前回まで
伏拝王子をでて、水呑王子へと向かいます。
この辺りは森はなく、整備されたハイキングロード、の趣です。
バス停もあります。
銃声のような音がして驚きますが、こう言うことみたいです。
なんと、熊野古道の道中に、宿泊施設があるのです!!!
外人さんに、「こんにちは〜」と挨拶すると、ひときわ大きな声で「コンニチハ!!!」と挨拶を返してくれました。
そして、再び山に入ります。
木漏れ日がスポットライトのようでした。
人間とは、なんと小さな存在だろう…
森を抜けると、屋根付きの集会所みたいな場所。
今は使われていませんが、けっこう大きな施設。昔は熊野古道の休憩所か、おみやげ屋さんだったと思われます。
ここが水呑王子。
スタンプを押します。
水呑王子のスタンプ。
折り返し地点に決めている発心門王子までは2km弱。お腹がすいてきたので、そこでお昼だな、と決めていました。
小さな森を抜け…
澄んだ水たまりにはオタマジャクシがたくさんいました。
と…
僕の目に、ちらりと、「何か」が映りました。
それは、1秒の20分の1、くらいの短い時間…
崖の上から下へ落ちたその「何か」。
茶色い色に見えました。
それはまるで…
「猿」の背中のように見えましたが…
あまりの一瞬のため、断言はできかねました。
もう一段、上にいる人間が、下に物を投げた一瞬を見たのかな、とも思いました。
あさっての方向を向いていたお方さまに、
「今、あそこの崖から下に何かが落ちたわ」
「ふーん。何が?」
「一瞬やったからわからへん。でも…」
「でも?」
「『猿』、みたいにも見えたけど…」
「猿なんかおらへんやろ?どこにも『猿注意』の看板なんかないやん」
「そうやなあ…」
確かに生駒山に登ったら、「イノブタ注意」の看板をよく見ます。猿が出るなら「猿注意」の看板があってしかるべきです。
あまり気にせず、そこから100mほど歩いた、その時!!!
今度ははっきりと!!!
「猿」がいました!!
しかも2匹!!!
親子のようでした、そして親猿は、ものすごく大きい!!!
立てば1mはゆうに超えていたと思います。
相変わらず、あさっての方向を向いて、替え歌を歌いながら一人でグスグス笑っているお方さまに、
「おい…猿…猿がいてる…」
と、緊急性をアピールした声で注意を促すと…
「うわっ!!!ホンマやっ!!!」
とお方さまもやっと気付きました。
お方さまのその声を耳にしたのか、急にわれわれに気づいた猿の親子は、次の瞬間、身を翻して背後の森へと消えて行きました!!!
ただ、もしも、猿も、われわれも、互いの存在に気づかずに近づいてしまっていたら…
気づいた時、猿の射程距離内に入ってしまっていたら…
と思うとゾッとしました!!!
僕は急いで、落ちている木の中から、万一の時は武器になってくれそうな棒を拾い、手にする事にしました。
そこからは、注意深く、猿の気配に怯えながら進みました。
前方に、休憩所が見えました。発心門王子の休憩所は、発心門王子よりも300m手前にある、と地図には書いてありました。
「あと300mで折り返しやね。まずはそこまで行くか?」
という僕の問いかけに、お方さまは、
「今ここでごはん食べる!!!」
と即答しました。よほど、お腹がすいていたと見えます。
スタート地点で購入した、めはり寿司とおかず。めちゃくちゃ美味しくいただきました!!!
この休憩所、先ほど猿と遭遇した地点から徒歩15分ほどしか離れていません。
そのため、僕は周囲を伺いながら、集中して食べて、早く立ち去ろう、と思っていたのですが…
相変わらず、アホなお方さまは、猿のことなど忘れたかのように、いかにこのめはり寿司が美味しいか、をとうとうと述べ、おかずを一口味わうと感想を述べる、といった食事風景。
「早よ食えボケ!!」
と僕の逆鱗に触れるのでした。
食事を終えて、少し歩くと…
ちょうど、バスが到着したところでした。
発心門王子に到着。
スタンプを押します。
発心門王子のスタンプです。
トレイルランナーさんがいらっしゃって、軽快に走って行かれました。
ここで折り返して、来た道を戻ります。
片道、2時間ちょっとの予定が、3時間以上かかっている…(^◇^;)
こうしてわれわれは、再び、来た道を戻りました。
往路で気になっていた、無人販売所で、甘夏(みかん)を購入。
伏拝王子の休憩所でしそジュースを飲みました。しそは「紫蘇」と書きますが、ただ「蘇」とだけ書く事もあるそうです。まさに「蘇る」パワー。ここまで4時間歩き詰めですが、疲れが抜けて行くのがわかりました。
高野山との分岐点・三軒茶屋の「おばちゃんエイド」まで戻って来ました。おばちゃんに、猿に遭遇した話をすると、「ここにも猿、来るで!!お客さんがいないときなんかよく来る!!」と話してくれました。スタートして4時間半。
祓殿王子まで戻りました。5時間強。
「帰って来たぞーー!!!」お方さまの雄叫びが轟きます!!!
熊野本宮大社⇄発心門王子。初心者コースの往復は、移動距離15.87km、所要時間5時間34分。
今は膝を痛めているので、歩くことしかできませんでしたが、なんとか完歩。
我が師もオクムを8時間34分で完走しました。
素晴らしい道中でした。500mごとの道しるべで、方向音痴でも迷うことはありません。
素晴らしいトレイル経験です!!
また必ず、来ます!!!次はもっと遠くまで!!!