱を開けて電源ボタンを押す。
番組内のAEDでは緑のボタン。作業手順を示す1という文字も入っていました。
②患者の衣服を脱がせる。
①のボタンを押すと機械が喋り出し、
『上半身の衣服を脱がせてください』
と機械から指示がありました。
その後、
『胸が露出したら、グレーのプラスチックケースを開けて、白の粘着パッドを剥がします』
と指示が来ます。
③ケースに入った2枚のパッドをはがし、絵の通りに患者の右胸と左脇腹に貼る
『パッドの描かれている絵をよく見てください。グレーのケースから1枚目の白のパッドをはがしてください』
と、機械からの指示は続きます。言われた通り、パッドに描かれている絵の部分にそれぞれのパッドをしっかりと押し付けます。
④電気ショックが必要かAEDの判断を待つ
『カラダから離れてください!!心電図を解析中です。』
⑤患者の体から離れ電気ショックのスイッチを押す
『ショックが必要です。点滅しているオレンジのボタンを押してください』
『ショックが終了しました。119番に電話して、救急車を呼んだことを確認してください』
AEDが声で指示
驚いたのは、すべての手順を機械が喋って説明してくれ、どの場所にパッドを貼るかもパッドそのものに絵で描かれているので、いざとなれば使用経験のない人間でも操作が可能である、という点でした。
電気ショック直後、谷脇さんが心臓マッサージを再開。
森岡さんに呼吸が戻ったのは、ショック後2分を経過してから、とのことでした。
心肺停止13分後。
救急車が到着。森岡さんは高知市内の病院へと搬送。
救助にあたったメンバーは、AEDの到着が遅かったため、後遺症の心配をされていたそうですが…。
7名ものメンバーによる、質の良い心臓マッサージが功を奏し、森岡さんは後遺症が全くない状態で回復されました。
2年後、サブ5でゴールって…(^_^;)
そして今年の高知竜馬マラソンで…。
グロス 4:45:03
ネット 4:39:27
で完走されていました!!
今年67歳のはずなのに…。余裕のサブ5やん(^_^;)
ただ!!
森岡さん、今年も給水ボトルを腰に差さずに走られていたことが気になりました…。
お互い、健康に気をつけて楽しく走りましょうね!!