みなさんこんにちは!お方さまの足回り講座です!!
今日は、小さなお子さんの足について考えて見たいと思います。
少女に人気のアニメだけど…
今年で3歳になる、親戚の女の子がいます。今が可愛い盛り。
テレビアニメ「HUGっと!プリキュア」が大好きで、関連のおもちゃが欲しくて欲しくて、お父さんを困らせているようです。
この「HUGっと!プリキュア」を、みんなで見ていた時、あることに気づきました。
主人公の女の子たちが、ヒールを履いているシーンが目につきました。
アニメの主人公の女の子は中学2年生という設定のようですが。
あの番組を喜んで見ている女の子たちはもっと小さな女の子が多いはずで。
少女たちに大きな影響を与えるテレビ番組の中で、少女にヒールを履かせるとは…。
作り手の皆さんは、このことの影響をどれくらい認識してこのアニメを作られているのかはわかりませんが。
シューフィッターから言わせていただくと、少女にヒールは絶対にやめてほしい組み合わせです。
少女の成長と骨
そもそも、ヒトが成長するにあたり、骨も成長するのですが。
最も完成が遅い骨が、足の骨。
女性で15〜16歳、男性で17〜18歳、と言われています。
足の骨は、甲部分の骨(距骨)から成長していきます。それに比べて指(足趾)の骨は遅れて成長します。
一般社団法人 足と靴と健康協議会「シューフィッター(プライマリー)養成講座テキストより
もし、成長が完了していない状態の骨で、ヒール状の靴を履いたら…。
前足部の体重負荷が大きくなる
↓
足指を正常に動かすことができない
という状況に陥ってしまいます。
足指の正常な動きは、土踏まず(アーチ)の形成に重要な影響を与えており、
成長が完了していない足で、足指の動きを阻害する靴を履くということは、土踏まずの形成を阻害する、ということにつながり。
すなわち、
子供にヒールを履かせるとは、
足そのものの発達を阻害している
と言っても過言ではありません。
大人ヒールは、子供に×
大人の靴売り場に、親御さんに連れられて小学生の女の子が来店する、ということがたまにあります。
子供靴売り場には、この子が欲しいという靴がなくて
という理由なのですが、たいていの場合、
この子が欲しい靴=ヒール
というパターンが多いです。
丁寧な説明で、ご納得を
この場合、シューフィッターとしては、
女児にヒールを履かせることが、この子の足の発達にとってどれほど悪影響を及ぼすか
という理由を丁寧に説明します。
もちろん、
・説教じみた言い方にならないよう気をつけて。
・お子様の成長が心配なのだ、というスタンスで。
たいていの親御さんは納得していただき、お子様にヒールのデザインを選ばないように、と諭してくださいます。
が、中には、どんなに丁寧に説明しても、気分を害された、という態度で売り場を後にされるお客様もいらっしゃいます。
オシャレだけで済まされない
女児がヒールを欲しがる、という需要が高まってきたのか…。
最近では、子供靴でヒールのデザインの商品を見かけるようになってきました。
ヒールのサンダル、ヒールのブーツなどは言うに及ばず。
女児用ヒールパンプスまで販売されています。
子供が大人に憧れ、大人のようなオシャレをしたい、という気持ちは、誰もが通ってきた道なので、誰にでも理解はできます。
しかし、許してはいけないライン、というものが存在することを教えるのもまた、大人の役目。
決して、買い直せないもの
欧米では、子供の靴は親が選びます。
子供には選ばせず、親と店員で決めるのです。
ここは日本だから…。
というシニカルな声が聞こえてきそうですが。
日本など、靴という文化が大衆に広まってまだわずか100年。
靴文化で言えば遅れに遅れている後進国なのです。
それに比べ、欧米における靴文化の歴史は古く、実に中世にまで遡ります。
こと、靴という文化に関して見れば、日本はまだまだ欧米に学ばなければならない部分って多くあります。
お手入れの仕方とか、天候による素材の選び方とか。
でもそんなことの優先順位は低い。お手入れ不足で靴が早く傷んだら、自己責任で買い直せばいい。
でも、決して買い直せないもの。
子供の足の成長。子供の足の骨。
子供の成長に関わる、このとても大事な部分においては、
特に注意して、学ばなければならないのではないでしょうか。