妻:水分の確保はサバイバルにおいて最も重大な要素やで。
夫:まあ、そうやろなあ。
妻:こないだも言った、流れていない水を飲むくらいなら、そのちょっと横で穴を掘って、湧き出てきた泥水を飲むほうが衛生的。土で濾過されてるから。湖などの流れてない水は、動物が水を飲みにきていたり、あるいは動物の死骸が浮いてたり、ありとあらゆる毒や細菌が充満している。
夫:怖いねえ。
妻:私も読んだけど。「BORN TO RUN 走るために生まれた」って本の中で、若い二人のトレイルランナーが。
BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族"
- 作者: クリストファー・マクドゥーガル,近藤隆文
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: 単行本
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夫:ああ。ジェン・シェルトンとビリー・バーネットのくだりね。
妻:そう。伝説の、走る民族タラウマラ族とのトレイルレースを走るためにメキシコの山奥に来て。レースの前の日、遊びに山を走りに行って迷子になり、死にかけるくだりがある。
夫:あったあった。
妻:気温が38度の山の中で、水が切れて、二人は死にかける。最後の手段で、二人は、たった一ヶ所だけで見つけた水たまりの水を飲むねんけど。それはとんでもなく汚い水やねん。
その水は水ではなかった。蝿が飛び交い、野生のヤギやロバに描き荒らされた黒い泥と緑色の浮きカスだった。ジェンは近くで見ようとかがんでみた。おえっ!嫌な匂いがする。ひと口飲んだらどうなるかは目に見えていた。コレラやジアルジア、ギニア虫に感染するかだ。ギニア虫に冒されたら、皮膚にできた膿瘍や眼窩から体長1メートルの寄生虫をゆっくり引き抜く以外に治療法はない。
「BORN TO RUN 走るために生まれた」より抜粋
妻:でも結局、二人はその水を飲んで命をつなぐわけやけど、ほんまは絶対、あんな水は飲んだらアカン。
夫:どうすればよかったん?
妻:その水たまりの横で穴を掘って、湧き出た水を飲むべきやってん。たとえ湧き出た水が泥水でも、ヤギとかロバとかが飲みに来て、無数の細菌を落として行ったその水たまりよりはキレイ。土で濾過されてるしな。
夫:そう都合よく、水が湧き出るか?
妻:水たまりがある以上、穴掘ったら水は湧いてくるよ。
夫:そうかなあ…
妻:そんな、コンコンとは湧いてはけえへんよ。でも少しは出てくるはず。それを飲む。
夫:うーん。
妻:万一、湧き出る水が極端に少なく、ほとんどなかったとしたら。
夫:ウンウン!!
妻:でも、土は湿っているはず。
夫:少しくらいなら湿ってるやろね。水たまりの横なら。
妻:Tシャツを脱いで、その湿った土をTシャツにくるんで。
夫:おっ?
妻:Tシャツを絞るねん!!そして出て来た水を飲む!!この水も、土やTシャツに濾過されてるからまだマシな水やで!
夫:なるほど!
妻:量は多くないけど、そうやって命をつなぐんや!
夫:御意。