みなさんこんにちは!お方さまの足まわり講座です!
今回は、みなさんからのご要望が高い、
「外反母趾」
についてお勉強していきましょう!
まず最初のお断りです。
「外反母趾」という言葉は、医師が診断する症状です。
医師以外はそう診断してはいけません。
一見して、明らかに外反母趾の症状が見て取れるお客様であっても、医師免許を持っていなければ、靴屋さんの販売員が、
「お客様は外反母趾ですね」
と言ってはいけません。
いくら上級シューフィッターとはいえ、現場でお客様を「外反母趾」と判断してしまうことはご法度な訳です。
これは意外と知られていないことなので、
もしあなたが行きつけの靴屋さんで、販売員さんから、
「お客さん、外反母趾ですね〜」
とか気軽に言われた場合、その販売員さんはあまり信用できないですね。
あなたが靴屋さんなら…
もちろんご存知とは思いますが、そうでなければ
「医師免許見せて!」
と言われて大恥をかく前に、その接客姿勢は改めましょう!
しかしながら、知識として知っておかなければいけないので、詳細に把握していますし、経験も豊富なお方さま。
さて、お方さまの、
・婦人靴販売員歴 23年
・シューフィッター歴 19年
・上級シューフィッター歴5年
・初級シューフィッター実技指導員歴 3年
の職歴の中で、
外反母趾のお客様に対して、もっとも言いたいこととは…
「おしゃれな靴になればなるほど、痛いリスクは高くなります」
ということです。
外反母趾になってしまっているお客様にとっては、
1)すごくおしゃれな靴
は、すなわち
A)リスクが高い(足が痛む可能性が高い)
ということです。
しかしながら、お方さまの経験では、外反母趾のお客様のほぼ100%のお客様が、
2)おしゃれ度は中くらい
だけれど、
C)リスクは低い(足はほとんど痛まない)
の靴をさがしています。
あるいは、
1)おしゃれ度がかなり高め
だけれど
B)リスクは中くらい(足はそれほど痛まない)
な靴をさがしています。
たいへん申し訳ないのですが、そんな靴はありません。
m(_ _)m
あくまで、
1)イコールA)
2)イコールB)
3)イコールC)
となっています。まずはそこをご理解いただきたいと思います。
それでは、外反母趾とはそもそもなんのことでしょうか。
正確に定義すると…。
外反母趾とは、母趾が第一中足趾節関節で外側へ曲がる変形のこと。
2008年日本整形外科学会外反母趾診療ガイドラインによれば、外反母趾角が20度以上を外反母趾と定義し、20度から30度を軽度、30度から40度を中等度、40度以上を重度外反母趾としている。
この場合の角度は、立位で撮影するレントゲン画像における外反母趾角(第一中足骨軸と、基節骨軸のなす角)及び中足骨間角(第一中足骨軸と、第二中足骨軸のなす角度)で判断する。
となります。
わかりやすく言いますと、
親指の付け根の部分が外側に出っ張ってしまい、親指の先が内側を向いて「く」の字の状態になってしまっているさま
を言います。
また、外反母趾でお悩みの方は、
ほとんどが女性
であるように思われますが、実際、その発症の確率は、
女性10人に対して男性1人
です。
これは、外反母趾発症の原因が、
女性ホルモンの一種であるエストロゲン
が関係しているのではないか、との説があります。
外反母趾が女性に多い理由はわかりました。ではなぜ
外反母趾になるのでしょうか。
これにはいくつかの要因があります。
まず、最も驚くべきことを申し上げましょう。
もし、この世に靴がなくても、外反母趾の人はいるのです!
外反母趾が発症する要因としてはまず
A)遺伝的要因
が挙げられます。具体的には…
・靭帯がゆるい
・筋肉量が少ない
・皮膚が薄い
といった遺伝的体質のことです。
上記のような体質の人が、
加齢により足のアーチが下がってくると、
足骨格のバランスが崩れ、
外反母趾が発症します。
実際に、靴を履かない部族の中にも外反母趾の女性はまれに見受けられるそうです。
B)後天的要因はやはり、主に靴が関係しています。
まずは単純に
①小さい靴を履き続けた場合。
サイズが小さい靴を長期間履き続ける
↓
足指がつま先にぶつかって、指が押し付けられる
↓
一番長い親指が被害が大きい
↓
押し付けられて、指だけが内側に曲がろうとする
↓
関節に負担がかかる
という流れになります。
次に、意外なことに、
②大きすぎる靴や幅が広すぎる靴を履き続けた場合。
足幅、甲の周りが、大きすぎるため固定されず、
↓
靴の内部で足が前方に滑り込み、つま先に足指がぶつかり、押される
↓
一番長い親指が被害が大きい
↓
押し付けられて、指だけが内側に曲がろうとする
↓
関節に負担がかかる
③パンプス
甲を覆う部分が浅いので脱げやすく、
↓
ヒモなどの調整具もないため、
↓
前足部を締め付けてはくしかありません。
↓
そのため長時間はくと足指はかなりの負担がかかり、
↓
その負担が関節へと作用します。
最後に、意外とスルーしてしまう要素ですが、
④ストッキング
ストッキングを履くと滑りやすくなり、また、足指が袋状に締め付けられるので、注意が必要です。
それでは次回は、外反母趾になる具体的なメカニズムについて見ていきましょう!