走れダイエットランナー!

ポンコツ夫とポンコツ嫁はん。ランニングで健康維持しつつ映画やテレビ見ながら言いあらそうブログです。

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結婚しようよ。

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その日は…

 

 

2人で、朝早くから、香川県にうどんデートに行っていた。

 

 

年に2、3回は通う、お気に入りの店があるんだ。

 

 

山越うどん。

 

 

ここの「かまたまうどん」が絶品で絶品で。

 

 

僕たち2人とも、大好きなんだ。

 

 

その日ももちろん山越さんでかまたまうどんをたべたあと、あと確か2〜3件のうどん屋さんを回った。

 

 

けっこうはやい時間に、大阪に戻れた。彼女が、あした早いから、という理由で、4時ごろ、家に送り届けた。

 

 

僕は当時、奈良に住んでた。公営団地の自分の駐車場にクルマを停めたのは5時前だったかな。

 

 

強く西日が差していたのを覚えているよ。

 

 

長い時間、運転していた。自分の駐車場に停めた時は、ふぅ〜っと、大きくため息をついた。

 

 

楽しい時間だった。

 

 

道中も、バカな話で盛り上がり、うどん屋さんでは美味しいうどんに舌鼓。

 

 

帰りの車中も、疲れてる僕をおもんばかって、必要以上に笑い、喋って、僕の眠けを追っぱらおうとしてくれて。

 

 

もう付き合い始めて1年以上やなあ。

 

 

車内を整えながら、僕は思った。

 

 

結婚、するなら、あの子やろうなあ。

 

 

運転席に座りなおして、僕は思った。

 

 

気づかいのできる、心の優しい、上品な、美人さんだ。

 

 

僕なんかにはもったいない。

 

 

…。まあもちろん欠点もあって。

 

 

時間を守れない、とか。

 

 

ぼんやりしてる、とか。

 

 

 

ガンコなとこ、とか。

 

 

でもそんな欠点はすべて長所と比べたら、ゴミ程度の小さなもので。

 

 

じゃあ、なぜ結婚を決めないんだ?

 

 

僕は自分に質問した。

 

 

…そうだなあ…

 

 

結婚って、そんなに良いものなのか?

 

 

独身の今は、いつ、どこへ行こうが勝手だし。

 

 

稼いだカネを何に使おうが勝手だし。

 

 

いつ帰って、いつ寝ようが勝手だし。

 

 

それこそ、他にいい女がでてきたなら、それに乗り換えようが勝手だし。

 

 

…いや、最後のはないな。

 

 

こんな僕に、彼女よりいい女が出てくるはずがない。  

 

 

でも…

 

 

最後のふんぎりが、まだつかないな。

 

 

西日が差し込んでいる車内。

 

 

ふと、助手席をみた。

 

 

ヘッドレストに、長い髪の毛が1本。

 

 

西日にあたって、きらっと光った。

 

 

彼女の髪の毛だ。

 

 

フッと、笑顔がこぼれた。

 

 

また、さっきまでの楽しい時間が蘇った。

 

 

…さあ、いつまでもこんなとこにいられない。

 

 

髪の毛を捨てて、家に入ろう。

 

 

そう思った。

 

 

が…。

 

 

カラダが、動かなかった。

 

 

脳は命令した。

 

 

①右手で髪の毛をつまんで、

②窓から外に捨て、

③クルマを降りよ

 

 

と。

 

 

でも…。

 

 

カラダが、動かなかった。

 

 

助手席の髪の毛をつまんで外に捨てる。

 

 

それができなかった。

 

 

彼女の髪の毛だ。

 

 

それを捨てるなんてできない。

 

 

脳の命令を、魂が拒んでいた。

 

 

…捨てられない。

 

 

たとえ、髪の毛1本でさえ。

 

 

その時、僕は思ったんだよ。

 

 

彼女と結婚しよう。